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AI時代の新人育成―実体験から考える、AIとの向き合い方―

AI時代の新人育成―実体験から考える、AIとの向き合い方―

江守 舞

著者

江守 舞

著者

江守 舞

株式会社NEWONEに新卒入社。研修をメインとして、人材育成・組織開発のHRパートナーとして従事。新入社員・若手から管理職まで幅広い階層を支援している。

昨今、AIは単なるトレンドではなく、AIと協働しながら生産性を高めることがスタンダードになりつつあります。

その一方で、新人に仕事を任せる中で、「AIが出した回答をそのまま自分のアウトプットとして提出してくる」「自分なりの考えを持たずに、AIに情報収集や判断を丸投げしてしまう」といった声を耳にする機会も増えてきました。

こうした状況を前に、人事担当者の中には、「AIを活用し、活躍できる人材を育てたい」という期待と同時に、「現在の新人はAIとどう向き合っているのだろう」「社内でもAIの普及が進みそうだけど、どこまでを任せ、どこから自分で考えさせるべきなのだろう」という不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

かくいう私自身も学生時代、AIをレポート作成や情報整理に使っていました。
使い始めた頃は、圧倒的な出力スピードへの驚きが強く、本格的に普及すれば生活の大部分に変化が起こる可能性を感じていました。

今回は、私自身が学生時代にAIを使う中で感じたことを手がかりに、昨今の新人がAIとどのように付き合っていくべきかを考えます。新人を育成する際のヒントになれば幸いです。

学生時代のAI活用から得た気づき

私が学生だった頃、ChatGPTをはじめとするAIの認知度は一気に高まり、多くの学生が課題や長文レポートの作成に、抵抗感なくAIを活用するようになっていました。

使い方が手探りの中で、当時の学生にとってAIは、「うまく使えたら効率が上がる便利なもの」という感覚に近かったように思います。

私も、レポートの構成を考えたり、言いたいことを整理したりするためのたたき台としてAIを使用していました。自分の中でぼんやりしている考えを打ち込み、返ってきた文章を見ながら内容を整理し、「この順番なら分かりやすいかもしれない」「この表現は少し自分の言葉ではないな」と感じた部分を修正していきました。

壁打ちの相手としては、人に相談するよりも心理的なハードルが格段に低く、間違ったことを言っても否定されないという安心感がありました。そのため、まず頭の中にある考えを発散するためのツールとして、とても有用だと感じていました。

また同時に、圧倒的な出力スピードや情報整理の力に驚き、可能性を感じる一方で、その便利さを手放しで信じてよいのかという漠然とした引っかかりもありました。

そうした関心からAIに関する本を読む中で、ハルシネーション(誤情報をあたかも正しい情報のように出力してしまう現象)という言葉を知り、便利さの裏側にあるリスクにも目を向けるようになりました。

学生であれば、提出物に対して教員から、評価基準に基づく一定のフィードバックが返ってきます。
一方で、ビジネスの世界では常に明確な正解があるわけではありません。

そのため、社会人となった新人には、AIの答えをそのまま受け取るのではなく、自分なりの判断軸を持ち、相手や状況に合わせて「正解をつくっていく力」が求められます。

AIを「頼れる選択肢」として使い分ける

では、AIが当たり前に存在する時代において、新人はAIとどのように付き合っていけばよいのでしょうか。
私は「上司や先輩、同僚と同様に、AIも困ったときに頼る一つの選択肢として捉える」ことが大切だと考えています。

相談先の1つとしてAIを活用する(特性を理解したうえで、状況に応じて相談先を使い分ける)

特性を理解し、状況に応じて相談先を使い分けることで、自分の求める助言を得やすくなります。
例えばAIには、人に相談する場合と比べて心理的なハードルが低く、アウトプットを瞬時に得られるといった、人にはない特性があります。

一方で、使い方を誤ると情報漏洩につながったり、誤情報や存在しない事実を出力したりするリスクもあります。こうした利点とリスクの両方を踏まえ、状況に応じて適切に使い分けることで、AIの良さを引き出すことができます。

実際、私はAIを使う際、仕事本来の目的を見失わないように、自分の考えをまとめてからAIに聞くことを心がけています。自分の考えを整理しないままAIに聞くと、それらしい答えが提示されます。

一読しただけで「なんとなく合っているかもしれない」と感じ、AIの答えが自分の答えであるかのように思えてしまう瞬間があります。そうした思考停止を防ぐため、まず自分の頭で考えを整理したうえで、思考を深めるためのツールとしてAIを使用しています。

AIのアウトプットの速さを前にすると、つい頼りたくなりますが、自分がどこで付加価値を生み出し、それを誰に提供するのかを常に意識しながら、業務を進めていきたいです。

AIと協働し、よりよい価値を生み出すために

AIの活用が当たり前になった今、新人に求められるのは、単に「AIを使えること」ではありません。
仕事の目的や背景を捉えたうえで、AIの特性を理解し、状況に応じて相談することが重要です。

AIに答えを委ねるのではなく、まず自分で考え、その考えを深め、相手に届く形へ磨くために活用する。

その姿勢を育てることが、新人がAIと協働しながら、自分ならではの付加価値を生み出していく第一歩になるのではないでしょうか。

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