事例概要
- 課題
- リモート環境の増加により、新入社員の間で対面によるコミュニケーションスキルと人間関係の構築が困難になっていた
- 新入社員が即座の答えに頼りがちで、深い思考や逆算思考のプロセスの経験が不足しがちである
- 学生と異なる業務環境において、チームでの成果出しに対する意識やスキルが不十分だった
- 効果
「オンボーディング」ツールを用いたコミュニケーションが、日常的な相互理解とフィードバックの文化を強化。それにより、新入社員やトレーナー間の状態やニーズが可視化され、より迅速かつ適切な対応が可能になった。
- 実績
-
導入サービス
・新入社員ビジネスシミュレーション研修(Accela)
・職場実践支援ツール「オンボーディング」
※上記は企業様に合わせたカスタマイズです。近しいサービスはこちらです。[実施概要
仕事の価値を提供するために必要な「相手の立場で考え、周囲へ発信していく力」を強化すること、また同期間の関係構築を強化することを目的に、2日間のビジネスシミュレーション研修を対面で実施。また、職場実践支援ツールとして「オンボーディング」を活用し、新入社員同士や配属先のトレーナーや先輩とのコミュニケーションを支援。
― 今回、新入社員研修において、2日間の対面研修と職場実践支援ツールの「オンボーディング」を導入して実施しようと思った理由・背景について教えてください。
酒井様:学生時代からオンラインで授業を受け、インターンではリモート勤務していた人が多く、以前よりも対面でのコミュニケーションにハードルを感じる人が増えています。過去の の新入社員研修はフルリモートで実施したのですが、同期間の関係構築に時間がかかる傾向が見られました。これまで対面とオンライン研修の両方をやってみて、特に新入社員においては、研修の合間のコミュニケーションや雑談がとても大切だとわかりました。同期の存在がメンタル面での支えになることはもちろんのこと、同期同士つながっておくことで、配属後にも気軽に情報交換ができ、社内のネットワークも広がり自身の仕事にも活きる ことが多いです。組織に早く適応していくためにも、研修を通じて同期間の関係構築は必須だと思い対面で実施しました。
遠藤様:コロナ禍でリモート勤務が増えたことで、トレーナー側から新入社員とのコミュケーションをどう取れば良いのかわからないという声が多くあがってくるようになりました。また、新入社員からも上長にどういうタイミングでコミュニケーションを取れば良いのかという質問も増えています。そこで、新入社員が日々の状態を共有したり、トレーナー側も新入社員とコミュケーションが取りやすい「オンボーディング」ツールを活用してみたいと思いました。特に入社時のタイミングは、同期同士のつながりやトレーナーとのコミュケーションは重要ですので、研修を対面で実施し配属後は「オンボーディング」ツールでつながる仕組みを導入させていただきました。
すぐに答えが出ないものに対して、考えるプロセスを経験してほしい
― この研修によって、受講者がどうなることを期待していましたか?
酒井様:2日間の対面研修では、「相手視点で思考し、アウトプットすること」を学んでほしいと思いました。昨今 の新卒社員の様子を見ていると、物事の価値を自己判断したり自己完結している場面 が多く見受けられたので、仕事で価値を出すためには、相手の立場になって考えて、周囲に発信していく力を強化することを期待しました。
坂主様:目的から逆算して物事を考える力を身につけてほしいと思いました。良くも悪くも今の時代は、すぐに答えが得られることが多いです。この仕事の目的は何なのか、どんな成果が求められているのか、すぐに答えが出ないものに対して考えるプロセスを経験してほしいと思いました。
遠藤様:チームで成果を出すことを意識して、そこに向けて取り組むことを学んでほしいと思いました。学生時代は、自分の好きな環境で好きな人とやってきたと思うのですが、会社という環境や相手によって求められる価値が違ってきますので、その違いを理解することや、関係者との仕事の 進め方をしっかり身に着けてほしいと思いました。
職種の違う同期から学び合い、ビジネスで求められる成果を体験できた
― 本研修を実施してみた率直なご感想や、感じられた効果があれば教えて下さい。
酒井様:狙い通り、相手の立場に立って考えることや周囲への発信力については変化が見られました。研修の中で、上司に相談すれば追加で資料がもらえるというワークがあったのですが、自分から必要な情報を取りに行くことの大切さを体験できたと思います。先程もお伝えしましたが、手元で持っている情報だけで答えを出しがちな傾向があるので、主体的に情報を取りに行く行動や、相手とすり合わせて最良のアウトプットを出すというビジネスの基本行動は身に着いたのかなと思います。また、研修の中で制限時間内にアウトプットを出すワークが何度かありましたが、弊社の新入社員にとっては良い経験だと感じました。特にエンジニア職やデザイナー職は、自分が納得いくまで、寝食の時間を削ってでも極めるということを学生時代にやってきた人も多く、限られた短い時間の中で求められているアウトプットを出すということが、ビジネスでは当たり前になってくることを、身を持って体験できたことが良かったと思います。
坂主様:研修のグループは、あえて違う職種を混ぜて編成させていただきました。お互いに自分が持っていない視点をインプットしたり、相手に付与できる効果を狙ったのですが、実際に非常に有効でした。例えば、ビジネス職はコスト意識が高かったり、デザイナー職であれば感性の豊かさがあったりと、それぞれが持っている強みをかけ合わせることで相互作用が生まれ、気づきも2倍、3倍に増えている手応えがありました。
遠藤様:「オンボーディング」を使った感想としては、リモートが多い部署においては、日常的にコミュニケーションするツールとして価値があると思いました。出社している人は日常のコミュニケーションや関係構築というよりは、アクションリストの内容がとても有効に機能したと感じました。研修の中で、自分達で考えて決めたアクションを追加しましたが、意識しないとできない行動もあるため、自律的な行動を促すきっかけになっていると感じました。自分達で決めたことを自分達で実行するということが大事であり、それをツールでサポートできたことが良かったと思います。
新入社員の状態やコミュニケーションが一目で可視化される
― 「オンボーディング」を使ってみた新入社員やトレーナーの反応はいかがでしたでしょうか。何か印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
遠藤様:その日のコンディションを共有することで、お互いに状況が見える化されますので同期同士でコメントし合ったり、トレーナーや先輩もプライベートなことを気にかけて「週末どうだった?」と投稿しているのを 見かけました。また、業務についても「あの行動はすごく良かったね」というやり取りなど、新入社員とトレーナーや先輩とのコミュニケーションツールとして、とても有効に活用できたと思います。
坂主様:「オンボーディング」の画面を見ると、一目で誰が調子良いのか悪いのかが見えるので良いなと思いました。このツールがハブになって同期同士のつながりが継続されており、配属先のトレーナーや先輩とのつながりが見えたことが良かったです。
酒井様:自分からアクションを起こすことは改めて大切だと思いました。学生時代は勉強しやすい環境を学校側 が整えてくれていたので、やりやすい環境は誰かがつくってくれるものという感覚があったかもしれません。 。しかし、社会人になると働きやすい環境を自分も一緒につくっていかなければなりません。 そのことに気づく良い機会であったと思います。
※(イメージ図)オンボーディングツール
コミュニケーションのあたたかさを大切に、内的報酬を高めていきたい
― 貴社の新入社員の傾向や育成において、以前と変わってきたと感じるところや難しさがあるとすればどんなところになりますか。
酒井様:コミュニケーションに想い入れのある新卒が入社してくるという点では、以前と思想や価値観は変わっていないのですが、育成で難しくなっていることとしては、リモート環境でのON・OFFの切り替えです。また、先輩の背中を見て育つということが難しくなったため、仕事のペース配分や細かいすり合わせが簡単にできなくなり、本人たちの不安が強く、以前よりもフォローが必要だと感じています。
遠藤様:学生からリモート環境であったため、チャットやメールでのコミュニケーションに慣れており自分の都合で動く傾向が強まっています。そうすると、現場との温度差があり受け入れる側が戸惑っているケースが多く見られます。ただ、新卒の方にとっては、それが理解できないというかコミュニケーションの前提が違っているので、すり合わせが必要になってきていると感じます。以前のように、自然と通じ合っていくということが難しくなってきています。
坂主様:年々ハードルがあがっていると感じることは、いかに自己を客観視 させられるかという点です。弊社の新卒社員に限らないと思うのですが、持っているスキルや発揮できる価値が、会社を超えている 方もいらっしゃいます 。大学生のうちに起業して多くの成功体験を積んでいたり 、自己実現のために会社に所属しない選択をする方 も増えています。そうした方々に どのような メッセージを投げかければ、自分の行動を省みてもらえるか、私たちも工夫していかないと 以前と同じような伝え方では伝わらなくなっていると感じています。
― 人材流動化が当たり前となる中、新卒で入社した方がミクシィに居続けたいと思うような工夫は何かされているのでしょうか。
坂主様:ミクシィがこれまで生み出してきた 、あたたかいつながりは、今でも 一人ひとりが意識して行動しています。それが居心地の良さにもつながり、ミクシィで得た経験自体がこの会社にずっと居続けたいと思わせる要因の一つだと捉えています。そういった内的な報酬を高めることと、スキルや価値に見合った外的な報酬の両方が必要だと考えています。
― 今回のような新入社員研修は、どんな組織にお勧めしたいですか?
酒井様:業界や規模感、組織のフェーズを問わず、万能な研修だと思っています。営業職はもちろん、エンジニアやデザイナーなどの技術職の人にもお勧めできる内容です。特に他者を巻き込んで成果を出すという点においては、新卒だけでなくベテランも必要とされる能力です。新入社員や若手の早い段階に、そういったビジネスに必要な基礎を学ぶことは有効なのではないでしょうか。
遠藤様:4月の導入時はもちろんですが、半年くらい仕事の経験をする中で、他者を巻き込まないとうまく仕事が進められないということに気づいたタイミングで実施してもよい と思いました。実際、昨年10月に入社し今回の4月に受講した人がいるのですが、とても気づきが多かったので、実際に仕事を経験してから受講しても効果が高いと思います。
― 弊社とは長いお付き合いとなりますが、改めてNEWONEにお任せいただいている理由についてお聞かせください。
酒井様:上林さんに歴代の新卒社員を見ていただいているので、今年の傾向やこれまでとの違いを敏感に分析していただけるところです。また、弊社のコミュニケーションは、やわらかい傾向があるのですが、社会人としての基準値を高く示してくださりメリハリのあるコミュニケーションを取っていただけます。また、弊社の価値観や風土をよく理解いただき、一人ひとりの特性に合わせたかかわりをしていただいており、その温度感が絶妙なので安心してお任せしています。
自走する育成文化をつくり、パーソナライズされた研修を提供していきたい
― 今後、新入社員の育成において注力すること、取り組んでいきたいことはありますか?
酒井様:現在、OJTのブラッシュアップを行っています。新入社員の内的報酬を上げていくためにもトレーナーや人事 がどのようにかかわっていくかが重要です。 育成する側が、新卒社員のモチベーション を高めるコミュニケーションが取れるように注力していきたいです。また、海外の大学を卒業した人の受け入れが増えているので、4月以外の入社が増える可能性があり、今後入社時期が分散していくことが予想されます。それを踏まえ、どのタイミングで入社してもクオリティー高く必要なものを付与できように、体系的に研修を提供できるように整えていきたいと思っています。
遠藤様:組織が自走して後輩を育成できる文化をつくっていきたいと思っています。特に新入社員の育成においては、現場の先輩社員を巻き込んだ育成文化を強化していきたいと思っています。上司や事業の責任者も含めて、後継者を育てる意識を持つために仕組みづくりや体系化に取り組んでいきたいと思います。
坂主様:会社のあるべき姿から逆算して、どういう人材を育てていくのかを定義していきたいです。また、酒井がお伝えしたように、これからいろんな属性の新卒が入ってきます。等級もより上位のグレード で入ってくるケースも想定されますので、これまで画一的に行ってきた研修を、個人の特性やバックグラウンドに合わせて、パーソナライズされた最適な教育を提供していきたいと思っています。
― 本日はお忙しい中、貴重なお話をお伺いさせていただきありがとうございました。今後とも引き続きよろしくお願いします。
◆プログラム概要
◆受講者アンケート(一部抜粋)
・相手の期待値をくみ取ることの大切さ、目的・あるべき姿を最初に確立することの大切さを学んだ
・人を巻き込むうえで、相手の背景を捉えることが大事だと思った。相手の期待を超えることを意識していきたい
・対面コミュニケーションの難しさ、複数のステークホルダーが絡む仕事の難しさ、チームワークの難しさを体験できたことが良かった
・相手の期待を超えることで、さらに挑戦するチャンスに恵まれるなど、雪だるま式に良い影響が広がると思った
・期待値を、誰がどれだけ持っているかを意識することが大事だと思った
・チームで協力してワークすることの大切さがわかった
・2日間の研修の前と後では、同期への理解がかなり深まりました
・同期の良いところをどんどん学んで即実践していきたいです
NEWONE担当からの一言
山川 真美
組織・人材開発事業部
コメント
何年も新入社員研修をご一緒させていただいており、そのたびに新入社員のご状況に合わせて新たな取り組みを導入させていただきありがとうございます。今回はオンボーディングツールを導入し、研修の中で自社ならではのオンボーディング行動を洗い出した際は「上司・先輩とモンストで遊ぶ機会をつくる」のようにMIXIさん独自のアイデアもあり、非常に前向きに取り組まれていた印象が強く残っています。配属後、自分自身でチームに加わる感覚や環境をつくっていく意識は今後も早期から醸成することが重要ですので、より新入社員の皆さんが職場にオンボードするようお役立ちしたいと思います。