事例概要
- 課題
- 若手から管理職までの育成が体系化されておらず、年次や役職を越えて一貫したメッセージを伝える仕組みが十分に整っていなかった。
- 管理職層において、部下育成やマネジメントへの意識・経験にばらつきがあり、組織全体で育成文化を醸成する必要があった。
- 座学中心の研修が多く、受講者が自分事として捉え、行動変容につなげる機会を十分に提供できていなかった。
- 効果
- 若手から管理職までエンゲージメントを軸にした育成の流れが構築され、階層を越えて一貫したメッセージを伝えられるようになった。
- 自己理解や他者評価を通じて行動変容が生まれる事例が見られ、主体的に成長しようとする職員の姿が現れ始めている。
- 管理職が部下育成に関心を持つようになり、組織全体で育成に向き合う意識が少しずつ高まってきている。
- 実績
サービス
1年目研修、2年目研修、3年目研修、5年目研修
新任監督職研修、新任管理職研修、コーチング研修、マインドセット研修対象
・1年目職員
・2年目職員
・3年目職員
・5年目職員
・新任監督職
・新任管理職
・中途入職者
・内部登用者実施概要
若手職員から管理監督職までを対象に、エンゲージメントを軸とした職員育成を段階的に導入。各階層で求められる視点や役割を意識した研修を継続的に実施し、「一つ上の役割を見据えて働く職員」の育成と組織全体の育成文化の醸成に取り組んでいる。
- 担当者の
こだわり
― 2020年から若手層の研修をきっかけに、ご支援させていただいており、1年目、2年目、3年目、5年目、新任監督職や新任管理職、コーチング研修などを実施してきましたが、複数階層への導入に至った背景や理由について教えてください。
野原様:本学でNEWONEさんの研修を導入したのは、元々2年目・3年目職員向けの研修からでした。その後、1年目、新任監督職・管理職、コーチング研修、5年目研修へと、段階的に対象を広げてきました。
当初、1年目研修は学内で実施しており、部署紹介やトップ層の話を聞く機会が中心で、内省や働く意味を深く考えるような機会は十分ではありませんでした。そこでまず、若手職員のエンゲージメントや働く上でのモチベーションの持ち方をテーマに、2年目・3年目研修をお願いしたのが始まりです。伴走型で進めていただける点や、職員に対するメッセージ性の高さが非常に印象的でした。
実施を重ねる中でアンケート評価も高く、従来の座学中心の研修とは異なり、受講者自身が考えてアウトプットするプロセスや、半年後のフォローアップまで含めた一連の設計に大きな手応えを感じました。こうした経験から、1年目から3年目までを連続した育成の流れとして設計した方がより効果的ではないかと考え、対象を1年目にも広げました。
さらに、管理監督職についても同様の考え方を取り入れました。本学では、部下育成や指導に関する意識や経験が必ずしも十分とは言えない面があり、管理職に対して育成の視点を強化する必要性を感じていました。そこで、以前から導入したいと考えていたコーチング研修を部長級も含む全管理職層向けに実施し、その後、新任管理職研修や新任監督職研修にも展開していきました。管理職向けのコーチング研修も非常に好評で、部下育成や1on1の実践を考えるきっかけになったと感じています。
こうして複数階層へ展開していく中で重視していたのは、「エンゲージメント」を軸にした一貫したメッセージを組織全体に届けることでした。職員として大切にすべき考え方や姿勢は、階層が異なっても大きく変わるものではありません。本学の状況や職員の特徴を理解している講師が、年次や役職に応じた形で同じ軸のメッセージを発信してくださることで、一貫性のある育成が実現できていると感じています。
結果として、若手から管理職までを通じて、エンゲージメントを軸にした育成の流れを構築できたことが、複数階層への導入に至った大きな理由です。
「一つ上の階層」を見据えて働く職員を育てる
― 複数階層へ研修を実施することで、組織や職員の方々がどうなることを期待されましたか?
野原様:研修は、学んだことがすぐに成果として現れるものばかりではなく、長期的に効いてくるものもあれば、時間とともに薄れてしまうものもあると思っています。それでも、研修を実施する以上は、「そのタイミングで必要な視点や考え方を届けること」が重要だと考えています。そのため、各階層に求められる役割や視点を踏まえながら、内容やメッセージを一緒にブラッシュアップしてきました。
複数階層に研修を展開する目的の一つは、「一つ上の階層を見据えて働ける職員を育てたい」という点にあります。役職や階層が変わった瞬間に急に役割を果たせるようになるわけではなく、前の段階から次の役割を意識して仕事をしているからこそ、新しいポジションで力を発揮できると考えています。そのため、研修では「次の階層で求められるマインドや視点」を意識づけるメッセージを大切にしてきました。
例えば、新任監督職のタイミングでは管理職としての視点を見据えること、若手職員の段階では将来の役割やキャリアを意識することなど、それぞれの節目で少し先の役割を考える機会を設けています。必要なタイミングで必要なメッセージを届けることで、職員が各ポジションで主体的に役割を果たせる状態になることを期待しています。
こうした取り組みを通じて、職員一人ひとりが自分の役割を理解しながら次のステップを見据えて成長し、結果として組織全体の力につながっていくことが、複数階層で研修を実施している目的です。
育成に対する関心や意識が組織全体として高まってきた
― 数年に渡って研修を実施させていただく中で、職員の方の意識や行動、職場の雰囲気などにどのような変化がありましたか?印象に残っているエピソードがあればお聞かせください。
野原様:特に印象に残っているのは、2年目・3年目研修を通じた職員の変化です。2年目研修ではクリフトンストレングスを活用し、自分自身の強みを理解することに取り組み、3年目研修では他者評価を通じて強みや弱みを捉え直す機会を設けています。
実際に3年目研修を受講した職員の中に、他者からの率直なコメントをきっかけに大きく意識と行動を変えた方がいました。研修を通じて自分の改善点を真剣に受け止め、応対の仕方などを意識的に変えていった結果、周囲が見ても分かるほどの変化が生まれました。こうした姿を目の当たりにしたとき、段階的に自己理解を深めていく研修の意義を強く感じました。
また、研修全体を通じて、講師と職員の関係性が深まっていることも変化の一つだと感じています。講師が学内を訪れると、過去に研修を受けた職員が気軽に声をかける様子が見られるなど、これまでにはなかった関係性が生まれています。3年目研修のフォローアップでは管理職にも参加してもらい、研修内容や受講者の様子を共有する機会を設けていますが、終了後に講師へ質問に行く管理職の姿も見られ、部下育成や関わり方への関心が少しずつ高まっていると感じています。
特に管理職層については、コーチング研修などをきっかけに、育成やマネジメントについて学びたいという意欲が見られるようになりました。管理職同士が研修の場で活発に議論する様子も増えており、育成に対する関心や意識が組織全体として徐々に高まっている手応えがあります。
一方で、研修の学びが現場でどのように実践されているかを日常的に把握することは難しいという課題もあります。しかし、こうした個人の行動変化や管理職の関心の高まり、職員と講師との関係性の変化などから、数年に渡る取り組みが少しずつ組織文化に影響を与えているのではないかと感じています。

成功体験を生み出す環境づくりがエンゲージメントを高める
― 職員の方がエンゲージメント高く働くために、特に「日々の職場で重要だ」と感じているポイントは何でしょうか?
野原様:管理職の視点で考えると、職員が積極的に仕事に取り組もうと思える環境をつくることが、エンゲージメントを高めるうえで重要だと感じています。挑戦する機会を用意し、それを実行に移してもらい、成功でも失敗でもさまざまな経験を積む中で、最終的に成果や達成につながるようにフォローしていくことが大切だと思います。
特に、職員自身が「達成できた」「手応えを感じられた」と実感できる成功体験を積み重ねることが、主体的に働く意欲につながっていくのではないでしょうか。そうした経験を得られる環境を整え、継続的に支援していくことが、日々の職場においてエンゲージメントの高い状態を生み出す重要なポイントだと考えています。
企業の取り組みを大学組織に落とし込む工夫は必要
― 大学という組織で育成を進める際の「難しさ」と、逆に「やりがい」を感じる点について教えてください。
野原様:大学という組織ならではの難しさとして感じるのは、教員と職員という二つの組織が並行して存在している点です。様々な取り組みについて、教員・職員による合意形成や会議体での承認を経る必要があり、企業と比べると意思決定や施策の実行に時間がかかることがあります。
また、職員育成の文脈では、企業の事例をそのまま当てはめることが難しい場面もあります。「大学と企業は違う」という意識が働くこともあり、企業での取り組みをどのように職員組織に落とし込むかは工夫が必要だと感じています。ただ、近年はキャリア採用の増加などもあり、こうした意識は少しずつ変化してきている印象があります。
一方で、やりがいとして感じているのは、職員が非常に真摯に取り組んでくれる点です。新しい研修や取り組みを導入した際も、多くの職員が前向きに参加し、継続的に学び続けようとする姿勢があります。例えば、管理職向けのコーチング研修では、日程調整をしながら全員が受講を完了することができましたし、メンタルヘルスマネジメントなどの学習機会に対しても、主体的に取り組む姿が見られます。
このように、職員が真面目に学び、実践しようとする土壌があることは、育成を進めるうえで大きな強みだと感じています。新しい取り組みに真正面から向き合ってくれるからこそ、職員育成施策の手応えを実感できる場面も多く、そこにこの仕事のやりがいを感じています。
伴走型の研修づくりと、受講者に“届くメッセージ”へのこだわり
― 長年にわたりNEWONEにお任せいただいている理由や、ご一緒する中で価値を感じていただいている点があれば教えてください。
野原様:長年NEWONEさんにお願いしている理由として大きいのは、当初から変わらない「伴走型」の支援にあります。毎年の研修内容について一緒に検討し、本学の状況や職員の状態を踏まえながら、伝えたいメッセージを丁寧に言葉にしていくプロセスに価値を感じています。
特に印象的なのは、私たちが伝えたいニュアンスや意図を汲み取りながら、受講者に自然に届く言葉へと整理していただける点です。パッケージ型の研修ではなく、本学に合わせて一緒に作り上げていくため、受講者である職員にとって納得感のある内容になっていると感じています。そうしたメッセージの親和性が、高いアンケート評価にもつながっているのだと思います。
また、研修の資料づくりから実施までを一体として担っていただける点も大きな価値だと感じています。担当の方が直接ヒアリングした内容をもとに研修内容を作成し、それを講師が自身の言葉で伝えることで、資料と講師が一体となった研修が実現していると感じています。この一貫した関わり方が、本学にとって安心感につながっています。
こうした二人三脚の関係性の中で、本学の職員育成に継続的に向き合っていただいていることが、長年ご一緒している理由であり、最も価値を感じている点です。

― 今回のような取り組みは、どのような組織にお勧めしたいですか?
野原様:特定の業界や規模に限らず、人材育成や組織づくりに課題を感じている組織であれば、こうした取り組みは有効ではないかと感じています。組織ごとに状況や文化は異なりますが、人が働く組織である以上、育成やエンゲージメントに関する悩みには共通点も多いと思います。
研修は即効性のあるものではなく、人の成長に与える影響は一部だとも言われます。しかし、その一部の学びが日々の業務経験や挑戦の質に影響を与え、結果として成長を支えていく側面があると感じています。だからこそ、表面的な知識の提供にとどまらず、受講者自身の中にしっかり入り込む内容であることが重要だと思います。
これまでさまざまな研修会社と取り組んできた中で、NEWONEさんの研修は受講者が自然に受け入れ、自分事として考えられる点に強みがあると感じています。また、一方的に提供されるのではなく、組織の状況に合わせて一緒に内容を作り上げていける点も大きな価値です。
人材育成や組織づくりに少しでも課題意識がある組織であれば、階層やテーマを問わず、一度相談してみる価値のある取り組みだと感じています。
育成の流れを定着させ、長期的な組織変化につなげる
― 今後、取り組んでいきたいことや注力していきたいことについて教えてください。
野原様:今後については、まずこれまで構築してきた育成体系を着実に定着させていきたいと考えています。現在、1年目から3年目、5年目、新任監督職、新任管理職、コーチング研修まで、複数階層にわたって研修を展開しているため、この流れを安定的に運用しながら、内容を継続的にブラッシュアップしていくことが重要だと考えています。その時々に必要なテーマや情報を取り入れながら、ブレのない育成を進めていきたいと思っています。
職員の育成に関わる部署として、私たちが目指す職員像や組織のあり方を意識し続けることも大切にしていきたい点です。制度や取り組みについても、まだ発展途上の部分が多く、今後も改善や見直しを重ねていく必要があると感じています。
大きな変化を一度に目指すというよりも、これまでの取り組みを積み重ねながら、長期的に組織の変化につなげていきたいと考えています。今回のような研修を受けた職員が10年後、20年後に組織を担う存在となり、これまでとは少し違ったマインドで働いてくれている状態をつくれたら理想的です。その経験が次の世代へと受け継がれていくことで、育成やエンゲージメントへの理解が組織全体に広がっていくことを期待しています。
― 本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願いします。
◆全体像


また、「一つ上の視点を持って働く」職員を増やしていきたい、という野原様の熱い想いに、いつも刺激をいただいております。今後も、関西学院様の職員育成・エンゲージメント向上に伴走させていただければ幸いです。