株式会社デンソーソリューション様の事例紹介

強みを明確にして職場での影響力を発揮する~管理職のための「キャリア自律」研修~

株式会社デンソーソリューション様
課題・数年前から働きがい向上に向けて1on1をはじめとした施策を投じているものの、いわゆる「箱だけ用意した状態」に陥ってしまっており、実態が伴っていなかった。
・エンゲージメント高い自律型人材を育成に向けて、キャリア自律のメッセージも定期的に発信していたが、具体的な行動は現場の管理職に依存しており、管理職自身も日々忙しく業務をこなす中で立ち止まって内省する時間が確保できていない。
・そんな状態から、まずは管理職自身がイキイキとキャリア自律している状態を作り、そこから影響力を伝播させることを狙い、本施策実施に至った。
効果・これまでは自身の役割への責任感から行動を起こす層が多かったのに対し、役割を踏まえた自身の意思や想いを見つめ直すことで、組織へ貢献する意欲がよりまったり、自社での今後のキャリアを前向きに考えるきっかけになった。
・自分達自身がよりイキイキと働くことが組織全体のイキイキを作ることにつながるという気づきと管理職同士の団結力が生まれていた。
・研修実施後、受講者の部下から「最近、これまでと雰囲気が変わって積極的に話しかけてくれるようになった」という声が届いた。

[サービス]
キャリア自律研修

[対象]
課長職(ミドル層)

[実施概要]
課長層に対し、自身の強みや自分らしさを活かしイキイキと働くことで影響力を発揮し、組織全体のエンゲージメント高めること目的に、「キャリア自律」研修を実施。手挙げ式で募った35名に対し、導入とフォローアップ研修を実施しキャリアとエンゲージメントの理解を深めた。

[スピーカー]
株式会社デンソーソリューション
東日本統括支社業務改革部
楢原 光博様

株式会社NEWONE
コンサルタント 長畑 和子

― 今回、ミドル(課長)層を対象に、キャリア自律研修を実施するに至った背景、理由について教えてください。

楢原様:背景は大きく2つあります。1つ目は、世の中全体が物凄いスピードで大きく変化していることです。自動車業界では100年に1度のパラダイムシフトと言われ、業界自体が大きく変わってきています。このような環境変化に対してどう対処するか、今までにない根本的な課題として認識しています。
2つ目は、組織内でも大きな変化が起きており、コミュニケーションが難しくなっていることです。当社は2002年に親会社であるデンソーから、市販のアフターマーケットを担当する会社として北海道から九州まで8つのエリア別の販社としてスタートしました。それ以降、販社の統合や関係会社との合併を繰り返し、2年前にはデンソー本体の市販部門とも統合しました。私が現在所属する東日本統括支社は、1年半前に3つの支社が統合されました。出身会社や文化が異なる多様な社員が一緒に働くようになり、かつ、コロナ禍の影響も受けてコミュニケーションにおける課題が強まってきました。
このような背景もあり、数年前から1on1や従業員のメンタリティを計るサーベイを実施しています。 サーベイの結果からは、「日々の仕事に追われ重要な仕事に時間が割けない」「特定のメンバーに業務が偏っている」という課題が見えてきました。外部の環境変化、組織内のコミュニケーション、目の前の仕事状況に対して何らかの対策を講じたいと考えました。特に課長層は、組織やメンバーへの影響力が大きいため、この層が自分に向き合い元気になることで良い影響を及ぼせるのではないかと考えました。そこで、ミドル(課長)層を対象に、キャリア自律の研修を企画しました。

課長層がイキイキと働く姿をメンバーに見てほしい

― 本研修を通じて、ミドル(課長)層や組織がどのような状態になることを期待されましたか?

楢原様:当社のスローガンには、「明るく、楽しく、元気よく」という言葉があります。それにふさわしい姿、つまりロールモデルになることを期待しました。ただ仕事をこなすだけではなく、自分らしい強みを活かしながら、イキイキと働いてほしいと思いました。そして、その姿を見た課のメンバーが、良い影響を受けることを期待しました。
東日本統括支社は、課長職が100名近くいますが、全員に研修を実施することは難しいと考え、手挙げ式で参加者を募りました。まずは、意識の高い人から研修を受けていただき、徐々に全体に広められればと思いました。想定以上に多い35人もの方に自ら手を挙げていただきました。恐らく彼らも、自分自身が本来達成したいことや、未来に向けて取り組みたいことを実現できていないという課題を感じていたのだと思います。
また、当社では横のつながりが意外に少ない現状があります。この研修を通じて、課長職同士のつながりを強化し、お互いに助け合う環境が自然と生まれることを期待しました。協力し合う文化が醸成されると、組織全体のパフォーマンスも向上すると考えました。

会社の肩書を外したら、自分にはどんな強みがあるのか

― 導入研修とフォローアップ研修と約4ヵ月間に渡って実施してみた率直なご感想や、感じられた効果があれば教えて下さい。

楢原様:キックオフ研修に参加するに当たり、事前課題としてキャリアカーブやストレングスファインダーなど、自分を見つめ直してもらう課題をやってもらいました。これまで、このような機会が少なかったこともあり、「そもそもキャリア自律って何?」という状態でした。中には、辞めろということですかという意見も出てきていました。1回目の研修が終わった時点では、キャリアとは何か、キャリア自律についておおよそ理解はいただけたのですが、自分らしさや強みについてはしっくりきていない様子でした。私自身も現役時代そうだったように、仕事に忙殺されていると、自分の強みやこれからのことを考えたくても、考える余裕もない状態にあるのだなということを強く感じました。このような状況を踏まえ、2回目のフォローアップ研修を実施する前に、どのように進めると効果的か、再度NEWONEさんに相談しました。その結果、参加者が会社の肩書を外し、自分らしさや強みを自由に表現することで、どんな肩書になるのかを考えてもらうことにしました。正直、これが一番ヒットし受講者に響いたと感じました。会社のバックグラウンドが強く意識されると、本音の部分で自分自身を表現することが難しくなるのだと思いました。それを取りはずしたことで、自分が大切にしていることや得意なことを自由に表現している姿が印象的でした。
また、本研修の話からそれますが、課長層にはeラーニングも受けてもらったのですが、興味深いことに皆さんが受講した講座がバラバラでした。組織的な視点に立つと、会社や組織が目指す方向を実現するために、こういうものを学ぶべきだという画一的な見方になってしまうと感じました。ですが、35人一人ひとりを見ると、抱えている課題感や持っている能力、興味の方向性がそれぞれ違うことに気づかされました。同じ課長層でも30代、40代、50代と年代によってキャリアについての考え方に違いがあるため、別の切り口で実施するやり方もあるのかなと思いました。

― 受講者の意識や行動、また組織にはどのような変化が見られましたか。具体的なエピソードがあればお聞かせください。

楢原様:今回の研修で学んだことを、上司と部署のメンバーに説明をした人が何名かいました。このような姿は、これまであるようでなかったと思っており、研修の成果が現れていると言えます。2枚目の肩書きとして、“自分が得意とすることは〇〇です。それを活かして、課の中ではこのように実践していきます”と具体的に伝えた方がいました。他には、課のメンバー一人ひとりに毎日1回声をかけるということを実践している人もいます。このような行動は、部下から相談しやすい関係性をつくることができ、心理的安全性が高まる効果があると感じました。
また、今回の研修に参加したメンバーで、「わくわく総研」という名前のグループチャットをつくり、情報交換を行っています。当初、事務局主導でこの場を提供したのですが実施していくうちに自主的な会話が生まれる様になりました。研修を通じて、課長同士のつながりが強化されはじめてきた結果だと捉えています。

キャリア自律の考え方に親和性を感じた

― 今回、NEWONEにお任せ頂いた理由について教えてください。

楢原様:当社ではキャリア自律をテーマにした研修を、これまで実施した経験がありませんでした。そのため、数社さんにお声をかけさせていただいたのですが、長畑さんが非常に明るくハキハキ対応されている姿がとても印象に残りました。研修の組み立て方についてご相談させていただいた時、小野寺さん、長畑さんから多岐にわたるアイデアやアプローチがあり、当社の要望やニーズに合わせた研修をご提案いただき、非常に柔軟に対応いただけました。さらに、キャリア自律の考え方について話し合っていく中で、NEWONEさんの顧問に法政大学の田中先生がいらっしゃることを知りました。当社では元々、ダグラス・ホールのプロティアンキャリアの考え方を取り入れた研修を実施したこともあったため、キャリアの考え方や方向性が一致していることが分かりました。信頼できるパートナーとしての対応や、キャリアの考え方に親和性もあることから、ぜひ、NEWONEさんにお任せしたいと思いました。

― 本研修はどのような組織にお勧めしたいですか?

楢原様:当社のような、旧来型の日本企業にはお勧めだと思います。昔のように上意下達で上からの指示に従っていれば実績が上がっていくなら良いですが、現代はそう簡単にはいかなくなっています。受け持つ領域やビジネス環境が大きく変わってきて、そこに対応していかなければならない課題を持ち、人材が多様化している組織にはフィットする内容だと思います。

感謝の気持ちを大切に、心理的安全性のある風土をつくる

― 今後、注力していきたいことや取り組んでいきたいことについて教えてください。

楢原様:今回のキャリア自律の研修を通じて、いろんな芽吹きが出はじめたものの、課長層は相変わらず忙しいため、継続的なフォローアップと後押しが必要だと思っています。今回研修を受講した社員がロールモデルとして良い影響を与えることができたとしても、組織として変化していくためには、まだまだ時間がかかります。そのため、今年度は1つ上の層である次長層にもキャリア自律の研修を実施し、次長層も巻き込むことでよりパワーアップしていければと思っています。
また、本年、本体の市販部門との統合に伴い、会社のスローガンや理念が新たに変わりました。「ありがとう」と感謝の気持ちを大切にする文化を育てていきたいので、組織の風土づくりにも注力していきたいです。支社長と対話をする会を企画しており、経営陣がどんなことを考えているのかを直接聞くことで、会社や自分の将来について考える機会を提供したいと思っています。やらされ感ではなく自分事として考えれるような心理的安全性の高い風土づくりに寄与していきたいと思っています。

― 本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願いします。

◆プログラムの全体像 

◆受講者アンケート(一部抜粋

・エンゲージメントを高めることで組織内を活性化させると同時に、離職率も減ることが理解できた
・コミュニケーションの重要さ、たくさんの課長層が同じ悩みを抱えていることを知った
・自身を俯瞰的に見つめる事で、ぼんやりしていた強みや意志を言語化する事が出来た
・自身の内面にある価値観に気づくきっかけをもらえた良い研修でした
・自分の強みをツールによって客観的に分析し、理解する事が出来た
・ぼやけていた自分の強みやWillを再認識する事が出来ました
・強みによって、アプローチの方法に違いがあることを学べた
・自身の強みを再認識(理論と行動)した事で、自信をもって今後も進めると思えた
・自分のやりがい(やって楽しいこと)が明確になった
・キャリアについて真剣に考えるとこが必要な時代になった

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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NEWONE担当からの一言

  • 長畑 和子(Nagahata Kazuko)

    長畑 和子(Nagahata Kazuko)

    コメント

    「三位一体のエンゲージメント経営で東日本支社から全社をリードしていく」という熱いスローガンのもと、企画チームの皆様とともに、組織の中核となる管理職の皆様がよりイキイキと働きがいをもって影響力を発揮していただくことを狙い、本研修を設計させていただきました。自分自身の働く目的・ありたい姿や想いを語り合っていただくことで、「自分達が組織を引っ張っていくんだ」という団結力を育むのはもちろん、その後の行動変容にもつながる仕掛けを盛り込んだ内容に受講者の皆様も多くの刺激を持ち帰っていただけたのではないかと思います。その後、現場の部下から最近上司が変わった、という声も上がっていたようです。組織変革の大きな一歩目を共にご支援できたこと、改めて感謝申し上げます。