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新人が探している「正解」とは?~正解探しだからこそ発揮できる主体性を考える~

新人が探している「正解」とは?~正解探しだからこそ発揮できる主体性を考える~

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著者

飯田 桜

著者

飯田 桜

株式会社NEWONEに新卒入社。研修をメインとして、人材育成・組織開発のHRパートナーとして従事。新入社員・若手から管理職まで幅広い階層を支援している。社内では、AI導入や業務効率化に向けた仕組みの推進、部署間の交流を目的とした企画等を行っている。

最近、新入社員研修についてのご相談で、よく耳にする言葉があります。

「正解探しな新人」と「主体性」です。

「正解や具体的な指示がないと動けない」という現状への課題感がある一方で、「自分で考え、行動できる新人を育てたい」という理想の姿が語られます。

しかし、この2つの観点から新人育成を考える際に、私が最近疑問に思うことがあります。

それは、そもそも、正解探しをする新人の「何が問題なのか」ということです。
正解探しを課題として育成施策を打つ前に、その状態の何を問題と捉え、何のために変える必要があるのかを明確にする必要があります。

ここが曖昧なまま「もっと主体的に行動しよう」と伝えても、新入社員本人が「なぜ今のスタンスを変えないといけないのか」に腹落ちせず、行動変容につながらない可能性があります。

そこで本メソッドでは、正解探しをする新人の行動を解剖し、「正解探しだからこそ、生まれる主体性とは何か」を考えていきます。

そもそも、正解探し新人が探している「正解」とは?

新入社員に未経験の仕事や、少し難易度の高い仕事を任せたとき、次のような質問を受けることがあります。

  • 「これって、どう進めればよいですか?」
  • 「この進め方で合っていますか?」
  • 「マニュアルとかないですか?」

こうした質問は、正解探しをする新人の典型的な行動として挙げられます。

では、新入社員は、なぜこのような質問をするのでしょうか。

新入社員が正解探しによって求めているものは、単なる答えではなく、「安心して次の工程に進むための材料」である場合があります。
例えば、「どう進めればよいですか?」という質問には、進め方がわからないという理由だけでなく、「間違った方法で進めて手戻りになることを避けたい」という思いがあるかもしれません。

また、「この進め方で合っていますか?」という質問には、「上司の期待に応えたい」「迷惑をかけたくない」という思いが隠れている可能性があります。
つまり、正解探しという行動の背景には、新入社員なりの守りたいもの・避けたいものがあると考えられます。

新人は、正解探しで何を守ろうとしているのか?

正解探しの行動を、本人が求めているものから整理すると、次のように考えられます。

欲しい正解新人の行動例守りたいもの避けたいもの
方法「マニュアルはありますか?」正確さ・安心手順の誤り・事故
方向性「この進め方で合っていますか?」期待に応えること・信頼期待とのずれ・信頼の低下
裁量範囲「どこまで自分で判断してよいですか?」適切な判断・効率独断による手戻り・過剰な確認

ここで注目したいのは、新人が守ろうとしている「正確さ」「信頼」「効率」などは、仕事で成果を出すうえでも重要なものだということです。

ただし、守ろうとしているものが適切であっても、そのための行動が適切とは限りません。
例えば、「ミスをしたくない」という思いから、上司に何度も確認する新人がいたとします。

その結果、ミスは防げるかもしれません。しかし、毎回上司の判断を待つ状態では、仕事が停滞し、上司の確認工数も増えてしまいます。
また、正解を教えてもらうことに慣れてしまうと、状況が変わった際に、自分で判断できないという問題も生じます。

つまり、正解探しの問題は、「正解を求めること」そのものではなく、「正解を教えてもらうことが、仕事を進めるための前提になっていること」ではないでしょうか。

上司が答えを知っているのであれば、最初から聞いたほうが効率的だと考える新人もいるでしょう。

しかし、仕事には必ずしも唯一の正解があるわけではありません。上司が示した方法が、すべての状況において最適とは限らないのです。

だからこそ、新人自身が「何を確認すべきか」「何を自分で判断すべきか」を考える必要があります。

例えば、

  • 「ミスを防ぎたい」のであれば、正解を聞くだけでなく、自分でリスクを考える。
  • 「効率よく進めたい」のであれば、毎回確認するのではなく、自分で判断できる材料を集める。
  • 「期待に応えたい」のであれば、進め方だけでなく、仕事の目的や期待成果を確認する。

大切にしたいものは変えずに、その実現方法を変える。
これが、正解探しをする新人の主体性を引き出すうえで、重要な視点だと考えています。

正解探しだからこそ発揮できる主体性とは?

ここまでの内容を踏まえ、本メソッドでは、正解探しをする新人に求める主体性を、次のように定義します。

「自分が次の工程に進むために、何が明確になればよいのかを考え、必要な情報を自ら集め、仕事を前に進めること」

つまり、正解探しをやめることではありません。
正解を教えてもらうのを待つのではなく、自分が欲しい正解を明確にし、取りに行くことです。

そのために、新人には3つの行動を促します。

① 自分が欲しい正解を明確にする

「どうすればよいですか?」と漠然と聞くのではなく、「目的は理解できましたが、完成基準がわからないため確認したいです」と、自分が次の工程に進むために必要な情報を整理します。

② 必要な情報を自ら取りに行く

上司にすべての答えを求めるのではなく、自分で判断するために必要な情報を確認します。
例えば、「今回はスピードと品質のどちらを優先すべきでしょうか?」と判断基準を聞くことも、その一つです。

③ 集めた情報をもとに、自分で判断して進める

必要な情報が集まったら、自分なりの判断を持って行動します。
「A案が適切だと考えています。理由は○○です。まずはこちらで進めてもよいでしょうか?」と、自分の考えを添えて相談することもできます。

ここで大切なのは、上司に聞かないことではありません。
自分で判断するために、何を聞く必要があるのかを考えることです。

そして、人事・育成担当者の皆様に考えていただきたいのは、新人に「自分で考えよう」と伝えるだけで、こうした行動が生まれるのかということです。

例えば、研修の中で、曖昧な指示を受けた際に「何がわかれば次の工程に進めるのか」を考える演習を取り入れることも一つの方法です。

また、上司にも、目的や判断基準、本人に任せる範囲を明確にしながら、新人自身に必要な情報を考えさせる関わり方が求められます。

新人の主体性を育てるためには、本人の意識を変えるだけでなく、「自分で判断するために必要な情報を整理し、取りに行く」という行動を習慣化させることが重要です。

まとめ

「正解探しをする新人には主体性がない」と捉えると、育成の方向性は「正解を求めず、自分で考えさせること」になりがちです。

しかし、正解探しの背景には、「ミスを防ぎたい」「効率よく進めたい」「期待に応えたい」といった、新人なりの大切にしたいものがあると考えられます。

重要なのは、その価値観を肯定することでも、否定することでもありません。
その価値観を、仕事の成果につながる行動へ転換することです。

新人育成において大切なのは、正解探しをやめさせることではなく、正解の探し方を変えることです。

「正解を待つ人から、正解に近づくために自ら動く人へ。」

正解探しという新人の特性を理解し、それを主体性を引き出すための起点として活用することが、新人育成における一つのアプローチになると考えています。

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