人生100年時代のキャリアは自己選択でつくる 〜無形資産である学びと経験を早い段階から形成する〜

東京未来大学様
東京未来大学 エンロールメント・マネジメント局 キャリアアドバイザー・就職係リーダー 酒井 信幸様(写真:右)東京未来大学 エンロールメント・マネジメント局 キャリアアドバイザー 小椋 舞様(写真:中央) 株式会社NEWONE コンサルタント 金 雪花(写真:左)
会社名
東京未来大学
https://www.tokyomirai.ac.jp/
業界
サービス(外食・ゲーム・人材紹介・レジャー・学校他)
従業員規模
200~999名
対象範囲
若手社員
その他

ー 本日はどうぞよろしくお願いいたします。改めてとなりますが、貴大学の特徴や校風について教えてください。

酒井様:本学は、2007年に開学した比較的新しい大学となります。元々この場所は、3年B組金八先生のロケ地となった、足立区立中学校の跡地にあります。学部構成は、こども心理学部 こども心理学科とモチベーション行動科学部があり、どちらも心理学をベースにしてつくられている大学です。このキャリアカフェは、保育士や幼稚園教諭を目指す学生以外を対象に、一般就職に向けたキャリア支援を実施しており、年間の延べ人数で3000名以上の学生が利用しています。
本学の特徴としては、担当キャンパスアドバイザー制という形で、1クラス35〜40名に対して一人キャンパスアドバイザーが就くクラス制になっています。1・2年生においては、必ずそのキャンパスアドバイザーがキャリア科目の授業を担当しています。また、最低でも半期に1回は面談を行っていますので、学生と職員の距離が近いことが特徴です。企業でいうと1on1のようなことを定期的に行っており、一人ひとりの状況を把握し個別でフォローしていることが本学の強みです。
また、足立区との連携も多く行っています。例えば、地域の方が気軽に参加できる公開講座を行なったり、授業の中に地域連携という授業を設け、和菓子屋さんと提携して新しい味を開発するようなことも行っています。学んだことを活かせる実践的な授業を多く取り入れることで、理論と実践をつなげることや、企業でどんな人材が必要とされているかを考えカリキュラムを組んでいます。

ー 今回、この「人生100年時代ゲーム〜MIRAIZ〜」を使ったワークショップを実施するに至った背景について教えてください。

酒井様:外部からゲストスピーカーをお迎えし、キャリアについて話してもらうことは行っているものの、ただ話を聞くだけではなくて、「ゲームを通じて体感ができる」というところに魅力を感じました。内容をご紹介いただいた時、学生が楽しんで体感できるという感覚を持てたので、まずは小さめのイベントで希望者を募って実施してみようということになりました。

小椋様:人生100年時代とは何か、今後世の中がどう変わっていくのか、それに対して自分がどういう選択をしていくのか、まさに「自分で選択する」という重要性を理解した上で、社会に出て行ってほしいという想いがありました。ちょうどそんなことを考えているタイミングに、MIRAIZのご提案をいただき「体感できる」という点がすごく良いなと思いました。自分で選択をするという体感ができる機会をつくることが貴重であり、学生にとっても必要な経験だと思ったことが、今回実施に至った一番の理由です。

自己選択を体感することで、一歩踏み出せる学生を増やしたい

ー ありがとうございます。人生100年時代と叫ばれ、世の中が大きく変化してきている中で、現在の就活や、キャリア支援に感じている課題はどのようなものがありますか?

酒井様:本学の場合は、「自分で考えて決める」ことと、「実際に行動を起こせるか」ということが課題だと思っています。どういうキャリア教育を入れていくと、そのステップが踏めるようになるのか思考錯誤しているところです。

小椋様:学生がこの大学で学んでいる専門性と、これまでの経験のつながりを、学生自身に認識させてあげることが課題かなと思っています。専門的に学んだ学問と経験が、自分にとっての強みであり武器であることを認識した状態で就職活動に挑んでほしいと思っています。

ー このワークショップによって、学生にどうなってもらうことを期待していましたか?

酒井様:まずは、このゲーム自体を楽しみながら、自分で選択するということを体験してもらいたいと思いました。その上で、学生に合わせた学びや気づきを持ち帰ってもらいたいと思いました。また、このゲームを通じて、一人でも多くの学生が一歩踏み出すきっかけになれば良いなと思いました。

小椋様:カードを選ぶという行為自体が動きとして体感できるので、自分でアクションを選択した結果、人生がどう変わるのかを疑似体験してもらいたいと思いました。また、様々な選択肢がカードに記載されているので、多様な選択肢があるということや、時代の変化や予期せぬハプニングも起こるということも、このゲームを通じて、学びや気づきを促したいと思いました。

ー 実際に実施してみていかがでしたでしょうか。率直なご感想をお聞かせください。

酒井様:正直、想定していた以上に盛り上がりましたね。ファシリテーターの方に場づくりをしっかりと行っていただけたこともありますし、自分で予約をして受けてもらったので、興味のある学生が集まったことで、アウトプットの仕方なども活発にできていたのではないかなと思っています。
また、実際に選択肢として目の前にカードを並べることで、このカードの違いって何だろうと、いつも以上に真剣に考えて取り組んでいました。カードを選択した後に、パラメーター(仕事、健康、お金など)の数字が動くので、自分の選択の結果を知ることができます。さらに、ゲームを進める中で倒産なども起こり、自分の人生の想定にない予期せぬことが起こりうるということも知れたと思います。パラメーターの上がり下がりで一喜一憂しながらも集中して取り組めるのは、カードゲームだからこその強みだなと感じました。

小椋様:こちら側の気づきとしては、知らない選択肢もたくさんあったと思うのですが、自分できちんと選べるのだなと思いました。カードの内容からも学べることが多く、業界や職種の特徴まで知識を得られていましたので、学生にとっては非常に多くの学びと気づきのあるワークショップが実施でき、とても有意義だったと思っています。

ー ありがとうございます。その後、学生には何か変化はありましたか?

酒井様:学生にとっても、今回のワークショップはすごく新鮮で楽しかったようです。インターンシップの最後に、自分の未来を自分の行動で変えていきたいというコメントをした学生も出ていたり、これから自分で自分の人生を考えて選択をするというレディネスが整った学生が増えたかなという印象があります。ゲームの中であった社会変化や倒産、介護なども自分とはまだ関係ないと思っている学生もいましたが、カードで実際に引いたことで、そういうことが現実に起こりうるという感覚が持てたことも、今後に向けて非常に有効だったのではないかと思います。

小椋様:短時間でしたが自分の選択の仕方や思考に、癖や共通点があると気づいたと話している学生もいました。自分と向き合う時間としても機能していたと思います。

どんな経験も資産となり、失敗はないことを学んでほしい

ー 今回、1・2年生を対象に実施しましたが、そこに絞った理由は何ですか?

小椋様:自己決定の重要性を理解できれば、今後の学生生活の過ごし方も変わってくると思いましたので、この学年に実施しました。また、今後授業に取り入れることを想定した場合、1・2年生を対象に募集した時、どれくらい興味があるのか知りたかったという背景もあります。

酒井様:小椋と同様に、早い段階から学びや経験という無形資産を貯めることが必要だなと思いました。このゲーム自体が自己選択する経験になると思えたので1・2年生に実施させていただきました。
また、就職だけがゴールではないですが、学びと経験を自分の視点からどうつないでいくかが、就職活動につながっていくと思っていますので、学生時代にどれだけ経験が積めるかが大事になってきます。経験を積むと言っても、具体的に何をすれば良いのかわからず動き出せない学生もいますので、3年生になってからでは遅いと思い、今回1・2年生に実施させていただきました。

ー 今回はワークショップとして実施しましたが、授業として取り入れていきたいと思われますか?

酒井様:はい。1年生から2年生に上がるタイミングでこのワークショップを実施することで、キャリアを考える上での視野を広げてもらい2年生の学びにつないでいきたいなと思っています。

ー 今後、キャリア支援において取り組んでいきたいことはありますか?

小椋様:先程の繰り返しにはなりますが、学問と経験をつなげていくかかわりをして、心理学という学びが自分にとって無形資産であるという理解を促していきたいと思います。また、どんな経験も資産となり、失敗なんてないってことを学んでほしいなと思っています。

酒井様:子どもの頃は、誰にでも何でもやってみようという気持ちがあったと思います。本来持っていた知的好奇心や、やってみたいという気持ちをもう一度取り戻せるようなかかわりができれば良いなと思っています。チャレンジする前に諦めるのではなく、やってから考えられるようなマインドを持ち、自ら視野を広げられるような学生を育てていきたいと思っています。

― 本日は貴重なお話をお伺いさせていただき、ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

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