信頼構築から部下の“成長を支援する”1on1へ
~「自律自走する組織」を実現する管理職研修~

三菱電機株式会社 関西支社様
※写真左から 三菱電機株式会社 関西支社 総務部 人事研修課 足立 安里紗 様 株式会社NEWONE 組織・人材開発事業部 HRパートナー 青木 美奈 株式会社NEWONE 戦略ソリューション部 部門長 山口 陽輝
会社名
三菱電機株式会社 関西支社
https://www.mitsubishielectric.co.jp/ja/
業界
総合電機
従業員規模
10,000名以上
対象範囲
管理職・マネージャー

事例概要

課題
  • 2021年度から1on1を推奨しているものの、1on1の目的への認知が「信頼関係構築」に留まり、1on1の目的である「部下の成長を支援するための伴走」を意識していない管理職が多かった
  • スキルやノウハウを教えると、「絶対解」としてとらえがちで、相手に合わせたかかわり方の使い分けに課題感があった
効果
  • 1on1の目的は信頼関係構築だけでなく、「部下の成長を支援する伴走」の手段の一つであることへの理解が深まった
  • 部下の成長を支援するためのかかわり方は、相手や状況に合わせて、使い分ける必要があると気づきを得た
実績

[サービス]

1on1研修
※上記はこちらのサービスをカスタマイズしています

[対象]

管理職(課長層)

[実施概要]

2024年度の人事処遇制度の変更に伴い「自律自走する組織づくり」がテーマとして掲げられ、課長層(新任含む25名)に対して、従業員の“成長支援”を目的に「1on1研修」を実施。

担当者の
こだわり
従業員が成長する組織づくりの必要性が各社様で叫ばれるようになってきているかと思います。三菱電機様では、管理職からの部下への関わり方をアップデートすることを通じて、「自律自走する組織」づくりを狙ってご一緒させていただきました。 組織風土を変えていくためには、大きな力が必要かと思いますが、きっかけとして、部下と関わる機会の多い課長級の管理職向けに、意識転換を促す仕掛けは効果的だと感じています。本施策は、管理職向けの施策ではあるものの、その組織で働く従業員の状態や、従業員にどうなってほしいか、どんな組織を作っていきたいのか、をご担当の足立様とすり合わせて設計をしました。育成においては、受けた関わりを部下や後輩にすることが多いと言われていますので、管理職の関わりをアップデートすることで、組織全体に波及させていくことにつながるのではないでしょうか。 三菱電機様の各場所の皆様とお打ち合わせや研修でお会いさせていただく際には、「この場所で起きていることは他の場所でも起きているのではないか?これは場所特有の課題なのではないか?」等、複数の側面から組織をとらえ、施策設計することを大切にしています。今後も、各場所の皆様と連携しながら、会社全体規模で「伴走するHRパートナー」として、微力ながらお役に立てれば幸いです。

― 今回、改めて「1on1」研修を課長層に実施しようと思った背景や理由について教えてください。

足立様:課長層を対象にした理由は、組織内のコミュニケーションの要が課長級の管理職にあると考えているためです。当社では副課長など新たなポジションも設けていますが、やはり課という単位のチームワークを支え、現場を動かしているのは課長層です。そうしたキーマンに部下の成長を支援する1on1のスキルを身につけてほしいという想いがありました。
1on1を最初に導入したのは2021年度で、コロナ禍以降の働き方の変化がきっかけでした。リモートワークが広がり、働く環境が一気に変化する中で、特に管理職から「リモートの部下とどう関わればいいかわからない」という声が多くあがっていました。
さらに、同年に発生した品質不適切事案を通じて、社内の分析でも「職場のコミュニケーション不足や風土の問題」が背景にあることが明らかになりました。こうした経緯から、エンゲージメントの向上と職場内コミュニケーションの活性化を目的に、全社的に1on1の取り組みをスタートさせ、そこで初めてNEWONEさんにご支援いただきました。
現在(2025年度)は1on1自体の認知は広がりましたが、当初の目的である成長支援や風土改善の本質が薄れ、「1on1=雑談」と捉えられる傾向が見られました。課長層からは「営業同行などで普段から話している」「わざわざ時間を取る必要があるのか」といった声も聞かれ、1on1の意味づけにズレが生じていたのです。
ちょうどそのタイミングで、2024年度に人事処遇制度の改定があり、会社として「自律自走する組織づくり」を掲げました。これを実現するには、雑談的なコミュニケーションではなく、部下の成長を支援し、自律へと導く関わりが不可欠です。
そこで今回は、「1on1=雑談」というイメージを刷新し、“成長支援”と“自律自走に向けた伴走”をテーマに、改めてNEWONEさんに研修をお願いしました。

「1on1=雑談」から「部下の成長を支援する場」への意識転換

― 今回の研修によって、受講者がどうなることを期待していましたか?

足立様:今回の研修の大きなゴールは、「自律自走する組織をつくる」ことです。そのためには、単に業務を指示するのではなく、部下の成長を支援する関わり方を身につけることが重要だと考えました。
ティーチングとコーチング、アドバイスとフィードバックの違いを理解し、状況に応じて適切に使い分けられるマネジメント力を養うことを狙いとしています。1on1研修とはいえ、実際にはマネジメント研修の要素も強くありました。
1on1という機会を「ただ話す時間」と捉えるのではなく、“部下の成長を支援する場”として活用できるようになることを期待していました。相手にどう関わるかを意識的に選び取れるようになってほしい、そのための実践の場として研修を設計しました。
また、もう一つの狙いは、「1on1=雑談」という固定した考えを変えることでした。雑談や飲み会でのコミュニケーションも大切ですが、それだけにとどまらず、業務を通じて部下の成長を促す対話ができるようになること。コーチング的な問いかけを通じて、部下の内省を促し、行動変容につなげること。そんなスキルを身につける場として、今回の研修を位置づけていました。

部下とのコミュニケーションの“質”そのものを見直すきっかけに

― 実際に1on1研修を実施してみた率直なご感想や、その後の変化があれば教えて下さい。

足立様:研修は9月に実施しましたが、10月から12月末までは「1on1強化期間」として設定し、今回受講した課長層の方々には、実際に1on1を行うよう依頼しました。皆さん業務が非常に忙しい中で、こうした明確な期間設定や指示がないと行動に移すのは難しいところもありますので、「学んだことを活かして、やってみましょう」という形で、今はまさに実践段階に入っているところです。
研修の中では、アドバイスとフィードバックの違いや、ティーチングとコーチングの使い分けといったテーマを学んでいただきました。これらを通じて、上司と部下のコミュニケーションの“質”そのものを見直すきっかけになったと思います。実際、受講後のアンケートでも「関わり方のレベルの違いを意識できるようになった」「コミュニケーション全体を見直すきっかけになった」という声を多くいただき、非常に有用な研修だったと感じています。
当社の管理職は、良くも悪くも非常に真面目な方が多く、「教わったことを全部やらなければ」と捉える傾向がありますが、“関わり方”は状況に応じて使い分けることが大切です。その点を研修で丁寧に伝えていただけたことで、受講者の理解が深まり、「使い分けることが大切」と受け止めてもらえたと思っています。アンケートの回答からもその意図がしっかり伝わっていることが確認でき、実施して本当に良かったと感じています。

管理職は日々部下との関わりに迷いながら向き合っている

― 研修の中で印象に残っているエピソードや、新たに気づいたことなどがあれば教えてください。

足立様:副産物的な気づきにはなりますが、新任の管理職層のリアルな姿を肌で感じられたことが印象に残っています。今回の研修では、新しく管理職になった方が多く参加しており、グループワークやディスカッションを通じて、「管理職も迷いながら日々部下と向き合っている」という現実がよく見えました。これは、集合型で実施したからこそ得られた貴重な発見だったと思います。
新任の管理職にとっては、これまでの“先輩・後輩”の関係から“上司・部下”の関係に変わること自体が大きな変化です。研修を通じて見えてきたのは、自分が持つ影響力を自覚しているからこそ、部下との関わり方にためらいを感じている管理職が多いということでした。
管理職としての立場を意識しすぎて、どう関わるべきか迷っているという声が多く聞けたことは、人事としても非常に重要な気づきであり、「今後は管理職層へのサポートをもっと丁寧に設計していく必要がある」と改めて感じました。具体的には心理的な負担を減らせるような機会を検討したいと考えています。
研修を通じて、単に受講者の変化だけでなく、人事としての新たな課題や発見を得られたことが大きな収穫でした。これも、NEWONEさんという第三者の立場の人に研修をやっていただけたおかげだと思っています。社内だけで実施したら、人事の前では言いにくいということもあったのではないかと感じています。そういう意味でも今回NEWONEさんにお願いできて非常に良かったです。

部下の成長を信じ、関心を向けてもらえている実感を得てもらうこと

― 今回、部下の成長支援を目的に1on1研修を実施しました。成長支援ができる風土や職場づくりに取り組まれている企業も多いですが、部下の成長を支援するうえで、何が一番のポイントになるとお考えですか?

足立様:とても難しい問いですが、一番大切なのはやはり、上司が部下一人ひとりに日頃から関心を持つこと、そして「この人はきっと成長できる」と信じてあげることだと思っています。その信頼や関心がなければ、そもそもメンバーの成長支援は成り立たないと感じています。
もちろん、管理職の多くは部下に関心を持っています。ただ、重要なのは「上司が関心を持っている」ことではなく、「部下が関心を向けてもらえていると実感できるか」どうかです。上司が「ちゃんと見ているよ」「応援しているよ」と言葉で伝えても、それだけではなかなか実感にはつながりません。
そこで大切になるのが、こまめなフィードバック(リアクション)だと考えています。当社では現在、1on1の実施を月1回推奨としていますが、日常の中でもっと細やかなフィードバックを意識していくことが重要だと思っています。
例えば、「この間のあの対応、すごく良かったね」といった小さな声かけやリアクションが、“見てもらえている”という安心感を生み、上司の関心が部下に伝わる行動になると思います。それが積み重なることで、メンバーの「がんばろう」「もっと成長したい」という主体性につながっていくのだと思っています。
成長や主体性は、いきなり「もっと成長しなさい」と言って育つものではなく、上司の関心とフィードバックがあって初めて、部下が自分の成長を信じ、行動を起こせるのだと思います。その意味で、フィードバックこそが“成長支援の起点”だと感じています。

― 今回NEWONEにお任せ頂いた理由、決め手について教えてください。

足立様:NEWONEさんには、2021年度からお世話になっています。当時から一貫して感じているのは、非常に丁寧で的確なカスタマイズ対応をしてくださるという点です。私たちの課題感や受講者の特性をしっかり理解したうえで、「どのようなアプローチが効果的か」を常に考え、こちらの想定を超える提案をしてくださるところが本当に頼もしく、有り難いと感じています。他社と比べても、この企画設計から提案までのカスタマイズのクオリティは際立っています。単に要望に応えるだけでなく、背景にある意図や現場の状況を汲み取ったうえで、最適な研修設計を考えてくださるので、安心してお任せできる存在です。
また、当社では全社的に管理職向けキャリア研修など、複数のテーマでNEWONEさんにご協力をいただいています。各支社や部門で実施した取り組みを横断的に把握・共有してくださる点も非常に助かっています。「他拠点ではこういう取り組みがありました」「このテーマではこういった反応がありました」といったフィードバックを通じて、当社全体を俯瞰した設計や改善提案をしてくださるのは、まさにNEWONEさんならではだと感じています。いつもこちらの立場に立って考えてくださる姿勢に感謝しています。

中長期的な成長を考え、健全で建設的なコミュニケーションの型を学ぶ

― 本研修は、どのような組織にお勧めしたいですか?

足立様:当社のように組織が大きくなると、事業や拠点によって文化や風土が異なってきます。そうすると、一般的なパッケージ型研修ではなかなかフィットしないこともあります。その点、NEWONEさんは現場の実情を丁寧にヒアリングし、組織ごとに最適な形で設計してくださるので、そうした企業には特にお勧めできると思います。
今回の1on1研修という観点で言えば、「自律自走」や「主体的な成長支援」というテーマは、今まさに多くの企業で問われている課題です。表面的には「雰囲気がいい」「関係性が良好」といった状態でも、コミュニケーションの質そのものを見直す必要があると感じている組織も少なくないでしょう。そうした企業にとっては、この研修が職場での関わり方を再定義し、成長を促す文化を育むきっかけになると思います。
最近では、多くの企業がハラスメントへの懸念から、部下との関わり方に慎重になり過ぎてしまう傾向があるように感じます。寄り添う姿勢は大切ですが、必要以上に踏み込めずに終わってしまうと、結果的に部下の成長機会を奪ってしまうことにもつながりかねません。中長期的な視点で見れば、部下や組織が成長するためには、やはり一歩踏み込んだ関わりが必要です。とはいえ、“優しいだけ”でも、“厳しいだけ”でもうまくいかないので、その間にある、健全で建設的なコミュニケーションの型を学ぶ機会が、今の時代ほど求められていると感じています。

全社員が自ら考え行動し、仲間を支え合う「自律自走する組織」をつくる

― 今後、注力していきたいことや取り組んでいきたいことについて教えてください。

足立様:当社では「人的資本経営」を重要な柱として掲げています。人を“コスト”ではなく“将来の価値を生み出す資本”と捉え、その資本を最大限に活かすことが、当社のありたい姿です。そのために、人事としては従業員一人ひとりのパフォーマンスが最大化される環境づくりをミッションとしています。
特にキーワードとして掲げているのが「自律自走」です。自律自走する強い組織をつくるためには、制度や仕組みだけではなく、日々の職場での“関わり”が重要になります。今回の1on1研修も、その「関わりの質を高める」ための取り組みの一環として位置づけています。1on1は単なるコミュニケーション手法ではなく、部下の成長を支援し、組織全体の自走を促すための手段です。いずれは“1on1”という言葉にとらわれず、「従業員支援」や「組織づくり」といったより広い概念として定着させていけたらと考えています。
また、当社では人事処遇制度の改定に合わせて、「自律」や「キャリア自律」も全社的なテーマに掲げています。とはいえ、「自律してください」と言われても、現場では何から始めればよいか戸惑うケースも多いと思います。だからこそ、人事としてはその“自律”に向かうための道筋を示し、現場との橋渡しをすることが重要だと考えています。制度と現場をつなぎ、社員一人ひとりが主体的に動けるよう支援していくことが、今後の大きなテーマです。
さらに、当社では「変える・つながる・支える」という3つの行動要件を定めています。このうち「支える」には、後輩育成や他部門との連携など、周囲に貢献し合う姿勢が含まれています。つまり、育成は管理職だけの役割ではなく、全社員が担うべき組織文化の一部であるという考え方です。
今後は、管理職層だけでなく一般社員も含めて、自ら考え行動し、仲間を支え合う、「主体的に動ける組織づくり」の実現に向けて取り組んでいきたいと思っています。

― 本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願いします。

◆プログラムの狙い(概要)

◆受講者アンケート(一部抜粋)

  • フィードバックとアドバイスの違いなど、分かっているようで誤解している内容などが再確認でき、今後の部下との接し方に大いに参考になった。
  • ティーチングとコーチングの違いついて理解を深める事が出来た。行動を促す手法、自身の考えを引き出すことが成長に繋がるという点においてしっかりと実践に落とし込んでいきたい。
  • メンバーに自律自走してもらう手段をいくつか学ぶことができ、1on1に対しての武器が増えたと感じた。また年齢の近い管理職メンバーも同様の悩みを抱えていることが分かり、安心感もあった。
  • 関係のマネジメントが成果の肝であるとの気づきを得られ、これまでの1on1研修と少し異なる視点が含まれていたことが良かった。質問の仕方についてサンプルを交えて紹介いただいたので、活用していきたいと思った。
  • 他課の皆さんと会話出来る時間が多い研修内容で、他者の考え方など非常に参考になった。傾聴し過ぎず、指示し過ぎず、成長への支援にフォーカスすべき点は参考になりました。
  • 部下の育成やマネジメントにおいて、他部門でも同じような悩みや課題を抱えていることが分かり、意見交換ができたことが貴重な機会となった。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
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