事例概要
写真左から(株)NEWONE コンサルタント 小野寺 慎平 (株)JALUX 総務人事部 人事課 上席主任 金田 仁男様 上席主任 飯田 瑠美子様
[会社プロフィール] 1962年に創立。JALグループの流通・サービスの中核企業として、航空・空港関連分野の事業を基盤に、空港店舗運営・通販など一般消費者へ向けた事業も発展させてきた総合商社。企業理念に「幸せづくりのパートナー〜人に社会に環境に、もっと豊かな輝きを〜」を掲げ、その実現を目指し、航空・空港といった事業領域を中心に、多岐にわたるビジネスを展開している。また、持続的な成長と豊かな社会創造の観点から、地球規模の環境問題や社会問題に対し、グループ全体の事業活動を通じて、その解決に向けて社会に貢献している。従業員数:約420名。
[導入サービス]
・メンター研修 (後半:課長・新入社員が参加)
・新入社員研修、新入社員フォロー研修
・主任研修
[実施概要]
新入社員を育成する意味やメンターの役割について理解を深めることを目的に、メンター※(22名)に対し1日研修を実施。午前中はメンターのみのパートで、午後から新入社員と終盤には現場の上席も参加するスタイルで、組織ぐるみで育成することを目的に合同研修として実施。
※メンターは比較的新入社員と年齢が近くトレーナーとしての役割も担える人を人選
ー 本日はどうぞよろしくお願いいたします。改めてとなりますが、貴社の事業内容や組織風土について教えてください。
金田様:事業内容としては、航空・空港関連事業をはじめとして、生活に身近な商材やサービスなど多岐に渡る事業を展開している総合商社となります。
組織風土としては、風通しの良い会社ではあるかなと思っています。社長から一般社員まで顔合わせの機会も多く、分け隔てなく会話をしています。事業としては縦割りが多いのですが、横ぐしの活動もあるため横のつながりやコミュニケーションも比較的多い会社だと思っています。
ー 今回、メンター研修に新入社員と現場の上長を同席するというスタイルで研修を実施されましたが、このようなスタイルに至った背景について教えてください。
飯田様:これまで、新入社員の育成をメンターに任せっきりにするような風土がありました。課長も忙しいため、メンターが一人で悩んでしまうという問題意識がありました。もっと、新入社員とメンターと課長の三者で話し合う機会を増やし、相互理解を深めたいよねという話し合いになり、それなら、メンター研修の場に課長と新入社員を呼んでしまおうということになりました。
新入社員をみんなで育てるという風土がなかったので、この機会に課長も巻き込み、「組織ぐるみで新入社員を育成していきたい」と思い、昨年からこのようなスタイルで実施いただきました。
金田様:メンターも指導方法がわからないとか、自己流でやっているという課題もありました。我々人事もメンターをフォローしきれていなかったので、今回こういった形で実施させていただくことになりました。また、手前味噌になるかもしれまませんが、今年の新入社員は吸収力があり、学びたいという学習意欲が非常に高い人がそろっているなと思っています。せっかくその意欲があるのであれば、いろんなことを学べる機会をつくってやりたいと思いました。
ー ありがとうございます。組織ぐるみで育成していくに当たり、新入社員の育成に感じている課題や問題点はどのようなものが挙げられますか?
金田様:世代論をしたいわけではないですが、最近の若手は、自分の意見を持ってはいるものの表現できない人も多いなと感じています。そこを引き出してあげるのは、受け入れる現場側かなと思っています。課長、メンターも含めて組織全体で引き出すことで、新入社員はもちろん、その課の成長にもつながると思いますし、ひいては会社の成長につながると考えています。
飯田様:確かに、今の若手は内に秘めていることが多い印象があります。表には出さないけれど、きちんと考え自分の意見を持っている頭の良い人が多いなと感じます。そういった強みをいかに引き出し、どう伸ばしてあげれば良いのかに難しさを感じます。せっかく良い資質を持っているので、それをもっと良い方向に導いて戦力につなげていくことです。
組織ぐるみで育成に取り組んでいることが新入社員に伝わるように
ー なるほど。今回の研修によって、職場や受講者にどのような変化を期待しましたか?
金田様:やはり一番は、新入社員とメンターと課長とのコミュニケーションの機会を増やすということです。特に新入社員と課長は、週に一回でも良いのでコミュニケーションが取れれば違うかなと思いました。逆にコミュニケーションがないと放置されてしまっている感じがするので、そういったことがないようにしたいと思いました。
飯田様:金田と同様で、三者のコミュニケーションを増やすことと相互理解ですね。特にこれまで事務職の新入社員は、課長とあまり話したことがないという実態がありました。そもそも業務上の接点が少ないので、事務職の人達にとってはこの研修で、課長との距離が縮まりコミュニケーションが取りやすくなると良いなと思いました。また、新入社員は承認欲求が高いので、ちょっとした雑談でも良いので、日常的にコミュニケーションが生まれ、その結果として、組織ぐるみで育成に取り組んでいることが伝わるようにしたいと思いました。
ー 実際、実施してみていかがでしたでしょうか? 率直な感想についてお聞かせください。
金田様:メンター研修は、午前がメンターだけで午後の中盤くらいから新入社員が合流し、最後に課長も同席するという構成で実施いただきました。午前中のメンターだけの時間については、メンターの経験がある人もない人もフラットに、改めて育成するとはどういうことなのか、単に指導することではないことを含めてお伝えいただけたので、だいぶ意識も変わってきたと思っています。また、自己流の教え方ではなく、新入社員の特徴を踏まえたかかわり方や、会社としての育成方針を伝えることができたことも非常に良かったと思っています。
また、研修の中で与えられた課題が、一人で行うものではなく新入社員とメンターが一緒に考えるという設計になっていたので、必然的に話す機会をつくっていただけたと思っています。それをきっかけに1on1を自発的にやり始めている人も出てきましたので、効果的に機能していると思っています。
ー ありがとうございます。同席するスタイルで実施したことで、職場に何か変化はありましたか?
金田様:メンター研修を受けた直後は、頻繁にミーティングを行っている姿が見受けられました。新入社員とメンター、そして課長とのコミュニケーションは増えていると思います。今のところ、メンターと新入社員との組み合わせもうまくいっています。ただ、課長を巻き込んで育てようという意識はあるものの、なかなか業務に追われて時間が取れないというケースも出てきますので、時間が経つにつれて少しずつ優先順位が下がっていきがちなので、そこは継続していってもらいたいなと思っています。やはり現場の人が“自分たちで育てている”という意識を持ち続けないと、なかなかうまくいかないのかなと思っています。そういう意味で、今回このスタイルでメンター研修を実施できたことはとても良かったと思っています。
ー 数年に渡りご一緒させていただいておりますが、改めて我々にお任せ頂いている理由について教えてください。
飯田様:弊社のカラーをよく理解していただき、講師の方にも毎年見ていただいていることもあり、我々の状況に合わせたオリジナルなやり方で実施いただけている点です。また、昨年との比較や他社との違いを伝えていただける点も、こちらとしては大変ありがたいなと思っています。
講師の方が、新入社員研修やメンター研修、主任研修で会った受講者のことを覚えていてくれていたりすることもあり、継続してお願いすることの価値を感じていることも、長年ご一緒させていただいている理由です。小野寺さんにも新入社員の時から弊社にかかわっていただき、私が異動したタイミングと同じだったので、ずっと一緒に伴走していただいています。4年目となった小野寺さんの成長もすごく感じています(笑)。
金田様:私はまだ異動して2年ですが、昨年よりも今年の方がコンテンツも、運営の仕方も含めて改良していただいてると思いますし、まさに数年の積み上げの結果なのかなと思っています。9月の主任研修や新入社員フォロー研修も引き続きお願いできればと思っています。
社会人1年目をどう過ごすかで、その後の成長も変わる
ー ありがとうございます。このようなスタイルでの研修は、どんな組織にお勧めしたいですか?
飯田様:老舗企業や年齢層が高い会社は、課長を巻き込んで組織ぐるみで新入社員を育成するという風土は薄いのかなと思うのでお勧めしたいですね。課長と新入社員の年齢差が大きく、古い体質や文化が残っているようなところにも良いのではないでしょうか。また、会社の規模が大きいところも、組織ぐるみで育成するということを行っていかないと、今の若手は離れていってしまうのではないかと思うので、お勧めしたいです。
金田様:飯田が申した通りで、人数が多ければ多いほど一人あたりのコミュニケーションの時間は希薄になると思いますので良いと思います。個人的な想いとしては、社会人1年目の新入社員という時期は、誰でも一生に一回しかなく、その時間をどう過ごすのかでその後の成長も大きく変わってくるのではないかと思っています。そういう意味では、どの企業もこの時期は時間をかけてでも会社ぐるみで支援をしてあげることは大事かなと思っています。
ー 今後どのような組織をつくっていきたいですか?
金田様:働き方改革が叫ばれ、今まさに時代の転換期にある中、会社に社員が求めることも、会社が社員に求めるものも大きく変わってきています。このような中で、お互い気持ちよく働くためには、どうすれば良いのかということを考えています。今後、画一的な組織はなくなっていき、求めるものが益々多種多様になっていく中で、会社として何でも受け入れれば良いということではありませんが、それに合わせて変わっていく必要があると思っています。そうしないと、今後の会社の成長はないのかなと思うので、変化に対応できる柔軟な組織をつくっていきたいと思っています。
言葉にすると簡単ですが、制度があるだけでは社員はついてきませんので、何のためにこの制度を入れたのか、目指すべき方向を伝えて社員に腹落ちしてもらい、社員のマインドから変えていければ良いなと思っています。
飯田様:人事部として、「学ぶ」ことをもっと自分事に捉えられる組織にしていきたいと思っています。目の前の業務も確かに大事ですが、中長期的に成長するためには、研修など学ぶ機会を大事にしないと、個人としても会社としても成長していかないと思っています。現状でも、学ぶ意識が高い人は一部いますので、もっとそういう人を増やして、会社全体としての成長につなげていきたいなと思っています。
ー 本日はお忙しい中、ありがとうございました。我々NEWONEも、貴社の発展に貢献できるよう邁進してまいります。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。
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