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なぜ、育成体系を整えても成果につながらないのか ― 育成を事業成果に結びつける「見直し」の考え方 ― 

なぜ、育成体系を整えても成果につながらないのか ― 育成を事業成果に結びつける「見直し」の考え方 ― 

比嘉 奈美恵

著者

比嘉 奈美恵

著者

比嘉 奈美恵

株式会社NEWONEに新卒入社。研修をメインとして、人材育成・組織開発のHRパートナーとして従事。新入社員・若手から管理職まで幅広い階層を支援している。

近年、多くの企業では人的資本投資の重要性が高まり、人材育成にこれまで以上の期待が寄せられています。

一方で、経営層や現場からは

「本当にこの研修は必要なのか」
「育成施策は成果に結びついているのか」

と問われる場面も増えています。

実際に、

「毎年研修を実施しているのに、成果につながっている実感がない」
「経営層や上司から、 今ある研修を見直すようにと言われたが、どこから手をつければよいか分からない」

と感じたことはないでしょうか。

本記事では、すでにある育成体系が成果につながりにくくなる“本当の理由”を、
「作り方」ではなく「運用・見直しのつまずき」という観点から捉え直します。 

そのうえで、育成体系を事業成果に結びつけるために押さえておきたい考え方をメソッドとしてご紹介します。 

なお、本記事で扱う「育成体系」とは、「自社における育成の全体像・研修マップ」を示しております。 

本記事は、特に以下のような方におすすめです。 

  • 既存の育成体系・研修マップの見直しを検討されている人事様 
  • 階層別研修や育成施策を、事業成果とつなげたいとお考えのご担当者様 

※本内容は、2026年9月8日実施セミナー「なぜ育成体系を整えても成果につながらないのか ― 育成を事業成果に結びつける育成体系の考え方―」の内容をまとめたものです

なぜ、育成体系は「成果につながらない」と感じやすいのか 

育成体系をテーマにご相談いただく際に最近増えているのは「育成体系をこれから作りたい」という課題ではありません。 

むしろ、 

  • すでに育成体系は整備しているが、本当にこれで合っているのか分からない 
  • 研修内容を変えていかないといけない気がする 
  • 成果につながっている実感がない 

といった”作った後の運用”に関するご相談です。 

この課題の背景には、中期経営計画との紐づけや、人的資本投資に対する費用対効果の精査など、育成施策の意義がこれまで以上に問われるようになった環境変化があります。 

つまり多くの企業の論点は「作れていないこと」ではなく、「作った育成体系を、どう成果につながる形で運用・見直していくか」に移りつつあるのです。

育成体系が「成果につながっている」とは、どういう状態か 

育成体系を成果につなげる方法を考える前に、まず整理しておきたいのが「育成体系が成果につながっている状態」の定義です。 

多くの場合、育成施策の成果というと業績やKPIの向上が思い浮かびます。 
しかし実際には、研修と業績が直接結びつくケースは多くはありません。 

上記のように、研修を実施すれば、そのまま業績が上がることは少なく、単純にはいかないのが実情です。 
だからこそ着目したいのが、育成体系と成果の「間」にある行動変容です。 

私たちが向き合うべきは「どのような育成体系であれば、成果につながる行動や変容を生み出せるのか」という問いです。つまり、成果につながっている状態とは、育成体系が成果に直結している状態ではなく、「育成体系を通じて狙った行動変容が起こり、その行動が成果につながっている状態」を指します。

そのうえで、行動変容における多くの場合のつまづきは、
“作り方”ではなく“運用・見直し”の過程に潜んでいます
。 

育成体系において陥りがちな「5つの罠」 

では、育成体系を成果につなげるためには、どのような視点が必要なのでしょうか。 
既存の育成体系を運用していく中で、多くの企業に共通して見られるつまずきは、大きく5つに整理できます。 

ここでは、それぞれの罠と、乗り越えるための見直しの考え方をあわせてご紹介します。 

① 作成したきりで形骸化してしまう 
 整備した当初は機能していたものの、その後の事業環境や組織状況の変化に合わせた見直しが行われず、
 次第に実態と乖離してしまうケースです。担当者の異動により、そもそもの設計意図が伝承されていない企業も
 少なくありません。 

 見直しのポイント:
 育成体系は「作るもの」ではなく「育てるもの」と捉えることが重要です。毎年、振り返りと見直しのタイミング
 を設け、現在の事業や人材の状態に合っているかを問い続けることが第一歩になります。 

② 現場・参加者の期待を見失っている 
 育成体系には「組織として育てたい人材像」が反映されている一方で、実際に参加する社員の課題や期待との間に
 ズレが生じていることがあります。組織の期待だけが先行し、本人の実態に寄り添えていない状態です。 

 見直しのポイント:
 育成施策は、組織の期待だけでも本人の要望だけでも機能しません。両者の接点を見つけることが重要です。
 そのために、施策設計の前段で、事前アンケートなどを通じて現場の声を継続的に収集することが欠かせません。 

③ 実施タイミングが自社に合っていない 
 他社事例を参考に研修体系を整備した結果、自社の成長スピードやキャリアステップと噛み合わなくなっている
 ケースです。「1・2・3年目」といった型を当てはめても、独り立ちや役割変化の時期が自社と異なれば、
 ぎこちなさが生まれます。 

 見直しのポイント:
 「何年目に実施するか」ではなく、自社の社員がどのタイミングで役割や期待の変化(ターニングポイント)を迎え
 るのかを把握することが重要です。昇格・離職の傾向を分析し、自社特有の節目に施策を合わせて設計します。 

④ 研修後のフォローが現場任せになっている 
 研修当日は満足度も高く、参加者の行動意欲も高まります。しかし職場に戻ると日々の業務に追われ、学びが定着
 しないまま終わってしまうことがあります。上司や所属部署への連携が十分でないほど、この傾向は強まります。 

 見直しのポイント:
 行動変容を促すうえでは、研修そのもの以上に、その後の上司や現場の関わりが大きな意味を持ちます。
 育成を受講者本人だけの課題にせず、上司・現場を巻き込み、研修後の対話やフォローを仕組みとして組み込む
 ことが重要です。 

⑤ やりっぱなしで効果が測れていない 
 研修満足度は取得しているものの、その後の行動の変化や成果まで把握できていないという課題です。
 満足度のみを追いかけていると、施策が本当に機能したのかを判断できません。 

 見直しのポイント:
 効果測定で大切なのは「研修が良かったか」ではなく「期待した行動が生まれたか」です。
 行動の変化を測る観点を持つことで、施策の成否だけでなく、次年度の育成体系そのものの改善にも
 つなげられます。 

ここまで、育成体系において陥りがちな5つの罠と見直しのポイントをご紹介いたしました。
一方で、重要なのは、この5つをすべて完璧に埋めることではなく、自社が「いま、どの罠に陥りやすいのか」に見当をつけ、優先順位をつけて向き合っていくことです。 

ぜひ、以下画像の質問例を参考に5つの罠に陥っていないか、見直すべき点はどこかを考えてみてください。 

まとめ 

育成体系を成果につなげる鍵は、精緻な体系を「作る」こと以上に、
作った体系を、行動変容が生まれる形へと運用・見直し続けることにあります。

まずは自社がどの罠に陥りやすいのかを見極めることが、その第一歩です。

今回ご紹介した「5つの罠」と、それぞれに対する具体的な見直しの視点・ワーク例・他社事例などもご案内できますので、既存の育成体系の見直しにご関心のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。 


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登壇者コメント

外部環境の変化が激しくなった今、育成体系の刷新への興味関心が高まっているように感じます。
今回のセミナーでは、育成体系の作成手法ではなく、”見直し方”という視点でお話しさせていただきました。

特に「陥りがちな「5つの罠」」について「自社はどうか?」と問いかけした際には、
5つの罠それぞれに関心が寄せられておりました。

育成体系は、作って終わりではなく、常に見直し、磨いていくものだと考えています。
今後も育成体系の策定から運用まで、ご支援していきたいと考えています。 

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