事例概要
- 課題
- 市場環境の変化に伴い、お客様の期待に応えられる人材へのチェンジと意識変革が必要になった
- 上記のような人材を生み出すためにコミュニケーションを活性化し、キャリアプランの実現を促したかった
- 効果
- プログラムのわかりやすさと、腹落ち感により、その後のアンケートの結果を見ても、ワークショップ前と後では1on1に対する理解度が格段に向上した
- 1on1を実践している部課長からは、「部下の本質に触れることができた」など、すごく前向きな回答が多く出てきている。
- 実績
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導入サービス
実施概要
メンバーが成長実感・充実感を持って働ける魅力ある職場環境づくりを目的とし、具体的には職場のコミュニケーション活性化と現場でのキャリア形成支援を狙った「部下育成力向上プログラム(1on1実践プログラム)」を、約870名の部課長に対して、全32回に渡り実施。
ー 本日はどうぞよろしくお願いいたします。改めてとなりますが、ソフトバンク様の法人事業統括の事業内容と組織について教えていただけますでしょうか?
佐藤様:ソフトバンクグループで国内の通信事業を担うソフトバンク株式会社の法人様向け営業部隊が、法人事業統括という組織になります。直販とパートナー様向けの営業部隊を中心に、それを支えるエンジニア集団と運用系、オペレーション系、事業推進を担う部隊などがあり、大きく5種類くらいの部隊から構成されています。私が所属している法人事業戦略本部というのは、企画部門となり、新たな企画提案などを担っている部署になります。
ー ありがとうございます。今回、部下育成力向上プログラムを実施するに至った背景について教えてください。
佐藤様:背景は大きく2つあります。1つ目が、これまでプロダクトアウト型でやってきましたが、我々も市場も急激に変わってきている中、他社との差別化が難しくなっているということです。お客様から見た我々に対する期待も変わってきていることを肌で感じています。いわゆる「モノ売りからコト売り」へ、いかに移行するか、お客様のデジタルトランスフォーメーションをいかにサポートできるかが求められてきます。そこで、お客様の期待に応えられる人材へのチェンジと意識変革という課題がありました。2つ目は、現場の業務が非常に増えてきており、疲弊感が出てきているということです。そこで、改めて上司を通じて、コミュニケーションを活性化し、今求められる人材への育成にトライしたいと考え、1年半くらい前に人材基盤構築プロジェクトを始めました。どちらかというと最初は、法人事業統括に関わる社員が、どんな人材で、どういう役割を担っているのかを見える化して、個人のキャリアプラン形成をサポートできればという風に考えていました。しかし、それだけだと現業に対する貢献が少ないため、キャリアプラン実現という形での人材向上ができればということで、今回、NEWONEさんにもお手伝いいただき、プロジェクトの幅を広げました。
ー なるほど。今回我々にお任せ頂いた理由はどのような点にありましたか?
佐藤様:実は何社かにお声掛けさせていただいたのですが、我々の課題の本質をしっかり捉えていただいたことと、一次提案の後も、我々の状況や会社の体質も含めてご理解を深めていただき、こちらからの要望に対して、都度チューニングをしていただいた柔軟性という点で、ぜひNEWONEさんにご協力をお願いしたいと思いました。なぜ、外部にお願いしたかという点では、他社の事例や、市場を踏まえた状況もちりばめていただいた方が、説得力につながるのではないかと考えて、外部にお願いをさせていただきました。
ー ありがとうございます。実際、実施してみて率直なご感想や、感じられた効果があれば教えてください。
佐藤様:30数回実施して一番感じたのは、部課長の部下育成に関するスキルや知識に、思っていた以上に個人差があるということです。870名もいるので、当然かもしれませんが、既に育成について問題意識を持って取り組んでいる人もいれば、そうではない人もいます。自分自身の反省も含めてお伝えすると、これまで成果を求め過ぎたあまり、個人として成果をあげられた人がライン長になっていくという風潮がありました。そのため、チームで戦っていくとなった時に、部下の育成やリーダーシップを発揮できない、プレイヤーとしては能力が高いがリーダーとしてはどうなのか、という疑問を持つような人がいたのも事実です。効果としては、昨年末に、この施策の説明会を部課長に始めた時は、概念から入ったため、あまり腹落ち感がないという印象を受けていました。しかし、今回のプログラムを通じて、わかりやすさと、腹落ち感が出始めているなと感じています。その後のアンケートの結果を見ても、ワークショップ前と後では理解度が格段に違ったという声も多く出ています。また、早くも1on1を実践している部課長からは、部下の本質に触れることができたなど、すごく前向きな回答が多く出てきています。一方で、部下と向き合うことで、今までやれていなかったことが浮き彫りになったというようなこともありますので、それに対して、我々も含めてしっかりサポートできる体制づくりが必要だと思っています。
商品の差別化が難しい中、決め手は「人間力」
ー 部下育成を通じてどのような人材に育って欲しいですか?
佐藤様:やはり、モノ売りからコト売りができる営業に育って欲しいという意向があります。商品力に差がないとすると、買っていただく決め手は「人間力」になると思っているので、それをどう高めていくのかが課題になってきます。もちろん、本人の努力も必要ですが、周りや上司がサポートしなければいけないと思っています。我々としては、そこをフォローしていきたいと思っています。
ー 組織の未来に対して、感じている課題や不安な点はありますか?
佐藤様:大きく言うと市場の変化を見越し、またそこにどこまで喰いついていけるかというところです。これまで、どちらかと言うと通信事業者という目線で見られることが多かったですが、その考え方をガラっと変えていかなければなりません。お客様の事業課題を伺い、それに対する具体的な解決策を提示していくことは、これまでより重要な営業スタイルになって来ているので、そこに対する意識の変化は、急務で取り組んでいかなければならないと思っています。
ー モノ売りからコト売りに移行していくために、今回、部課長の部下育成の意識を変えて、1on1実践プログラムを実施させていただきましたが、佐藤様から見て、メンバーがモノ売りからコト売りに変わるポイントはどこにあると思われましたか?
佐藤様:1on1はあくまでツールであって、コミュニケーションを活性化していくことが目的だと思っています。従って、1on1だけではなく、複数の施策との連動がポイントになってくると思っています。今回の場合は、平行して、各社員や仕事の役割の見える化に取り組んでいます。自分の目指す姿を明確にしておけば、例えばそれが新しい事業をリードしたいということであれば、今は違う職種にいたとしても、上司はその実現のための支援をすることができます。見える化することで、本人はキャリアの道筋が見え、上司はそれに沿った適切なアドバイスができます。また、キャリアパスを描くことが、自分で学んだり、一つ一つの仕事に意味や意義を感じて全力を尽くすことにつながり、さらにスキルがついていきます。結果的に一人ひとりの能力が高まって引き出しが増え、それがお客様への価値提供へつながっていくことを期待しています。
ー 今後、部課長に対してどのような施策やフォローをお考えですか?
佐藤様:部課長向けに、部下と相対してどうチーム力を上げていくのかといった研修を実施しようとしています。メンバー向けには、キャリアの描き方について弊社のeラーニングの仕組みを活用して、全員に伝えていこうと思っています。施策は継続することが大事だと思っていますので、メールマガジンやポータルサイトでの情報共有も定期的に行っていく予定です。また、現場感覚を持たせることも必要なので、部課長に対してインタビューをして、1on1の実際の好事例を部門全体で共有することで、現場の意識を高めていければと思います。コミュニケーションを活性化していこうと呼びかけるより、活性化されている事例を見せて、それが当たり前だよねという雰囲気を作れればと思っています。
チーム力を最大化するために、1on1は有効なツール
ー 1on1は、他社さんでも実施されているところも多く関心があると思うのですが、今回のプログラムは、どのような組織にお勧めしたいですか?
佐藤様:我々は後発なので、あまり参考にならないかもしれませんが、1on1はチーム力を最大化していくというところに効果があると思っています。チームで成果を出すためにコミュニケーションを活性化したい組織には向いていると思います。他は、大企業病の企業にも良いかもしれませんね。どうしても縦割りで、自分の部署や自分の役割しか考えないといった状況を打開したい組織などには良いと思います。
ー 今後どのような組織をつくっていきたいですか?
佐藤様:市場から見たソフトバンクに対する期待を捉え、法人のお客様により良いサービスを届けるということに関して自負がありますので、今後もお客様の期待を裏切らない営業集団であることを目指したいと思います。そのために、お客様の課題認識をどこまで深く掘り下げて、課題解決のお手伝いができるかを、さらに追求していきたいと思います。おこがましい話かもしれませんが、ソフトバンクの人間ってすごいよねと言ってもらえるような、そんな組織をつくっていきたいと思っています。
NEWONE担当からの一言
山口 陽輝
組織・人材開発事業部
コメント
2019年度からご一緒させていただき、現在も継続的に実施させていただいておりますが、徐々に1on1を通じた上司・部下のコミュニケーションが活性化され、今では1on1に対するハードルが下がり、1on1の重要性が組織全体に浸透してきているように感じます。今後も1on1のみならず【Digital Tech First ~働く人々をもっと自由にする~】をより加速させられるようにお役立ちしたいと思います。