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管理職1,000名超の調査に見る、 AI時代のマネジメントと育成の変化 

管理職1,000名超の調査に見る、 AI時代のマネジメントと育成の変化 

<a href= 瀬口 航生" width="104" height="104">

株式会社NEWONEに新卒入社。人材育成・組織開発のHRパートナーとして、研修設計・運営を中心に幅広い層の成長支援に携わる。新入社員・若手から管理職層まで、各階層の課題に応じたプログラムを企画・実施し、組織全体のパフォーマンス向上を支援している。
社内では組織開発の一環として、エンゲージメント向上を目的としたイベントの企画・運営にも取り組んでいる。

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生成AIによって、資料作成や情報整理といった業務は効率化されつつあります。 

一方でその裏側では、「どこまで任せてよいのか」「人材育成はどう変わるのか」といった、これまでとは異なる種類の迷いや難しさも生まれています。 

便利になっているはずなのに、マネジメントはむしろ複雑になっている。 
そんな矛盾するような状況が、いま多くの管理職の実感として現れ始めています。 

本記事では、こうした業務の在り方やマネジメントの前提そのものが変わりつつある状況を踏まえながら、生成AI時代における管理職の役割変化と、部下育成・マネジメントにおける新たな課題について整理していきます。 

こんな方におすすめ 

  • AI時代の管理職育成のあり方を見直したい人事担当者 
  • 若手育成における“考える力”の低下に危機感を持っている管理職 
  • AI活用を進めたいが、現場マネジメントとの両立に悩んでいる方 
  • AIの普及によって若手育成の難しさを感じている方 

生成AIの利用の実態

生成AIは、もはや一部の先進企業だけのものではなく、企業経営や現場業務において急速に存在感を高めています。実際に、弊社が管理職1,033名を対象に行った調査では、約半数となる48.69%の企業が「生成AI活用を推奨している」と回答しました。

日本企業が本格的に生成AI導入へ動き始めたのは2024年頃と言われています。そう考えると、ここ数年でここまで浸透が進んでいることは、大きな変化と言えるでしょう。 

そして特に利用が進んでいるのが、20〜30代の若手管理職層です。 

調査では、20〜30代管理職の70%以上が、週2〜3日以上生成AIを利用していると回答しており、約9割が何らかの形でAIを業務活用している実態が見えてきました。 

一方で、40代以降になると利用頻度は徐々に低下しており、世代間で活用状況に差が生まれていることもわかっています

しかし、この差は単純な“世代ギャップ”だけではありません。企業としてAI活用を推奨している場合、50〜60代の管理職であっても利用頻度が大きく向上していることが調査から明らかになっています。逆に、「個人の判断に任せている」「明確な活用方針がない」という企業では、若手層以外の利用率は大きくばらついていました。 

つまり、AI活用の浸透を左右しているのは、“個人のスキルや意欲”だけではなく、“企業としてどれだけ後押ししているか”という環境要因でもあるのです。 

すでに現場では、AIは単なる検索ツールではなく、情報収集、資料構成の壁打ち、アイデア出し、文章作成、会議議事録の要約など、日常業務のパートナーとして活用され始めています。 

だからこそ今、多くの企業に求められているのは、「AIを導入するかどうか」ではなく、“AIを前提に、どのように働き方やマネジメントを変えていくか”なのかもしれません。 

そして、その変化の中心に立つのが、現場を率いる管理職です。 

AI時代に求められる管理職の役割 

AI時代において、管理職に求められる役割は大きく変わり始めています。現場では、世代間ギャップへの対応やメンタル不調への配慮、ハラスメント・コンプライアンス対応など、マネジメントの難易度が年々高まっています。一方で、多くの管理職はプレイヤー業務も抱えており、「管理職は罰ゲーム」と言われるほど負担感が増しているのが現状です。 

そのような中、生成AIには“業務効率化”への期待が高まっています。実際、管理職1,000名超への調査では、生成AIを「ほぼ毎日利用している」管理職の48.85%が、「AI活用によって、より創造的・人間的なマネジメントに注力できる」と回答しています。また、弊社が実施したAI業務効率化研修においても、「問い合わせ対応をAIで一部代替することで年間約240時間の工数削減余地がある」「資料作成補助によって月22時間の削減余地が見えた」など、現場から具体的な声が挙がりました。現場にはまだ、AIによって見直しや効率化ができる業務が数多く存在している可能性があります。 

一方で、業務効率化は決して単純な話ではありません。現場では、「AIに仕事を奪われるのではないか」「仕事の進め方が変わり、現場が混乱するのではないか」といった不安も生まれています。 

だからこそ、AI活用は単なる“業務効率化”で終わらせるのではなく、組織や働き方そのものを見直す機会として捉えることが重要です。不安から現状維持を選ぶのではなく、「何を変え、どんな組織を目指すのか」を示しながら、職場を前に進めていくことが求められています。 

AI時代の管理職に必要なのは、“業務効率化を推進する人”ではなく、AIによって生まれた時間や余力を活用し、組織を変革していく“チェンジリーダー”としての役割なのです。 

管理職が抱える“部下育成”の難しさ

生成AI活用が広がる中で、管理職が特に難しさを感じ始めているのが、「AI時代の部下育成」です。これまでの育成では、「まず自分で考える」「上司や先輩に相談する」「フィードバックを受けながら改善する」といったプロセスを通じて、若手の成長を支援してきました。しかし現在は、AIが“いつでも相談できる存在”になったことで、仕事の進め方そのものが大きく変わり始めています。 

その結果、現場では、「部下がどこまで考えているのかわからない」「成長をどう判断すればよいかわからない」「AI時代の育成方法が見えない」といった悩みを抱える管理職も増え始めています。 

では、具体的にどのような難しさが生まれているのでしょうか。 

① 成長のわかりやすい指標が使いづらい 

これまで多くの職場では、「アウトプットの質」を通じて若手の成長を見てきました。 

例えば、「資料の完成度が上がった」「提案内容が整理されてきた」「文章がわかりやすくなった」といった変化から、「成長している」と判断する場面も多かったと思います。 

しかし、生成AIを活用すれば、一定水準の成果物は短時間で作れてしまいます。 
そのため、“成果物が良い=本人が成長した”とは言い切りづらくなっているのです。 

管理職にとっては、「どこを見て成長を判断するのか」が、これまで以上に難しくなり始めています。 

② 仕事のプロセスと考える力が見えにくい 

これまでは、仕事の途中で上司や先輩に相談しながら進める場面が多くありました。 
一方で現在は、「まずAIに聞く」という行動が増えています。AIはすぐに答えてくれるため、途中経過を共有する機会そのものが減りやすくなっています。 

その結果、「どのように考えたのか」「どこで悩んだのか」「なぜその結論に至ったのか」 といった“思考のプロセス”が見えにくくなっています。 

成果物だけを見ても、「本人が本当に理解しているのか」「どこまで自分で考えたのか」が分かりづらくなっているのです。 

③ 最終的な質向上の難しさが残る 

生成AIによって、一定水準のアウトプットを効率的に作れるようになりました。 

しかし一方で、相手に合わせた細かな調整や背景を踏まえた配慮、期待を超える工夫 など、“最後の質向上”には、依然として人の関わりが必要です。 

これまでは、途中段階で何度も相談やフィードバックを重ねながら、少しずつアウトプットの質を高めていく場面が多くありました。しかし、AI活用によって途中経過の共有が減ることで、管理職が細かく関わる機会も減少しています。 

結果として、「80点の成果物」は作れても、“100点へ引き上げる育成”が難しくなり始めているのです。 

④ 責任感や主体性等を育てにくい 

生成AIは、答えを素早く提示してくれる便利な存在です。 

しかしその一方で、「自分で考え抜く」「周囲を巻き込みながら進める」といった経験機会を減らしてしまう可能性もあります。 

現場では、「AIの回答をそのまま受け入れてしまう」「自分なりの考えを持たずに進めてしまう」「上司や周囲を巻き込まずに完結してしまう」といった変化を感じている管理職も少なくありません。 

だからこそ今、管理職には“AIを使わせる”だけではなく、「AIを活用しながら、どう主体性や判断力を育てるか」が求められ始めているのです。 

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AI時代の管理職育成 

生成AIの普及によって、管理職に求められる育成のあり方は大きく変わり始めています。 

これまでの育成では、「一定水準の成果物を出せるようにすること」が重視されてきました。しかし現在は、生成AIを活用すれば、資料作成や情報整理などの“80点のアウトプット”は短時間で実現できるようになっています。 

だからこそ今、管理職には“AIがいることを前提とした育成”が求められています。重要なのは、「AIを使わせるかどうか」ではなく、AIを活用しながら、どのように人の価値を高めていくかです。 

① 「80点を出す育成」から、“100点へ引き上げる育成”へ 

AI時代において、管理職が育成で向き合うべきテーマは大きく変わっています。 

これまでは、「一定水準の成果物を正確に、早く出せること」が成長の基準になっていました。しかし現在は、生成AIが“それらしい答え”を短時間で出せる時代です。 

だからこそ、管理職が注力すべきなのは、「80点を出せるようにすること」ではなく、“80点を100点へ引き上げること”です。 

例えば、 

・相手の期待を超える視点を持てているか 
・背景や文脈まで踏まえて考えられているか 
・AIの回答を鵜呑みにせず、自分なりの判断ができているか 

こうした部分は、依然として人が担う価値です。 

AIは答えを出すことはできます。しかし、「本当にその答えでよいのか」「誰のために、何を実現したいのか」まで考え抜くことは、人にしかできません。 

そのため管理職には、成果物の完成度だけではなく、“どのような意図や判断でそのアウトプットを生み出したのか”まで見ていく視点が求められています。 

② “判断軸を育てる”関わりへ 

生成AIが普及したことで、部下は「まずAIに聞く」という行動を取りやすくなっています。その結果、これまでのように、上司や先輩へ相談しながら仕事を進める機会は減少していく可能性があります。だからこそ今後の管理職には、“答えを与える存在”ではなく、“考えるきっかけを与える存在”としての関わりが求められます。 

例えば、「なぜその判断をしたのか」「他に選択肢はなかったのか」「AIの答えをどこで疑ったのか」といった問いを通じて、部下自身に考えさせることが重要になります。 

AIは便利な存在ですが、最終的に責任を負うのは人です。だからこそ管理職には、「AIが言っていたから」で終わらせず、自分の判断として説明できる状態をつくる関わりが求められているのです。 

③ 成果物ではなく、“スタンス”を見る時代へ 

AI時代になるほど、「何を作ったか」だけでは、人材の価値を判断しづらくなっていきます。なぜなら、一定水準のアウトプットはAIによって補完できるようになるからです。 

その中で重要になるのが、“どのような姿勢で仕事に向き合っているか”です。 

育成者は「仕事の目的を理解しているか」「相手の期待を超えようとしているか」「自分なりの判断理由を持てているか」「最後まで責任を引き受けようとしているか」といった部下・後輩のスタンスを見ることがますます重要となります。 

単に「早く正確にこなす人」ではなく、「目的を理解し、自分で考え、価値を上乗せできる人」が、AI時代において価値を発揮する存在になっていきます。 

そのため管理職には、成果物だけではなく、部下が“どんな判断軸で仕事に向き合ったのか”まで含めて評価・育成していく視点が求められています。 

④ 管理職だけではなく、“組織全体で変わる” 

AI時代への対応は、管理職個人の努力だけでは限界があります。 

実際、生成AI活用が進んでいる企業ほど、組織としてAI活用を後押ししている傾向があります。逆に、現場任せ・個人任せの状態では、活用や育成に大きな差が生まれやすくなります。 

だからこそ重要なのは、「AIをどう活用するのか」「AI時代にどんな人材を育てたいのか」を、組織全体で明確にすることです。 

若手へのAI教育だけではなく、管理職自身のAI活用支援や評価制度の見直しなど、組織全体で変化を後押ししていく必要があります。 

AI時代は、管理職にとって負担が増える時代として語られることもあります。しかし見方を変えれば、AIによって業務負荷を減らし、本来向き合うべき“人の育成”や“組織づくり”へ注力できる時代でもあります。 

だからこそ今求められているのは、AIを単なる効率化ツールとして終わらせるのではなく、“組織変革のきっかけ”として活用していく視点なのです。 

まとめ 

本記事では、生成AIの活用が広がる中で、管理職のマネジメントや部下育成にどのような変化が起きているのかについて整理しました。 

生成AIの活用が現場で広がりつつある一方で、「何をもって成長と捉えるのか」「どのように人を育てていくのか」といった問いは、これまで以上に難しさを増しています。 
その背景には、AIの存在を前提とした働き方へと、現場そのものが移行し始めていることがあります。 

だからこそ今、管理職に求められているのは、単なる業務改善というよりも、AIを前提にしたマネジメントや育成のあり方そのものを見直していく視点です。 

本記事が、日々のマネジメントや部下育成について改めて考えるきっかけとなり、少しでも現場の実践に役立つ示唆につながれば幸いです。 

登壇者の声

生成AI時代の管理職に求められるのは、単なる業務効率化の推進者ではなく、AIを前提に現場の働き方や育成のあり方を変えていくチェンジ・リーダーの役割です。今回のセミナーでは、AIが生み出す時間や余力を、人の成長支援や組織変革にどうつなげるかをお伝えしました。参加者の反応からも、AI時代に人が担う価値や、管理職の関わり方への関心の高さを強く感じました。今後も、AI活用を現場での実践と変革につなげる支援を進めていきたいと考えています。