事例概要
- 課題
- 直近2~3年で組織の急拡大により、価値観が異なる人財の増加とともに、マネジメントのばらつきが発生
- 効果的な組織運営が求められるとともに、人財マネジメント基盤の再整備が急務となった
- 特に管理職においてはこれまでプレイヤー色が強かったが、今後は組織マネジメントを強化する必要があった次期管理職層や若手層においても自己認識や主体性の欠如が見られた
- 効果
- 人財戦略から人事制度、育成施策の策定まで一貫した人財マネジメント基盤整備による組織マネジメントが効果的に行える環境の構築
- 管理職層が組織運営に取り組む意識が向上し、職場内でのコミュニケーション促進や他部署との意見交換など、幅広い場面でのマネジメントの実践
- 次期管理職層のマネジメントの理解や行動意識の醸成
- 若手層の主体性発揮が進み、組織としての成長意識の醸成
- 実績
導入サービス
◎コンサルティング支援
・人財戦略策定
・人事制度改定
・移行支援
・育成計画策定
・人財要件定義
・育成体系構築支援◎導入研修
・組織開発研修
・マネジメント研修
・評価者研修
・チームマネジメント研修
・若手の主体性発揮対象
・管理職
・次期管理職
・若手社員実施概要
組織の急拡大において、新たに人財戦略の見直しと人事制度を策定。策定した人財戦略をもとに、育成計画・人財要件定義の策定、育成体系の整備を実施。育成プランに基づき、管理職層を中心にマネジメント強化の研修を実施。マインドとスキル強化を目的に、次期管理職候補にチームマネジメント、若手層に主体性発揮の研修を実施。
― 今回、貴社の人財戦略の方針を見直そうと思われたきっかけや背景について教えてください。
島津様:弊社は、3年前まで100名に満たない規模の会社でした。親会社の事業拡大の一部を担っていることもあり、この2年で人員の急拡大を行ってきました。100名程の会社であれば、一致団結もしやすく優秀な業績を残した人や専門性の高い人がマネメント層となり牽引することで、うまく組織運営ができていました。しかし、人員が急速に増えたことで、これまでとは違う価値観を持った人が入ってきたり、ビジネスも急拡大したことで、今まで思いもよらなかったことを考える必要が出てきました。そういった背景もあり、この2年間はマネジメントの強化を重要視してきました。さらに人財マネジメント基盤の整備も急速に進める必要があると考え、人財戦略の見直しをすることになりました。
客観的な視点で、現状と課題を分析し道標を提示
― 人財戦略に紐づく人事制度の策定や人財要件定義など、弊社でコンサルティングのご支援をさせていただきましたが、実際にコンサルを受けてみた率直なご感想について教えてください。
島津様:人事制度の策定から育成まで一貫してご支援いただけたことが非常に良かったと感じました。人事制度を作成するにあたっては、弊社の現状や課題をよくご理解いただき、どういうものが適切なのかを一緒に考え、施策に組み込んだ形で策定いただけました。また、課題を解決するための育成プランも、適切で的を射た内容をご提案いただき実施いただけました。毎回ミーティングで様々な協議をしているのですが、「何となくこうだよね」という曖昧な感覚ではなく、きちんと言語化して共通認識を取りながら進めていただけました。NEWONEさんがうまくポイントを引き出し、言語化してくださったおかげで私たちの理解も深めていくことができました。
細川様:当社の状況について、客観的な視点でご意見をいただけたことがとても有り難いと感じました。内部にいると、どうしても自社の良い点も改善点もわからなくなってしまうので、他社様の事例や外部環境の変化も加味して、適切なご意見をいただき道標を示していただけたことに助けられたと思っています。人事制度を新しくするうえでも育成を一から始めていくにあたっても細やかにご支援いただけました。
研修を通じてマネジメントの均一化と行動する機会を提供
― 制度などのハード面に加え、今回、管理職層を中心に、次期管理職層・若手層にも研修を実施させていただきましたが、率直なご感想や、感じられた効果があれば教えてください。
島津様:少しずつですがマネジメント層が変わってきていると感じています。業績だけではなく、組織運営にも意識を向けてマネジメントに意欲を持って取り組んでもらっていると思います。今年度成長したということもありますが、もしかしたら元々課題に感じていたことを、これを機に行動に移せるようになったのかもしれません。勉強会やマニュアル作成などを率先して行っている管理職を見ていると、これまで考えていたことを実行する機会ができたので行動しているように感じます。管理職層は、思っていたよりずっと自分たちのチームや部門のことを一生懸命考えているし、より良くしていきたいという意向があると感じました。そのような想いを実現するためにも、人事を担う部門部として制度や育成支援で後押しすることで、さらに変化していけるのではないかと思っています。
細川様:研修を実施する前までは、マネジメントにバラつきがあったように感じます。研修を通じて、マネジメントに対する考え方が均一化され、会社として目指す姿が明確になってきたと感じました。
今後の成長につながる社員の強みや課題を新たに発見
― 次期管理職候補や若手層についてはいかがでしたでしょうか。
細川様:今年度は管理職層の研修に注力したため、中間層はまだこれから本格的に取り組む段階だと思っています。今回研修を実施したことで、視座が高い社員が一定数いることがわかったり、管理職候補ではあるがまだ自覚が足りていない人がいたりと、社員の強みや今後の課題が新たに発見できたことが大変有益だったと感じています。
管理職からよく聞く若手社員の傾向としては、「上司の意向を汲み取って行動をすることが得意な一方で、もっとこうした方が良いのではないか、ここは違いますといった反対意見や改善案を出すことは少ない」と伺っていました。しかし、若手からの意見としては、「忙しそうで言えない、言っても変わらない」という声が研修の中であがっていました。こうした双方の認識の違いにも、今後は手を打っていきたいと考えています。
島津様:1年目に主体性発揮の研修や、次期管理職層であるアシスタントマネジャーにチームマネジメント研修ができたことは、意義があったと思っています。今後より効果を発揮していくために研修をバージョンアップしスキル系も追加していきたいと考えています。業務にあたっての心構えとスキルの両輪で毎年継続して実施することで、組織としても強くなっていくのではないかと思っています。
説得ではなく納得を大事に、草の根的に対話を重ねた
― 2024年1月から数ヶ月に渡り、人財戦略に基づいた仕組みや制度の策定と育成を一貫して実施されてきた中で、苦労されたことなど印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
島津様:今年度は今までやっていない取り組みを行ってきました。そのため、会社全体として戸惑いがなかったとは言えません。研修に後ろ向きになる方もいましたし、これまで自由にやってきたのにそうではなくなってきたという印象を持たれた方もいました。NEWONEさんにご協力をいただき、GM層(ゼネラルマネージャー)や専門職の人に人財要件を策定する際にインタビューを行いました。そこで、どういう状態がベストでどのような人財が必要なのかをヒアリングしてもらう中で、マネージャー自身の自己理解が深まったり、マネジメントの意識が高まったりすることもありました。
細川様:社歴が長く最前線として活躍してきた社員の中には、変わることに対して少なからず抵抗感を持つ方もおりました。会社が変わることに理解はあるが、自分たちが作り上げたアートプレストの良さがなくなってしまうのではないかという意見もありました。そのような意見を汲み取りながら、これまで作り上げてきたアートプレストを、さらに発展していくために必要なプロセスであることを理解してもらうことが大変だったように感じます。
― 新しい取り組みや変化に対して後ろ向きだった方に対して、どのような働きかけを行ったのでしょうか?
細川様:トップから発信いただいたことと、草の根的にコミュニケーションを取り対話を重ねました。説得するのではなく、納得してもらえるようにお話をさせていただきました。何度もコミュニケーションを取る中で、徐々に私たちの想いや一生懸命さが伝わったように感じています。
― コンサルティングを担当した森さんからは、どのように見えていたのでしょうか。
森:入江社長をはじめとする経営層の皆さんと、島津さん、細川さんの管理部の皆さんとの一体感があり、向かっていく方向に対して想いも行動にもズレがないと感じました。他の企業様だと、トップダウンが強く人事部の考えを経営層が理解していないケースもありますが、御社は一体感がありうまくバランスしながら前に進まれています。また、現場へのメッセージも一貫しており、草の根的なコミュニケーションも行ってきたことで、徐々に浸透し行動にも転換されていると感じています。先日の管理職層に行った組織開発の研修では、慣れないことも多い中、実際に職場で行動し、振り返りを行い次に活かすということを実践されていると感じました。管理職の皆さんが取り組んだ分だけ着実に前に進まれていると思っています。
中期経営計画を実現する人財育成と新たな価値創出
― 今回、コンサルティングおよび研修を実施させていただきましたが、NEWONEにお任せ頂いた理由について教えてください。
島津様:我々だけで人事制度を構築して運用していくには見識が不足していると思っていました。そこで、NEWONEさんの実績と専門性をお借りして、ぜひ、お力添えをいただきたいと思いました。毎回ミーティングをしながら、お互いに理解を深め当社の課題を的確に把握いただき、人事制度から育成まで一貫してお願いできて本当に良かったと思っています。また、弊社グループの各社で研修をご担当いただいているので、グループ全体の上位概念であるパーパスもご理解いただいており、エンターテイメント業界の特性も把握していただいたうえでのご支援ということもあり、私たちとしては信頼感があり非常に進めやすかったです。
細川様:弊社の社長が2年前まで別のグループ会社の社長を務めておりました。そこでNEWONEさんに研修を実施いただいており、会社の雰囲気や意識が変わっていったというお話を伺っていました。最初に打ち合わせをさせていただいた時に、私たちが実現していきたいことに対して的確にご支援いただけそうだと思ったので、今回ご依頼させていただきました。
― 今後、取り組んでいきたいことや、注力していきたい取り組みについて教えてください。
島津様:中期経営計画の中で、今までにない大胆な取り組みをしていく想定でいます。いくら大きなビジョンを描いても、それを実行していくのは人なので人財を育てていくことに重きを置いていくことになります。今回はマネジメント層に注力しましたが、来年以降はマネジメント未満の層にも研修や人財育成の取り組みを行っていきたいと考えています。会社全体で大きな目標に向かって進み、実現していくことで、それが新たな会社の価値となり成功体験となって、皆が「自分たちはできる」という自信を持てるようになることを目指したいと思っています。
細川様:島津と同じ意見になりますが、これからは未来の上位職、現在の一般層や中堅層に向けての研修や人事制度の設計に注力し、社員の成長を後押ししていきたいと思っています。
― 本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願いします。
◆受講者アンケート(一部抜粋)
◎管理職
- 今のチームに対してやらないといけない事、自分自身の動きを再確認できました。
- リーダーシップとマネジメントの違いが理解でき、マネージャーの役割が明確になった。
- リスクを前提に先を考える必要があることはとても参考になりました。
- いろいろな視点を持ってマネジメント業務にとりくんでいきたい。
- PM理論について、Mの点数が低めだったため、よりコミュニケーションを意識していきたいと思いました。
- 他部署の方と意見交換ができ、別の業種ではありましたが、とても参考になりました。
- 自らの考えだけではなく、他の方の意見を聞く機会になり、有意義でした。
◎次期管理職候補
- 問題解決へのアプローチ、フィードバックの方法など、自分にまだ足りないものへの気付きが得られた。
- 自分では解決できないと思っていたことも、チーム内での意見や講師の方のアドバイスをいただいて、違う角度からみて考えることができた。
- AM(アシスタントマネジャー)とはこうあるべきという具体的な指針を受けていなかったので、今までこれで良いのか?と思いながら仕事をしていました。パイプ役をもっとしていかねばと思いました。
- 各セクションでの丁寧な説明、迷っている部分へのフォローがあり理解し易いと感じた。
◎若手社員
- 主体性に関して、普段学べないのでとても参考になった。何が自分のブレーキになっているかに気づくことができた。
- 自身がいかにこり固まった思考で働いているか実感しました。安全な仕事も大切ですが、今後は相手のためにも自分のためにもなる仕事ができるように成長したい。
- 相手の期待をこえること=成果であるという事。「変わることの意味」が分かれば、変わることが出来ると思えた。
- 個人ではなく、チームとして考え行動をすることで会社も変化するということ。また、チームとして動く際、相手の立場になり考えることの重要さを学びました。
- 同じ「不安」でもみんな色が違うように人それぞれ考えが違う。自分だけの世界で仕事をせず、相手とすり合わせること、コミュニケーションが取りやすい人になることが大事。
- 自分自身を変化させる→組織としての活動につなげる。配慮は必要だが遠慮は不要。
NEWONE担当からの一言
森 友祐
コンサルティング事業部
コメント
アートプレスト様は経営層と管理部の皆様が一体感を持って取り組くまれており、組織の方向性に対する想いや行動にズレがなく、とてもバランスが良く順調に変革が進んでいると感じております。 また、現場への変革のメッセージも浸透しつつあり、管理職層の皆様をはじめ、実際の職場での実践、行動変容も見られています。 私たちとの日々のお打ち合わせ内でも柔軟に意見を取り入れていただくなど、大変進めやすく、取り組む本気度が高いと常々感じております。 今後は新人事制度の浸透や更なる育成施策の実行にあたり、より現場とのコミュニケーションが重要になってくるかと思いますが、引き続き一貫したご支援により伴走させていただければ思います。