事例概要
- 課題
- 制度変更が進む中、従来の研修体系では現場のニーズや役割変化に十分対応できていなかった。
- 経営方針や時代に合った能力開発を、全階層で体系的に強化する必要があった。
- 研修が単発で終わり、学びが現場で活かされにくい点や主体性醸成が進まないことが課題だった。
- 効果
- 現場の声や受講者のフィードバックを反映し、社員が納得しやすい育成体系へと進化した。
- 研修〜フォロー〜実践がつながり、上司の関わり方や職場のコミュニケーションに前向きな変化が生まれた。
- 必要な施策に的を絞ることで、受講者が目的意識を持ち、学びに前向きな風土が定着した。
- 実績
サービス
- 育成体系の構築支援
- 各種研修支援(新入社員研修、OJTトレーナー研修、2年目研修、新任マネジメント研修、新任準管理職向け研修、ファシリテーション研修、キャリアデザイン研修30代、キャリアデザイン研修40代、キャリアデザイン研修50代)
※ニフコ様の人材育成の取り組みや研修体系図などの詳細はこちらでご確認いただけます
対象
- 人事部
- 全社員
実施概要
5年前から毎年育成体系全体の見直しに着手し、階層別・キャリア研修を中心に体系を再構築。研修を点で終わらせず、実践・制度・風土を線でつなぐ仕組みを整備し、現場と共に育てる育成体系として、学びに前向きな風土が浸透。
- 担当者の
こだわり
― 毎年育成体系を見直しブラッシュアップをされていますが、このような形に至った経緯や背景について教えてください。
畠山様:本格的に育成体系の見直しを考え始めたのは、今から5年程前くらいになります。私が研修部門に異動してきたのが2019年になるのですが、当時は研修のラインナップも限られており、新任課長向け研修やOJTトレーナー研修、赴任前研修など、部分的な育成施策にとどまっていました。ちょうどその頃、当時の研修センター長だった大林が「これからは体系的に育成を整えていきたい」という青写真を描いており、私がその構想を具体的に形にしていくことになりました。当初、NEWONEさんにはOJTトレーナー研修のみをお願いしていたのですが、その研修を拝見した際に、講師のファシリテーションと内容が非常に素晴らしく、「このような研修を全社に広げれば、会社全体がもっと良くなる」と強く感じたことを覚えています。
その体験をきっかけに、他の階層やテーマでも研修をお願いしたいと考えるようになり、まずはファシリテーション研修を導入しました。そこから徐々に対象や内容を広げながら、現在のように育成体系全体をNEWONEさんからアドバイスをいただきながら見直す流れへと発展していきました。
NEWONEさんからも「エンゲージメント向上」へという文脈で、より風土づくりに踏み込んだご提案をいただいており、方向性が非常に一致していました。こうした対話の中から、育成体系のブラッシュアップだけでなく、学びの文化そのものを変えていこうという動きが始まりました。
大林様:私が異動してきた2018年から2019年にかけて、当時の社長方針の中に「人材教育体制の充実」というテーマが掲げられていました。経営方針の重点項目の一つとして、人材育成の強化が明確に位置づけられたのです。その中でも特に重視されていたのが、「次世代経営層を含むマネジメント人材の育成」と、「現場リーダー層の教育強化」の2本柱でした。
当時の社長は製造部門の出身ということもあり、「現場を率いるリーダーの後継者が育っていない」という課題意識を強く持っていました。多くの社員が担当業務のプロフェッショナルではあるものの、チームをまとめ、組織をリードする力を存分に発揮できる体制を構築することが、生産性や競争力の向上に不可欠です。
そこで、人事部としても育成体系全体を見直し、既存の研修を再構築しながら、リーダーシップを発揮できる人材を増やすことを目指しました。
また、現場力強化にとどまらず、次世代リーダー育成にも目を向けた体系的な育成を進めていく必要があると考え、段階的に整備を進めていきました。
一人ひとりが前向きに学び、活気ある組織にしたい
― 育成体系をブラッシュアップすることで、組織や社員がどうなることを期待されましたか?
畠山様:「もっと主体的に研修に参加する風土をつくりたい」「社員一人ひとりが前向きに学び、活気ある組織にしたい」という想いがありました。
また、研修を通じて社員同士のコミュニケーションをより活発にし、組織としての一体感や前向きな空気を醸成していくことも目指していました。体系のブラッシュアップを進める中では、昇格アセスメントなどのデータも参考にしながら、社員の課題を補強するテーマを中心に研修内容を設計していきました。当時は強みをさらに伸ばすというよりも、課題を克服していくことに重点を置いて、まずは組織としての基盤を整えていきたいという想いがありました。
大林様:育成体系の見直しにあたっては、「社員一人ひとりが自ら学び、考え、行動できる力を高める」ことをゴールに置いていました。単に知識を得るだけでなく、自ら課題を見つけ、周囲を巻き込みながら改善に取り組むような“自走する力”を育てたいという想いがありました。
そのためには、まず「学びの場」を充実させることが重要だと考えました。研修の実施後には、受講者から提出される報告書の内容を人事部内で共有し、現場にどのような課題があるのか、どのような変化が見られたのかを丁寧に把握してきました。
さらに、その情報をNEWONEさんとも共有し、現場の声を拾うことを大切にして次の施策を一緒に検討していくことで、研修の内容を継続的にブラッシュアップしています。
このように、現場の課題と学びの場をつなげるサイクルを意識的に回していくことで、研修が一過性のものではなく、組織全体の成長につながる仕組みへと発展していったと感じています。

現場主導で実践につながる“学びの好循環”が生まれている
― 育成体系を見直したことで、組織にはどのような変化がありましたか?印象に残っているエピソードがあればお聞かせください。
畠山様:受講後に提出される受講者(部下)の報告書に対する上司のコメントが大きく変わったように感じます。以前は「頑張ってください」といった一文程度の抽象的なコメントが多かったのですが、現在では部下に寄り添い、学びを後押しする具体的なフィードバックを書いてくれる上司が増えています。マネジメント研修や新任課長研修などを通じて、「承認」「感謝」「褒める」といった関わり方が浸透し、上司のコミュニケーションスタイルにも明確な変化が見られます。
実際、現場からも「上司に提案したら“ありがとう”と受け止めてもらえるようになった」といった声が上がっており、職場全体の心理的安全性が高まっていると感じています。
また、最近では研修体系図を公開すると、それを見た上司が自発的にメンバーを推薦してくれるようになり、学びに対する上司の支援が大きくなっていることを実感しています。
大林様:組織としては、「褒める文化」や「心理的安全性」を重視する風土が確実に育ってきたと感じています。NEWONEさんからも、私たちの中に残る旧来型のマネジメントスタイルに対して、「こうした関わり方を変えることで、部下が安心して力を発揮できるようになります」といったストレートなフィードバックをいただき、それが社員のマインド変化につながりました。
特に印象的だったのは、年上部下を持つ管理職層へのマネジメント研修です。短時間ながらも、実践的なワークやロールプレイを通じて関わり方を体感的に学び、その後6か月後のフォローアップで再び集まり、成果を共有する場を設けました。
受講者からは「実際に現場で活かせている」「他部署の取り組みを聞けて刺激になった」といった声が多く寄せられ、研修から現場の実践につながる好循環が生まれています。
このように、単発で終わらせず、実践・共有・振り返りまでを一貫して行う仕組みが根づいたことで、学びが現場に還元される文化が定着してきました。
研修を「点」で終わらせず、「線」でつなぎ実践まで見届ける
― 育成体系をつくるうえで、貴社が大切にしているポイントや意識していることは何ですか?
畠山様:育成体系を設計する際には、各階層に必要なスキルが漏れなく組み込まれていることを特に意識しています。当社では管理職への昇格試験をひとつの節目として位置づけており、その手前までに身につけておくべきスキルを明確にし、それを体系図の中に反映させるようにしています。会社として明文化されているわけではありませんが、人事部内で「このレベルに到達するまでに必要なスキルは何か」を丁寧に議論しながら、階層ごとの成長段階に合わせて構成を工夫しながら研修設計を行っています。
大切にしているポイントとしては、研修を1回限りの学びで終わらせず、実践に繋げることと、人事制度や他の施策と「線でつなぐ」ことです。
大林様:NEWONEさんのご提案で導入したフォローアップ研修では成果発表の場を設け、前半研修で学んだ内容を実践して振り返るプロセスを組み込みました。この仕組みにより、受講者は実践を通じて学びを自分のものにでき、他の参加者の取り組みからも多くの刺激や学びを得ています。
また、2か月後の報告書提出や上司のフィードバックを通じて、学びの定着度を可視化できる点も大きな成果です。研修を単なるインプットの場にせず、「実践まで見届ける場」とすることを意識しています。
客観的な立場から率直に伝えてもらえることが信頼につながる
― NEWONEで育成体系の見直しと、一部研修(階層別やキャリア研修等)のご支援を長年に渡ってさせていただいていますが、毎年ご依頼いただいている理由、決め手があれば教えてください。
畠山様:NEWONEさんに継続してお願いしている一番の理由は、10年以上お世話になっている中で当社の良い点も啓発点もよく理解いただき、寄り添ったご提案をいただけている点です。一方で適度な距離感を保ってくれるスタンスもあり、当社の課題に対して、客観的な立場から率直に意見をくださることが、非常に信頼できる点です。「この部分は、得意分野ではないので他社にお願いした方が良い」とはっきり言ってくださることもあります。その誠実な姿勢が、長くお付き合いしたいと思える大きな理由です。
また、こちらの意図を深く理解したうえで、言語化できていない考えを整理して、時には壁打ち相手にもなってくださり、ヒアリングも、「こういうことですよね」と本質をつかんで提案していただけます。そうした押しつけのないコンサルティング型の関わり方が、他にはない魅力だと思っています。また、当社と課題感が同じ企業の事例をご紹介いただき、直接担当の方とつないでくださる機会もあり、研修を企画する上で視野を広げる機会をいただけている点も大変ありがたく感じています。
大林様:NEWONEさんとは、信頼関係の上に成り立つパートナーシップを築けています。こちらの状況に合わせて柔軟に対応してくださる点や、納期が厳しい時でも真摯に調整いただくなど、困った時に頼れる存在です。
また、毎年お願いしている講師の方々にも深い信頼があります。各研修で一貫した品質と姿勢を保ちながら、参加者の反応を踏まえて細やかに調整してくださるので、安心してお任せできます。
そうした人と人との関係性の良さも、長くお付き合いしている理由のひとつです。

キャリア自律の促進とエンゲージメント向上を促す機会をつくる
― 今後、取り組んでいきたいことや注力していきたいことについて教えてください。
畠山様:これまで育成体系の中で、「研修を単発で終わらせず、実践や人事制度とつなげていく」ことを大切にしてきました。今後はこの取り組みをさらに発展させ、研修・制度・組織施策を連動させた一貫した学びの仕組みをつくっていきたいと考えています。
また、キャリア研修をはじめとした一部のプログラムでは、受講後に「1日で終わってしまう」「継続して学びたい」という声も多く寄せられています。そのため、フォローや社内での実践の場を増やし、学びが“点”で終わらず“線”として続いていく形をつくりたいと考えています。
さらに、今後の大きなテーマとしては、リスキリングとマインドセットの変革です。研修に未参加の社員もまだ多く、そうした層をどう巻き込み、主体的に学び続ける風土を広げていくかが重要だと感じています。特に、変化に踏み出せずにいる社員の意識を少しずつ動かし、自律的なキャリア形成へとつなげていきたいと考えています。
大林様:現在、30代・40代・50代向けにキャリア研修を実施していますが、これは社員一人ひとりが自分のキャリアを主体的に考えるきっかけになる大切な場です。参加者同士の対話を通じて、自身の強みを再認識したり、新たな挑戦意欲が生まれたりと、ポジティブな変化が多く見られます。
この研修を今後も定期的に実施し、キャリアの振り返りを繰り返し行えるサイクルをつくっていきたいと考えています。
また、ジョブ型人事制度への移行によって異動や部署経験の機会が減っていく中で、社内留学や部門横断の座談会など、社内で視野を広げる取り組みも進めていきたいと考えています。キャリア自律の促進と同時に、組織全体のエンゲージメント向上につながるような“対話の場づくり”にも注力していく予定です。
現場の声を丁寧に拾い、一緒に“育成体系”を育てていくこと
― 人的資本の最大化が叫ばれ人材育成や組織づくりを見直す企業様が多いですが、育成体系の見直しを検討されている企業様にメッセージがあればお願いします。
畠山様:育成体系をつくるうえで何より大切なのは、社員や現場の声を丁寧に拾うことだと思います。昇格アセスメントの結果やアンケートの自由記述欄など、日常の中にヒントはたくさんあります。
例えば、「アカウンティングを学びたい」という声が多く寄せられたことをきっかけに、新たな研修を立ち上げたこともあります。
また、体系をつくる人事担当者自身が、「どんな会社にしたいか」「社員にどうなってほしいか」という明確な思いを持つことも重要です。制度や仕組みはあくまで手段であり、その根底にある想いが社員にも伝わることで、育成の方向性が一貫していくと感じています。
さらに、最近では経営層からも人的資本への投資意識が高まっており、「どれだけ人に投資するか」を明確に議論できるようになってきました。今後は、費用だけでなく“人”への投資体制そのものをどう拡充していくかが、次の課題だと考えています。
大林様:育成体系の見直しは、人事主導で進めるものではありますが、人事だけの想いで完結させないことが何より大切だと思っています。経営の方向性を踏まえるのはもちろんですが、実際に現場で働く社員の声をしっかり拾い、そこに基づいた施策を設計することが基本です。
実際、研修の参加者や上司から寄せられる声を参考にしながら、内容や実施頻度を柔軟に見直してきました。現場の意見を反映することで、「人事がつくった研修」ではなく、「現場と一緒に育てた育成体系」として受け止めてもらえるようになります。
人事だけで完結しない、現場を巻き込んだ育成体系こそが、人的資本を最大化する鍵になると考えています。
― 本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願いします。
私は、OJTトレーナー研修をご一緒させていただいていた時に担当させていただきました。大林さん、畠山さんをはじめ、育成に携わる皆様の熱意を感じたのが、当時の第一印象です。皆さんの想いに乗っかり、時には生意気に意見を言うこともあったかと思いますが、パートナーとしてフラットに受け入れていただけたからこそ、実現できたことが多いように感じております。配慮はするが、遠慮はせずに関わらせていただけて、感謝しております。(館越)