学びの二極化を防ぐ!若手の“成長したい”を引き出す公募型マインド研修

カゴメ株式会社様
※写真左から カゴメ株式会社 人事総務本部 人事部 人材開発・D&Iグループ 齋藤 大資様 株式会社NEWONE 組織・人材開発事業部 HRパートナー 藤澤 星奏
会社名
カゴメ株式会社
https://www.kagome.co.jp/
業界
食品・農林水産・印刷・紙メーカー
従業員規模
2,500~4,999名
対象範囲
若手社員
中堅社員
実施時期
2024年10月

事例概要

課題

・自律的な学びを促進するため、公募型の教育施策を増加しているが参加者が固定化されてきている

・学ぶ意欲が高い従業員とそうでない従業員の二極化が進行している

効果

・若手が自身の動機に基づき、早期に学ぶ意欲を高めるきっかけとなった

・特に360度フィードバックを通じて、自身の強み・弱みを把握し、成長への前向きな姿勢を醸成できた(成長しなければならないではなく、成長したいと思えている)

実績

導入サービス

・成長課題発見研修

・ビジョンの自分事化研修

※上記はこちらのサービスをカスタマイズしています

 

対象

・若手~中堅社員

 

実施概要

学びや成長に対し前向きな状態を作り、自律的な学びを活性化させることを目的に、若手~中堅社員を対象にマインド型の研修として「成長課題発見研修」「ビジョンの自分事化研修」を手挙げ式で実施。

― 今回、若手~中堅社員を対象に「成長課題発見研修」と「ビジョンの自分事化研修」といった“マインド型”の研修を実施しようと思った背景や理由について教えてください。

齋藤様:当社では、2010年頃から個々の自主性を尊重する学習プログラムの充実を目指し、徐々に手挙げ型の教育施策を増やしてきました。
しかし、近年手挙げ型の教育施策に参加する人が固定化されているという課題が見えてきました。つまり、学びに意欲的な人とそうでない人との間で二極化が進んでいると感じています。そこで、二極化を防ぐにはどうしたら良いのかを考えた時、若手社員に注目し早い段階から自律的に学ぶ意欲を高めていくこと、主体性を引き出していくことが必要だと思いました。若手社員が学びに対する意欲を高めてくれることで、社内の教育施策も効果的に活用でき、より今後の成長曲線の傾きを急にできるのではと考えています。こうした考えのもと、若手から中堅社員を対象に今回の研修を実施することにしました。

「自ら成長していきたい」と前向きに思える状態をつくる

― 今回の研修によって、参加者がどうなることを期待していましたか?

齋藤様:「自律的に学ぶ意欲を高めてほしい」というのが大目的としてありました。その際、「成長しなければならない」「学ばなければいけない」という後ろ向きな気持ちではなく、研修を通じて「成長したい」と自然に思えるような、前向きな状態になることをゴールにしました。危機感を煽るのではなく、「自ら成長していきたい」と前向きになれることを研修の出口状態として常に意識していました。加えて、参加者が今後具体的にどんなことに取り組むのかがクリアになっている状態を目指していました。

さらに、副次的な効果として、年齢層が比較的近い参加者が集まることで、互いに刺激を与え合ったり、社内での連携が取りやすくなることも狙いの一つにしていました。

― 「成長課題発見研修」と「ビジョンの自分事化研修」を実施してみた率直なご感想や、感じられた効果があれば教えて下さい。

齋藤様:マインド面を扱う研修で効果を得るためには、参加者自身が内省し、これまでの自分自身の考え方や行動を客観的に見つめ直し、深く考えることが必要という点で、非常に研修設計の難易度が高いと考えています。そんな中でも、今回実施した2つの研修では、参加者同士や講師とのコミュニケーションを通じて内省が深まるよう設計されていました。そのおかげで、自分一人では難しい“内省”に、研修の中でたどり着くことができ、それが気づきとなり行動変容のきっかけになっているのではないかと感じました。

若手は周囲からのフィードバックを渇望している

― 研修の中で印象的に残っているエピソードや、受講後の変化などがあれば教えてください。

齋藤様:最初に実施した「成長課題発見研修」では、私たちが想像していた以上に若手社員が周囲からのフィードバックを渇望していたことが印象に残っています。昨今の若手の傾向として、心の安定を求めている、自他共に尊重する故に壁を作りがちという話もリアルに聞いていたため、周囲から率直なフィードバックを積極的にもらうという形式の研修に少し不安を感じ、藤澤さんにも何度か相談させていただきました。

しかし、蓋を開けてみると、むしろ率直なフィードバックも前向きに捉えている方が多く見受けられました。これは、研修中に講師との関わりや参加者同士の対話を通じて、前向きに捉えられるようになっていたからだと思います。皆で良い空気感をつくり出せたことが、成長意欲につながったと感じています。この体験は非常に素晴らしく印象に残っています。

また、研修後の総合評価では、すべての参加者が最高評価をつけました。選択式の研修ですので、成長に前向きな方々が集まったとはいえ、目標としていた結果に全員が辿り着けたと思いました。

マインド型の施策を複数用意することで刺激を与える

― 貴社では自律的な学びを活性化させる目的で公募型の研修を実施していますが、工夫されていることがあればお聞かせください。

齋藤様:今回のマインド型の研修は選択式で、「フィードバック」と「ビジョン」という2つの切り口を用意しました。さまざまな切り口の施策を用意することが、私たちが工夫している一つの方法です。自律的に学ぶ意欲が湧かない理由は人それぞれで、心が動くフックも異なります。そのため、さまざまな施策で刺激を与えることが必要だと思っています。

― 自律的に学べる人とそうでない人の違いには、何があると思われますか?

齋藤様:自律的に学べるようになるきっかけは人それぞれで、一概には言いづらいところがあります。例えば、憧れの人に近づきたい、自己実現したい、会社にもっと貢献したいという動機や、やる気のある人を見て自分も頑張ろうと思うなど、さまざまな要因が考えられます。自分が何に動機づけられるのか、どのようにスイッチが入るのかがわからない人は、自律的に学ぶことが難しいかもしれません。
しかし、それがわかれば、自分で自分の心に火を灯し続けることができると思います。

もともと成長意欲が高い人でも、多忙で業務に追われ、成長意欲が損なわれてしまうこともあります。私たちができることは、成長したい、学びたいと思えるきっかけを見つけられるように、さまざまなアプローチを紹介し経験を通じて学んでもらうことだと思っています。こうした取り組みを通じて、自分がどこでスイッチが入るのか、何があれば楽しく取り組めるのかに気づいてもらえるようにサポートしていきたいと思います。

個人の成長と組織目標とのバランスが難しい

― 人材開発の担当者として、どんなところにやりがいや難しさを感じますか?

齋藤様:マインド面の成長を促すプロセスは、人の心を動かす仕事であるためハードルが高いです。しかし、その分、成長した姿を見ると本当に頼もしいと感じますし、人材開発の担当者冥利に尽きると思っています。例えば、普段は内気で自分の世界に閉じこもりがちな人が、自分の殻を破り、周囲の気持ちを考えながら一歩を踏み出す姿を見ると、以前には想像できないほど成長していることが感じられ、この仕事をしていて本当に良かったと感じます。

一方で、個人の変化だけに注目していると、組織全体の視点を見失いがちです。各従業員の変化やニーズを尊重しつつ、それが組織全体にどのような影響を与えるのかを考える必要があります。特に、個人が成し遂げる変化が組織全体に再現性を持たないこともあり、そこが難しさでもあります。人材開発担当者としては、一人ひとりの人生がより良くなるようにサポートする一方で、それが組織の目標と一致しているかどうかを見極めることも大切です。これは誰のための仕事なのか、従業員のためか、会社のためか、そのバランスを取ることが本当に難しいところです。

参加者同士で「内省」を引き出し合える場を作る

― 今回NEWONEにお任せ頂いた理由、決め手について教えてください。

齋藤様:これまで様々な研修でご一緒させていただく中で、参加者の内省を引き出すアプローチが非常に優れている点が最も大きな理由です。マインド系の研修では内省を引き出すことが必要で、参加者一人ひとりが考えることによって成り立ちます。NEWONEさんは、そのアプローチが非常に上手だと以前から感じていました。参加者同士が互いに引き出し合える場の作り方や、講師のちょっとした表情や問いかけで空気感が変わるため進め方にも細やかな配慮が感じられます。また、先程いろんな切り口を用意することが大事だとお伝えしましたが、課題に応じて様々なアプローチの提案をいただけることで新たな気づきが得られています。他にも、当社の従業員の特徴や研修実施の制約などを考慮しながら研修内容を設計していただける点も、NEWONEさんにご依頼している理由の一つです。

― 本研修は、どのような階層や組織にお勧めしたいですか?

齋藤様:従業員の自律的な学びの意欲を引き出し、成長に対して前向きになってもらいたいと考えている組織にはお勧めです。当社では若手から中堅社員を対象に実施しましたが、若手、中堅層に限らず学ぶ意欲や成長に対する前向きさは大事だと感じています。ただ、ベテラン層に対して内省を促すことは、より難易度が高まると思います。

組織内の関係性を強化し、持続的に成長できる組織へ

― 今後、注力していきたいことや取り組んでいきたいことについて教えてください。

齋藤様:内省を促すことが引き続き必要だと考えています。それを実現するためには、本来研修よりも組織内の上司や同僚との関係性からアプローチして、身近にいる人がいかにメンバーの心を動かすかが効果的で持続性があると思っています。現在、NEWONEさんとともに、その関係性に対するアプローチを強化しています。研修を実施しなくても、それが実現できている状態が理想ですが、不足している部分を補うために研修を活用したいと考えています。また、従業員の心を動かすためにいろんなフックが必要だとお伝えしましたが、心のフックに引っ掛けられるように、多くの切り口を用意することにも力を入れていきたいと思っています。

― 本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願いします。

◆受講者アンケート(一部抜粋) 

  • 現状を把握するだけでなく、内省→実践することが大切である。
  • 自分について「内省」することが成長には不可欠だとわかった。
  • 自身の課題を、自分から見える側面だけでなく周囲からの評価を踏まえて捉えることで、組織に好影響をもたらすことに繋がると思った。
  • グループワークで他者の話や意見を聞くことで、普段関わらない方の考えやご意見を伺うことで学びになった。
  • 自分と会社の方向性について深く知り、同僚と話し合うことで、自分の働く方向性も言語化することができた。
  • ビジョンを自分事化するためには、ビジョンの理解と自己理解をして会社と自分の方向性を重ね合わせることが必要だと思った。
  • 組織の期待と個人の思いをすり合わせることを定期的に実施していきたい。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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NEWONE担当からの一言

コメント

今回は、ビジネスマインド研修に関する実施背景・効果等に加え、先進的な取り組みをされているカゴメ人事様の仕事をする上でのやりがいや、難しさ葛藤についてもお話いただきました。 日々人事様とお話をさせていただくと、多様な難しさを抱えながら奮闘している人事の皆様が多くいらっしゃると感じております。 学ぶ意欲醸成低下しているという問題を解決する糸口となっていること、また、多くの人事様の「人事の仕事を頑張る・楽しむ理由」を再確認するきっかけとなっていましたら幸いです。