大樹生命保険株式会社様の事例紹介

研修をやって終わりではなく、一人ひとりの行動変容と成長へつなげる~階層連動型で一貫したリーダーシップ開発を実現~

大樹生命保険株式会社様
課題・従業員が自らの可能性を最大限に引き出し、組織全体の成長を支えるためには、自律的に考え行動できる能力が必要だが、多くの従業員は自分のポテンシャルに気づいていないという問題がある
・企業のミッション、ビジョン、バリューに基づき、求められる人材像を再定義し、それに合わせた研修プログラムの設計が必要だった。(これは、組織としての一貫した成長戦略の一環)
効果「守破離」のステップを通じた行動変容が受講者に期待され、それが組織全体に波及することで、組織文化が強化された。特に、研修受講後の意識や行動の変化は、上司や同僚からも肯定的に評価され、組織全体での学習と成長のサイクルが生まれている。 高橋さん自身が受講者と直接コミュニケーションを取り、成長をサポートすることで、従業員が感じる企業への帰属意識やモチベーションが高まった。

[サービス]
階層別リーダーシップ研修

[対象]
・入社8年目前後
・入社11年目前後
・入社20年目前後

[実施概要]
階層別の“あるべき人材像”を目指し、一人ひとりの行動変容と組織全体の成長を促進することを目的に、3段階のリーダーシップをベースとした階層別研修を実施。

[スピーカー]
大樹生命保険株式会社
人事部人材開発室
審議役
高橋俊哉様

株式会社NEWONE
コンサルタント 山川 真美

― 貴社では階層別研修を連動して実施されていますが、このように連動した教育施策を実施しようと思った背景、理由について教えてください。

高橋様:3年前に中期経営計画に基づき、全面的に研修体系を見直しました。以前は、ディメンション(論理的思考・ネゴシエーション・チームビルディング等)の強化を軸に、階層に応じたアセスメントを組み合わせた研修を実施していましたが、研修体系を見直す際に、大樹生命のミッション、ビジョン、バリューに照らし合わせ、あらためて従業員に求められる人材像を定義し、あるべき育成モデルを設計するところからスタートしました。
研修体系の設計にあたっては、自律的に考え自発的に行動できる人材を養成するため、階層に応じたリーダーシップ(「リード・ザ・セルフ」「リード・ザ・ピープル」「リード・ザ・ソサエティ」)を徹底的に考え抜くプログラムとそれらを発揮するためのスキルを修得するという二軸で構成しました。リーダーシップ発揮の礎となる「セルフ・アウェアネス(自分自身を知る/内省を磨く・軸をつくる)」の強化、そのうえで「関係性を築く(動かす・影響を与える)スキル」という基本的な枠組みは、米GEのリーダーシップ・プログラムや名著「リーダーシップの旅」から着想を得た部分も大きかったです。
以前から実施していたヒューマンアセスメント研修も、上記リーダーシップ研修と組み合わせ、若手から管理職まで体系的・継続的な能力開発を行うための参考データとして、本人の能力開発はもとより、所属長の部下育成でも、有効活用しています。

自身の現在地を知り、次の成長のステップを後押しする

― 連動した研修を実施することによって、受講者がどうなることを期待していましたか?

高橋様:私は、人の伸びしろは無限大だと思っています。しかし、多くの人はそれに気づかず、自分自身の可能性を感じたり、ありたい姿を描く時間もなく、日常に流されています。研修は、忙しい日常から少し離れて自分の内面と向き合う時間を持つことができます。また、仲間とともに、普段はなかなか口にできない青臭い議論やあるべき姿を胸襟を開いて意見を戦わせることで、あらためて自分の進むべき道を再認識することができます。
研修受講者には、「守破離」の考え方のごとく、「まずは素直にまねる(教えを守る)」ところから始めて、次に「自分なりの変化を加えて(従来のやり方を破ってみる)」、そして「自分なりのスタイルを確立する(教えから離れていく)」、こんなステップで行動変容を起こしてもらいたいと願っています。研修の運営にあたっては、一人ひとりをきめ細かくサポートするとともに、できるだけ研修内容の解像度を高め、管理可能なレベルまで「見える化」する取組みを進めています。研修終了後は、一般的なアンケートに加えて、「印象に残ったフレーズ」「最大の気づき」「具体的な実践内容と継続の工夫」などを振り返りのためのヒアリングを行っていますが、とりわけ「上司・会社への要望」では通常のマネジメントサーベイなどでは表面化しない意見や期待が明らかになることもあります。研修受講で、成長への渇望が高まっている彼らの本音は、上司にとって耳が痛い内容ももちろん含まれますが、「見える化」の効果を感じる瞬間です。

― これまで連動して研修を実施してきましたが、率直なご感想や、感じられた効果があれば教えて下さい。

高橋様:研修の3ヶ月後にモニタリングを実施しているのですが、受講者が中心になって、研修内容を組織内でリピートする機会を作っていただいたり、上司から折々、研修後の意識や行動変化についてサポートを受けた、といった反響の声が年々増えています。最初の波紋は小さかったかもしれませんが、細部にわたって研修の解像度を上げていく地道な取組みを通じて、この4年間でその輪は大きく広がってきているという手ごたえを感じています。毎年600名くらいの受講者と、少なくとも2、3回はメールで応援メッセージを送るなどのやり取りをして伴走していますが、その中でも、「自分の成長を見守ってくれる存在がいることが心強い」「高橋さんのメッセージに共感した、強い感銘を受けた」といった感謝の声をいただくことも多いです。研修運営を企画し受講者を支える立場として、「企業研修」の価値と成果を高めることができていると実感するひとときであり、やりがいを感じる瞬間です。

「伝えられることは何か」をとことん突き詰めて考える

― 行動変容までの一連の施策として工夫されている取り組みや、こだわりについて教えてください。

高橋様:人材開発や研修は、直接的には企業の利益につながらないかもしれませんが、それが経営の最終段階、いわゆる「ラストワンマイル」を支える重要な役割を担っていると私は考えています。「研修」「学習」というメカニズムを用いて、従業員や管理職の考え方や行動変容を促すのが人材開発の仕事であり、研修の役割と思っています。研修を告知する段階では、研修の理念や設計思想を受講者と所属長に正しく伝え、プログラムもしっかりとしたストーリーが感じられるよう図解化しています。同時に、昨年度の研修風景などは、5~6分程度のプロモーション動画に編纂し、受講者に少しでも前向きに受け止めてもらうことを心がけています。
研修終了後は、研修での「学び」を通じて受講者が自分の立ち位置を把握し、自己評価できる仕組みを作り上げています。研修の内容は受講者全員・所属長に共有し、アンケートや振り返りシート、ルーブリック評価表を基に、プログラムのどの項目がどの程度刺さったのか、それらが一定期間後も行動として持続できたのか、定点観測(モニタリング)を行っています。さらに、テキストデータマイニングを活用して、研修のねらいが受講者に正しく伝わったのかどうか、どのキーワードが受講者にとって重要なファクターであったのか、彼らの気づきは何だったのか、どのように実践し続けるのか、そしてそれを続けるためにどのような工夫をするのかを明確にするため、様々な切り口で分析しています。

― 数年に渡ってNEWONEとご一緒させていただいていますが、お任せ頂いている理由について教えてください。

高橋様:研修体系は、それまでご一緒してきたNEWONEさんとともに、ディスカッションを重ねて、ご一緒に創りあげたものです。こちらの想いを汲み取って形にする構成力、時代が求めるキーワードを具現化する適応力や構造化、分かりやすく図式化する提案力など非常に優れていると感じています。また、他社さんより一歩踏み込んで寄り添っていただき、それは、小野寺さん、山川さんだけでなく、講師の方も同じスタンス・目線で関わってくださり、弊社にとってはベンダーとクライアントという関係性を超えた「One Team」という感覚があります。

自分らしいキャリアを歩むために学びの風土をつくる

― 今後、注力していきたいことや取り組んでいきたいことについて教えてください。

高橋様:一人ひとりの従業員には大上段に構えたキャリアというより、日々の一歩・二歩に手応えを感じ、自分らしいキャリアを歩んでほしい、同時に私たち人材開発室の役割としては、若手からシニア層までが高いエンゲージメントを感じられる会社にしたいと思っています。そのためには、キャリアを応援できる学びの風土やプラットホームを今の時代に適応し、かつ当社のDNAにフィットした形で実装し、熱量をもって育んでいきたいと思っています。学びの風土をつくることは、口で言うほど簡単ではないため、研修や自己啓発といった単発のものだけではなく、それを応援する制度や評価、仕組みといったことと連動していかなければなりません。さらに言えば、どこにでもあるようなお仕着せのプログラムではなく、外からも評価されるような新規性・独自性(大樹生命らしさ)、もちろん利用者目線でもワクワク感をもって受け入れてもらえるような仕組み・施策を創っていきたいと思っています。その序章として、今年度2つのランチタイムイベントの定期開催を開始しました。 リスキリング(学び直し)の社会的要請を踏まえながらも、従業員の自主的・自律的な学びを促進したいという想いから、他社さんと協働し、キャリアやD&I、コミュニケーションスキル、DXなどをテーマに、著名な著者が対談形式で行うセミナー(グローアップ・カフェ~著者がつなぐ“学びの大樹”~)と、役職・部署・勤務地を超えた学びの交流・読書会(ブック・カフェ~著書がつなぐ”人の大樹“~)の2つのイベントを5月からスタートさせています。研修のような「ろうそく型」の学びに加え、じわじわと学びの火が灯るような「炭火型」の学び、その双方とも手を抜くことなく(火を絶やすことなく)取り組んでいきたいと思っています。

―本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。今後も何卒よろしくお願います。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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NEWONE担当からの一言

  • 山川 真美(Yamakawa Mami)

    山川 真美(Yamakawa Mami)

    コメント

    改めて、中期経営計画をもとに階層別研修の体系を一緒に企画させていただき、誠に誠にありがとうございました。今回の企画で、いかに「やった気になって終わる」単発研修ではなく、「継続して学び、アップデートされ続ける」体系をつくるかの重要性を私自身も再認いたしました。大樹さんの従業員一人ひとりの無限の可能性を信じ、私たちNEWONEも"一緒に成長するパートナー"として、これからも全力で伴走させていただきます。