事例概要
- 実績
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導入サービス
・ シニア層(50代)向け人生100年キャリア開発プログラム『Corekara』
実施概要
50歳以上の方々を対象に、今後のキャリアを考えるきっかけをつくることを目的に開催しているライフプランセミナーにて、弊社の人生100年キャリア開発プログラム『Corekara』のゲームパートを2時間で実施。ゲームを通じて、50代〜70代までの人生をリアルに疑似体験していただくことで、これからのキャリアを考える機会を提供した。
権:本日はどうぞよろしくお願いいたします。早速ですが今回、ライフプランセミナーを実施している背景から伺ってもよろしいでしょうか。
坂井様:以前から、会社生活30年を迎えた人を対象に、今後の人生プランを考えるセミナーを実施していました。ただ、その内容が対象者にとって、あまり前向きな内容ではないといった意見がありました。そこで、3年前に50歳以上の公募型にして、内容もこれからの会社生活と、その先の未来を考えるような前向きな内容に変更しました。まずは、自身の退職金や年金の金額を知り、その上で自分のライフプランを考えるという構成にしています。なるべく早いタイミングで、60歳以降のライフプランを考える機会をつくりたいと思って実施しているセミナーです。
権:なるほど。早いタイミングでライフプランを考える機会をつくるということですね。他社さんでは50代半ばくらいで役職定年を迎える方が多く、一気にモチベーションが落ちてしまうことを危惧されている企業様が多いと思うのですが、貴社の場合はいかがでしょうか。
坂井様:全く同じだと思います。弊社も55歳の役職定年はありますので、そこでモチベーションが下がる人は多いです。弊社は、再雇用率が高く、60歳で定年を迎えても65歳までフコク生命で働く人が多くいます。もちろんそれが悪い訳ではないのですが、私個人としては、いよいよ65歳を迎えて外に出た時に、社会に取り残された人にならないかという危機感を持っています。人生100年時代と言われ始めて数年経ち、世の中の動きも大きく変わってきています。個人の意識も変えていかなければならないですが、会社側の意識も変えなければならないと思っています。
権:なるほど、ありがとうございます。人生100年時代になったことを、ネガティブではなくいかにポジティブに捉えられるかということが、今回やられているセミナーの期待値であり、我々としても啓蒙していきたいところです。
坂井様:弊社では、プロボノや異業種交流を取り入れ、自分のこれまでのスキルや経験を外で活かせるということを体験してもらう機会をつくっています。我々の言葉で言うと、社会感度を高めようという言い方をしていて、変化対応できる人材をつくっていこうと取り組んでいます。
権:プロボノや異業種交流は、とても前向きで良い取り組みですね。生産労働人口が減っていくと言われる中で、企業としてもシニアの活躍の場や役割をつくっていかなければならないというお話は、多くの企業様で伺うようになったと感じています。貴社では、シニア層に対して会社からの役割や期待は変わってきているのでしょうか?
坂井様:役割も変わりつつありますし、変えなくてはということで新しい仕事を生み出すことにも取り組んでいます。シニアが活躍できる仕事を提供し、若手の人手不足のところを、シニア層が支えることをやっていかなければならないと感じています。
ただ、長年やってきたというプライドを捨て、会社に尽くす人がどれだけ増えるのか、本当にそれができるのかは、すごく大きな課題だと思います。昔の部下の下に入って仕事をするということができないと、長く企業で働くことは難しいのかなと。今後シニアをどう活かすかは我々としても課題です。
権:なかなか難易度が高いお話かなと思いますし、多くの企業やシニアの方が悩むところだと思います。会社としてシニア層が活躍する場をつくっていくことがミッションであり、そのためには、これまで培ってきたスキルや経験を棚卸しして、不要なこだわりを外していくということが必要になってくるのかなと思います。
ゲームを通じて未来を楽しく考え、選択肢を広げる
権:今回ライフプランセミナーの1パートで、弊社の「Corekara」というプログラムを一部実施させていただきましたが、改めてご依頼いただいた理由についてお伺いしてもよろしいでしょか。
坂井様:私自身が、NEWONEさんの体験会に参加しゲームを体験させていただきました。ゲームを通じて、これからの自分の人生をシミュレーションできるという点がすごく良いなと思いました。人生を考えると言っても、基礎的な知識がないと漠然としてしまい難しいです。選択肢としてカードがたくさん並ぶ中で、「ああ、こういう生き方もあるな」と知ることもできますし、よりリアルに考える機会が提供できると思いました。自分のこれからを考える上で、選択肢の幅を広げてもらえたら良いなと思い、ご依頼いたしました。
西田:ありがとうございます。ゲームを作る中で、どんな選択肢にするかは何度も練って作らせていただきました。これから先を考えると言っても、考え方がわからないというケースは若手にもよくありますので、50代の方々にも考えるきっかけになれば良いなと思いました。
坂井様:選択するためにはベースの知識を身に着ける必要があり、それには自学自習するか、外に出て学びに行く必要があります。そういう積極的な人ばかりでもありませんので、今回のゲームは考えるきっかけや、気づきになったと感じています。
権:今回のゲームは、自学自習や外に学びに行く一歩手前のところにいる方々に対して、まずはゲームを使って選択肢を知り考えるきっかけをつくり、その後、各自で自学自習を深め、今後についてより詳細に落とし込んでほしいという期待があったということですね。
坂井様:気づきの場としては、とても効果があったと思います。50代、60代、70代をどう過ごすのか、限られた時間の中で選択肢が狭まっていくという設計もリアルでした。また、ゲームで選んだ選択肢によっては、リスクもあるためマイナスが発生したり、社会変化やハプニングカードで、さらにゲームのパラメーターが上がったり下がったりする仕掛けになっており、人生そのものでおもしろいなと思いました。ゲームという架空の設定の中で、ワイワイと楽しみながら疑似的に体験できたことが良かったです。
西田:ありがとうございます。同じ選択肢でも、変化は必ずしも同じではない設計にし、社会変化やハプニングカードで、リアルな人生でも起こりうることを疑似体験して考えるきっかけをつくりました。
権:思い通りにはいかないけれど、人生のコントローラーは常に自分が持っているという感覚は大事かなと考えています。若手もそうですが、シニア層にはより重要になってくることだと思います。
我々としても、北風と太陽のアプローチで言うと、北風で危機感を煽るというよりは、未来に対して少しでもワクワク感が生まれると良いなという想いで、このプログラムをつくったという経緯があります。坂井さんにおっしゃっていただいた気づきの場となり、自分から一歩踏み出すきっかけになると良いなと思います。例えば、いつもは読まない本を読んでみるなど、そういった行動の積み重ねが今後のキャリアをつくっていくことにつながると思っています。
こだわりを見つめ、これまでの経験やスキルを社会に還元する
権:終身雇用が崩壊し、今の50代の方が社会人になった頃と、今とではまったく時代も変わり、これからのキャリアを自分で考えるということに慣れていない人も世の中には多いと感じています。今回のセカンドライフ体験プログラム(Corekara)に参加した方々のご感想や、坂井さんがご覧になって気づいたことがあれば教えてください。
坂井様:後ろから見て回った時、50代は皆さんリアルな選択を考えていたなと思いました。大半の人が「今の企業で働く」を選択しており、60代の選択肢を見ても雇用延長を考えている人が多く、これがリアルだなと感じました。
「目から鱗だった」「気づきが多く有意義だった」という感想が大半でした。改めてこれからのキャリアを考えていない人が多かったのだと感じました。ただ、2時間という限られた時間でしたので、既にこれからのキャリアを考えている人にとっては少し物足りなさがあったという意見も一部ありました。ただ、研修の狙いである、これからのキャリアを考えていなかった人に考えるきっかけをつくるという点では、大成功だったと思います。
権:ありがとうございます。確かに今回はCorekaraのゲームパートのみだったので、もしかするとキャリアに対して意識が高い方は、その後の「こだわりを手放す」パートの方がマッチしていたかもしれないですね。
これから益々変化が激しくなる中、どのような組織をつくっていきたいと思いますか? 坂井さん個人の想いをお聞かせいただけますでしょうか。
坂井様:個人的な見解にはなりますが、視野が広い人が増えてほしいと思っています。物凄いスピードで、これまでにないような変化が起きている時代です。もっと、社外に目を向け社外での経験を社内で還元するということをやっていきたいと思っています。いわゆる「越境学習」というものです。これは、人材開発本部が目指していることでもあります。そのためには、積極的に外に学びにいく人を見守る環境や、管理職の理解を高めなければならないなと思っています。
権:ありがとうございます。副業や兼業をOKにする企業も出てきていますが、外での経験を社内に還元するという考えは、今、まさに時代の流れだなと感じます。
最後の質問となりますが、モチベーションが高いシニアの方と、そうでないシニアの方が世の中にはいると思いますが、その違いはどんなところにあるのでしょうか?
坂井様:与えられた職務に対して、やりがいや働きがいを持てるかどうかかなと思います。私自身も、役職定年まであと数年ですので、モチベーションがゆらぐこともあります。また、その時を迎えた時にしか分からない気持ちもあると思います。しかし、外に学びに出たりこれからを考えたりする中で、会社人生だけがすべてではなく、これからの長い人生を大きく広げて考えていくことが大切だと思うようになりました。そのために先ずは目の前のやるべき仕事に集中して、自分自身のモチベーションを高めていけば良いと私は考えています。
権:今回ご一緒したパートは短かったのですが、我々のプログラムも、本来は自分が持っているこだわりを見つめ直し、これからの人生を考える上で、不要なものを手放すという内容になっています。こだわりを手放すことはとても難しいですが、握ったものを少し緩めることで視野が広がり、他の可能性が見えてくることがあると思います。
社会感度を高めた上で、自分で選択肢を考えるということが、今後のキャリアを考えていく上で重要なポイントなのかなと、今回お話をお伺いさせていただく中で改めて感じました。
本日はお忙しい中、貴重なお話をお伺いさせていただきありがとうございました。我々事業部としても、シニアの方々が活躍できる社会をつくることに貢献できるよう邁進していきたいと思っています。今後とも引き続きよろしくお願いします。