カーディナルヘルス株式会社様の事例紹介

現場の本音を引き出す対話セッション
~認識のギャップが風穴を開ける突破口に~

カーディナルヘルス株式会社様

[サービス]
組織風土改革の職場実践における対話を支援

[対象]
営業本部およびマーケティング本部の全メンバー(約100名)

[実施概要]
営業本部内のコミュニケーションを活性化しエンゲージメントの高い組織をつくることを目的に、年間を通じて組織風土改革を実施。職場実践の一環として対話ツール「オバケ」を活用したセッションを全3回に渡って実施

[スピーカー]
カーディナルヘルス株式会社
営業本部 L&D
マネジャー
小松 伸夫様 (※写真左上)

株式会社NEWONE
Cocolabo責任者
桐山 恭子 (※写真右上)

HRパートナー 
長畑 和子 (※写真中央下)

― 今回、貴社で組織風土改革を行おうと思った背景や理由について教えてください。

小松様:現在、私は営業とマーケティング部門のトレーニングを担当しています。当時(2022年)、求められる営業数字の目標がとても高く厳しい環境にありました。そんな中で一人一人のメンバーが 一生懸命目標達成に向けて、顧客や会社のために個別に頑張っている姿を見て、もっとチーム全体でコミュニケーションを取り暗黙知を共有することができれば、会社も本人も成長するのではないかと思いました。当社は、最近、新卒ではなく、中途採用で入社される方が増えており、同期同士のつながりが比較的希薄になってしまっているのが現状です。 そのため、困った時の相談相手は、ほとんど同じオフィス(営業所)の先輩や同僚に限られます。数年前までは、オフィス(営業所)が各主要都市にあり、直行直帰でありながらも、営業活動終了後にオフィスに帰ると先輩や同僚がいて、気軽に情報交換したり相談したりすることができていました。しかし、オフィスの規模を縮小したことにより、特に若手社員は先輩に相談したいことがあっても聞きにくい状況が生まれてしまいました。 電話やチャットなどのコミュニケーションツールはあるとはいえ、同じチームでさえコミュニケーションが希薄となる中、チームを越えた社員同士のコミュニケーションはさらに少なくなっていることが課題でした 。

そこで、教育の立場から学びを起点にコミュニケーションを増やし組織風土を良くする方法がないかと新しいアプローチを模索しました。約100人いる私たちの営業およびマーケティング部門のメンバーを階層別、年代別に14~15グループに分け、それぞれのグループには、その年次に応じて選定した特定のE-learningのコンテンツを同じ期間に学んでもらうという、知識の共有を促すプログラムを展開しました。 ただ、それだけだと、せっかく同じグループで集まってもコミュニケーションが深まらないので、何かもっと新たな気づきを得られるコンテンツがないか探していたところNEWEONEさんと出会いました。

同じチームでも見えている「オバケ」(組織課題)は違う

― 職場実践の一環として、今回弊社の対話ツール「オバケ」を活用いただきましたが、導入しようと思ったきっかけについて教えてください。

小松様:当時の元上司が、NEWONEさんで定期開催している組織開発のセミナーに参加し、対話を深めるツール「オバケ」を体験し面白かったよと教えてくれました。実際に私も同じ部署の3名と桐山さんのファシリテーションのもと、デモセッションを体験しました。体験してみて、「オバケ」ツールは組織の課題を「オバケ」に例えて擬人化することによって、個々が感じている問題点や本心をよりオープンに共有しやすくなっている 点が印象的でした。デモでの興味深い発見は、選んだ「オバケ」(組織課題)が三人三様で、 異なっていたことです。その「オバケ」を選んだ理由を共有する過程で、互いの考えをより深く理解することができました。 いつも業務でコミュニケーションをとっている3名ですら知らない面があるなら、全員でやったらもっと面白く良い気づきが得られるのではないかと思いました。もし、メンバー一人ひとりが持っている課題をお互いに共有できていないとしたら、当然、会社に現場の声は伝わってきません。このツールを導入することで、何かが変わるのではないかと思ったことが導入のきっかけです。本当に短時間で、価値観や組織に対する課題感を共有できるので、比較的心理的安全性がある階層別や年代で分けたグループで、ぜひやってみたいと思いました。また、若手から出てくる課題をマネジャー層に伝えたり、全体としてあがってきた声を上層部に伝えたりすることで架け橋になれればと思いました。

言いたいことが言える。そして、それが伝わる組織

― 年間の組織風土改革を通じて、組織がどうなることを期待していましたか?

小松様:「言いたいことが言える。そして、それが伝わる組織」になることを期待しました。まず、第一段階として現場で意見が言えて、それが上層部に伝わることが重要だと思いました。もちろん、全部の意見が通るわけではないですが、出た意見を元に考えるきっかけになりますし、改善できることもたくさんあると思っています。そういったコミュニケーションが取れることで組織がより良い方向に進めればと思いました。第二段階として、社員同士の繋がりを深め、組織を超えて何でも相談し合える関係を醸成したいと思っています。さらに、「仲間のために、チームのために行動する」という意識を深め、会社と社員のつながりを強化することで、エンゲージメントの高い、社員がやりがいを感じながら主体的に働ける組織づくりを目指していきたいと思います。

現場と会社の「認識のギャップ」を捉えられたことが突破口に

― 実際に対話ツール「オバケ」をやってみた率直なご感想や、感じられた効果について教えて下さい。

小松様:実際には、私たちは対話ツール「オバケ」を中心にしたセッションを、3回、2~3ヶ月間隔で実施しました。最初のセッションでは 「オバケ」ツールを用いたワークショップを行いました。次に2回目のセッションでは、 1回目のワークショップで浮かび上がった課題を更に掘り下げ、具体的かつ優先度の高い問題に焦点をあてました。そして、3回目のセッションでは、その掘り下げた課題に対して会社からの具体的な回答やフィードバックを得る機会を設けました。
「オバケ」ツールは必ず一人が一つ投稿しないと、全員が次に進めないという仕組みになっているので、口頭だけで実施するディスカッションのように、発言する人と発言しない人の偏りがなく、全員が何らかの意見を言えたということがとても良かったです。参加者からのアンケートでも、「自分だけでなく他のメンバーも同じような課題を感じていることがわかり安心した」という声が多く寄せられました。日頃感じている課題をオープンに話し合う機会を提供できたことは非常に有意義でした。

― 具体的にどのような課題があがってきたのでしょうか。

小松様:共通して多かった課題としては、会社から発信されているルールや指示、案内に対して、その結論に至った背景や根拠の説明を求める声でした。会社側としては、これらの情報を当然十分に伝えているという認識があったのですが、それが現場にしっかり伝わっていないことが明るみになりました。この認識のギャップがわかったこと、そして、それを会社側に報告できたことが、一つ大きな突破口になったと思っています。
現場としても、しっかりと会社の考えを理解したいと思っているし、会社側も、きちんと説明をして理解してもらいたいと思っています。向いている方向は全く同じなのに、何らかの理由でズレが生じているということに気づけたことは、組織の風土改革において非常に大きな発見でした。

意見が伝わったことで、主体的に会社を良くしていこうという空気に変わった

― 現場から出てきた課題を会社側に伝えたことで、どのような変化がありましたか。

小松様:全3回のセッションを通して、自分たちの意見が会社側に伝わり、それに対する会社からの誠実なフィードバックが得られたという体験が、現場の人と会社側の溝を埋めることにつながったと思います。自分たちの声がちゃんと伝わるのであれば、どんどん積極的に意見を言って、自分たちで主体的に会社を変えていこう、良くしていこうという空気に変わっていきました。
セッションをする時に、「皆さんが会社と言うとき、皆さんが思い浮かべるのは具体的に誰ですか?会社を動かしているのは上層部の方ではなく、皆さんです!」というメッセージを強く伝えてから、ディスカッションに入りました。そうすることで、自分たちが出し合った課題を、他責ではなく自分ごととして考えることが出来たような気がします。実際に該当部署で意見を取り入れていただき、提出書類のプロセスが簡易になるなど、業務の手続きレベルではありますが変化が出てきています。さらに、メンバー側に起こった変化として、グローバルで年に1度実施されるエンゲージメントサーベイへの反応が挙げられます。サーベイ結果に対する改善プロジェクトへの参加を募ると、当営業本部、マーケティング本部からも積極的に名乗りを上げるメンバーが多かったと聞いています。主体的に会社を良くしていこうという方が増えた結果なのかなと前向きに捉えています。

ここまで現場の本音を吸い上げられたことは過去になかった

― 今回、組織風土改革を進める中で、対話ツール「オバケ」はどのような役割があったと思われますか。

小松様:これまでも、会社が現場の意見を吸い上げようとアンケートを実施したり、トップとの座談会を実施したりと様々な取り組みを行ってきました。多くの建設的な意見を得られてきましたが、それでも、社員が本音を話しにくい雰囲気や、直接的に意見を言える人が限られているという問題が依然と存在していました。
今回のツールのように、ここまで現場の本音を吸い上げられたことは過去になかったと思います。このこと自体が財産だと思います。私が担当するのは100名弱の小さい組織ですが、それでもやはり会社と現場とでは残念ながらコミュニケーションの壁があります。日頃、現場で一生懸命、自分に与えられた業務に使命感を持って取り組んでいる中で、「もっと、こうなったら効率的なのに・・・」といった蓄積してきた考えや課題感を、一旦自由に吐き出すことができる場所、空間として「オバケ」」ツールが機能したのかなと考えています。
今回の取り組みは、そんな「意見を共有したい現場」と「それを受け入れたい上層部」とのクッション役となり、コミュニケーションの橋渡しができたのではないかと考えています。

― ツールを活用した組織風土改革は、どのような組織にお勧めしたいですか?

小松様:現場と経営層と間のコミュニケーションに課題を感じている組織にお勧めしたいです。経営層は伝えたつもりでいる一方で、社員は完全には理解していない、という状況は他の会社でもあることかと思います。そのコミュニケーションギャップを埋めるとてもいいツール/機会になると考えます。 ですので、上層部や人事部が現場の声を吸い上げようと努力はしているものの、実際には現場の社員の考えていることが把握しづらい状況や心理的安全性が確保されていない環境にある組織、または会社vs社員という対立構造 があり、課題の原因を他責にしてしまいがちな組織には特にお勧めしたいです。
まずは、言いたいことを他責でもよいので全て吐き出したうえで、じゃあ、自分が社長だったらどう対処する?というようにステップを踏んで自分ごとにしていくことが重要です。「オバケ」ツールによって、この問題解決のステップを「オバケ退治」というリラックスしたテーマで踏むことができます。

継続することでエンゲージメントの高い組織をつくる

― 今後注力していきたいことや、取り組んだいきたいことがあれば教えてください。

小松様:まずは、今回の取り組みで現場と上層部との間にあった壁に風穴を少し開けることができたと思っています。ただ、今回の取り組みを単発のイベントとして終わらせてしまうと、また溝は深まっていくと思っています。そうならないためにも継続していくことが必要です。「オバケ」を定期健診のように活用することで、新たなオバケが見つかるかもしれませんし、以前と同じオバケに再び遭遇するかもしれません。例え同じオバケ(課題)が再び表面化したとしても、それは過去の問題が未解決だからではなく、同じ領域のより高度な課題が明らかになったという解釈も可能です。
NEWONEさんの「課題のない組織はない。」という言葉通り、これからも継続して前向きに課題に向き合い、お互いにコミュニケーションを取り合いながら、エンゲージメントが高い組織をつくってきたいと思っています。

― 本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願いします。

◆受講者アンケート(一部抜粋) 

・色々なオバケがいて、同じ事象でも違う受け取り方があると思った
・他者の意見を知ることができ、同じ想いを抱えていることがわかった
・自身の立場だけでなく、関係する周りの人たちの立場を考慮することの必要性・重要性を再認識できた
・会社が耳を傾けてくれていると感じたこと。できればもっと直接対話がしたい
・会社と敵対するのではなく、良くしていくために協力しあうことの重要性
・コミュニケーションを求めていることが再認識できた
・皆さんが心のうちに溜めていた想いを他者に共有、言語化することで、より明確な課題として認識、共有できたことが何より良かった。これだけでも、普段は単独行動で仕事をしている営業担当にとってはエンゲージメントが上がる機会となった
・他人のせいにせず、否定的な目で見ず、自分に何ができるのか、という目線を皆が持てる良い機会となった

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