事例概要
- 課題
- マネージャーごとにマネジメントスタイルにバラつきがあり、一定の基準をセットしたい
- マネジメントポリシーを解釈し、実行できるマネージャーを増やしたい
- 効果
- 体系立ったマネージャーの学び方を確立することができた
- 自身のマネジメントスタイルを見つめ直し、強みを活かし、課題に向き合うマネージャーの増加
- 組織運営におけるキーワードの共通言語化
- 実績
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サービス
職場実践型マネジメント強化研修
※上記は企業様に合わせたカスタマイズ研修です。近しいサービスはこちらです。対象
・既任マネージャー層
・既任リーダー層実施概要
マネジメントポリシーの浸透と実践を目的に、既任マネージャー層は約1年、既任リーダー層は約5カ月に渡って職場実践型のマネジメント強化研修を実施。
― 今回、管理職・リーダー層を対象に、職場実践型のマネジメント強化研修を実施するに至った背景、理由について教えてください。
今村様:弊社は今年で創業25周年を迎えます。経営より 「100年続く会社」を目指すというメッセージが発信され、変化を生き抜くサスティナブルな会社の中心は「人」であることを改めて確認し、人材育成に注力することになりました。ベンチャーから始まり、これまで急速な拡大期において、体系立てたマネジメントを行っておらず、個人の能力に任せてきた経緯がありました。しかし、マネジメントスタイルにばらつきがあることが課題となり、継続的な成長に向けて一定の基準を持ったマネジメントを確立する必要性が出てきました。そこで、これまで暗黙知として蓄積してきたノウハウを体系化し、マネジメントスキルとして定着させることで、人材育成を促進し長期的な成長につなげたいと考えました。
そのために策定したのが、2021年の「ブイキューブ・マネジメントポリシー」なのですが、実はさかのぼって2018年にミッションとバリューを刷新したところから始まっています。そのバリューに紐づけ、目指す人材像を明確にして人事制度に落とし込むために「ピープル・サクセスポリシー」を策定し、そのマネジメントの在り方を示すために「マネジメントポリシー」が生まれたわけです。そして今回それを全社に浸透していくために、まずはマネジメント層から学ぶ機会が必要だと考え、マネジメント研修を企画しました。
― 職場実践型の研修をやることで、マネジメント層や組織がどうなることを期待していましたか?
迫様:まずは「マネジメントポリシー」をしっかり解釈して実践できることを目指しました。「マネジメントポリシー」の中では、マネジメンターの役割として「情報に関すること」「人と組織に関すること」「仕事に関すること」が述べられていますが、これまで、当社のマネジメント層は、人や組織に対する意識があまり高くなく、ハイパフォーマーの延長としての持論が確立しているような印象がありました。ですので、人や組織を意識してエンゲージメントを高め、マネージャーが一人で引っ張っていくというより、“チームを強くしていく”ことを期待しました。
奈良様:これまで自分のやり方でマネジメントをしているという人の中にも、2つのタイプがあると感じています。1つは、「これで良いのかな…」と不安や疑問を抱いている人、もう1つは自分のスタイルに疑問を持てていない人です。どちらのタイプも、今求められているマネジメントについて理解を深めてほしいと思うとともに、これまでのやり方と比較することで、健全な危機意識を持ち、職場で実践ができるようになることを期待していました。
体系立てた学びと職場実践で自身と向き合い課題を発見できた
― 管理職層は約1年、リーダー層は5ヵ月に渡って職場実践型の研修を実施しましたが、率直なご感想や感じられた変化・効果があれば教えて下さい。
迫様:自身のマネジメントスタイルを見つめ直し、改善する必要性に気づき、更には行動に繋がったという人が複数人いたことは、大変な効果だと感じています。全体的には学びの意欲が高いということもわかりましたし、一部のメンバーにおいては「体系的に学ぶことがおもしろい」と感じ、吸収してもらえたと感じています。また、これまでの経験で培ってきたやり方が間違いではないとわかり自信を持てたメンバーもいました。自己流のやり方と体系的なものをつなぎ合わせ、より確信を持って実践できるようになった人もいたようです。
佐々木様:マネジメントポリシーの浸透と実践の第一歩を後押しするのに、今回の職場実践型の研修は非常に有効だと感じました。日々忙しい中でも、研修の事後課題などをきっかけに、人や組織について考えトライする時間を設けられたことが良かったです。実践してみることで、その難しさが理解できたり、思っていた以上にできることに気づいたり、各自の課題を発見できたのではないかと思います。
奈良様:葛西さんが研修でおっしゃっていた言葉を、職場の中でも聞くことがあり、学んだことを活かそうとしている意識を感じました。これまで部署を超えて同じ言葉を使うことや、部門を超えた管理職同士の交流も少なかったのですが、研修を通じて、悩みや課題を共有できたことで一体感も醸成されてきたと感じます。また、アンケートでは、「他社の管理職と比較してブイキューブのポジティブなところと、変えていくべきところ、両方についてフィードバックをいただけたことがとても良かった」というコメントもありました。マネージャーにとって、なかなかそういう機会はないので、忌憚なく伝えていただけたことが非常に良かったです。社内の人間が伝えるのと、第三者である講師からお伝えいただくのとでは全然効果が違うと感じました。
「言語化」「対話」「チーム」等の共通言語が行動につながった
― 長期間に渡るプログラムを実践する中で、苦労したことや受講者の変化など、何か印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
迫様:まず苦労した点は、長期にわたる職場実践型研修を実施するのが初めてということもあり、社長を除くマネージャー以上の役職者全員を参加対象としたことです。”社長以外”ですので、役員やグループマネージャーの上司である本部長・副本部長も対象です。つまり、役職や年齢、過去のマネジメント経験、新卒入社かキャリア入社か、キャリア入社の場合、前職以前での研修受講歴など、異なる属性の人たちを一堂に会する必要がありました。
特に役職は、見ている範囲や視座、対峙している課題も異なるので、受け止め方やその後のアクションにも違いがあります。終わってみれば、役員やグループマネージャーがともに会話をすることで、相互理解にも繋がり、大きな問題はなかったのですが、最初は進め方が難しいと感じました。
印象に残っていることは、とあるマネージャーが、自部署のリーダークラスを集めて部署のミッション・ビジョンをつくろうと対話会を行ったことです。また、グループメンバー全員が入っているチャットで、今自分が何を考えているかや、学んでいることなどをシェアして発信しているそうです。「言語化」「共有」「チームで」ということを意識し、メンバーからも引き出そうと行動するという、良い取り組みだと感じています。
奈良様:「We型」「立ち止まることが大事」「言語化」「対話」など、“共通言語”が持てるようになったことです。最終日に、「立ち止まっても良いということに驚いた」「思っていた以上に伝わっていなかった」という発言が出てきて、実践したからこそわかる重要な気づきを得ていると感じました。メンバーへのかかわり方など自身の行動を変化させようとしていることが、とても良かったです。学んだことを素直に吸収しようとするスタンスがある人たちに対し、今回の研修でよりそれを引き出していただけたと感じました。これまで、体系立てた研修をあまり提供できていなかったのですが、長期で実施したことで、「会社として学びを後押ししている」というメッセージは伝わったと感じています 。
良き伴走者として自分自身をアップデートし続ける
― エンゲージメントを向上していくために、マネジメントに一番大事なポイントは何でしょうか。
迫様:メンバーと組織のつながりを見つけることです。組織の方針をマネージャーが自分なりに解釈してメンバーに伝えること。それをメンバーに押しつけるのではなく、一人ひとりと向き合って対話と内省を促す良き伴走者としてかかわることで、組織とのつながりを見つけることが大事なポイントだと思います。
今村様:チームの力を最大限に活かすことを大目的に、内省し言語化して伝える、持論化するというプロセスを経て、自分自身をアップデートし続けるスタンスが大事だと思います。必ずしも自分の思い通りに組織が進んでいくとは限りませんので、組織方針とマネージャー自身が描く組織ビジョンの整合性をとることが必要になってきます。マネージャーの介在価値は、メンバーの能力を最大限に引き出して、チームの力を最大化し組織力を高めることにあると思っています。
― 今回、NEWONEにお任せ頂いた理由について教えてください。
迫様:弊社が大事にしている考え方がNEWONEさんと非常に近く、親和性を感じたからです。個人と組織の関係性やエンゲージメントの重要性について、マネジメント層に特に伝えたいメッセージと合致していたことが大きかったです。また、職場実践を大事にしたいと考えており、受け身で終わらない研修を検討していました。提案の時から葛西さんがいらっしゃったのですが、ブイキューブの雰囲気や弊社のマネージャーとの相性も良さそうだと思い、葛西さんにファシリテーターをお願いできることも決め手となりました。
源泉となる「人」の成長を後押し、100年続く組織をつくる
― 本研修は、どのような組織にお勧めしたいですか?
奈良様:研修はやっているけれど、“定着していない”という課題がある組織にはお勧めだと思います。弊社のようにベンチャーや小規模な会社は、すぐに学んだことを活かせているかを重視する傾向にあります。そういった組織には、インプットもアウトプットもセットでできるというお得感があるので、ぜひお勧めしたいです。
迫様:私は、チームで勝つことを目指している組織の皆さんにお勧めしたいです。
― 今後、注力していきたいことや取り組んでいきたいこと、組織づくりについて教えてください。
佐々木様:体系立てた研修を実施できるように、今まさに教育体系を整えているところです。その一環として、今回実施したマネジメント研修も、次年度に向けてブラッシュアップしていきたいと考えています。また、社内で実施する研修においても、職場実践型や行動変容に着目して設計し、提供していきたいと思っています。
今村様:「100年続く会社」を考えた時、源泉となるのは「人」です。人的資本という言葉が注目されていますが、その「人」の成長を後押しし、最大化するのが僕らの役割です。当社では世の中の社会課題に向き合い、それを事業に転換することが求められていますが、それを実現していくのはやはり「人」とその想いなので、一人ひとりにしっかり向き合う組織にしていきたいです。また、上司部下関係なく真剣に会社のため、社会のために議論できる関係、組織自体がそういった場になることを目指していきたいと思っています。
― 本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。今後も引き続きよろしくお願いします。
◆プログラムの全体像(一部抜粋)
◆受講者アンケート(一部抜粋)
◎マネージャー層
・課題に対してのアプローチについて、固定化された考えになっていましたがより広い視野をもって取り組んでいくことが重要だと学んだ。他部署との連携の重要性を感じたので今後に活かしていきたい。
・理想の組織を作るプロセスにおいて、メンバーのレンジや直面している業務の優先度を考慮すべきであることを学びました。
・SWOT分析からシナリオを考えるプログラムがとても学びになった。今まで研修内のプログラムで会社の将来を考える機会はなかったので、普段思い描いていることを言語化し整理することができ、他者が今の組織をどう見ているのか、という視点でも気づきが深かった。
・視座を高めて未来を見据えて自組織をデザインしていくことの大事さとともに、自組織の課題についてグループワークのメンバーから貴重なアドバイスと学びを得ることができました。
・改めて言語化したものを誰かに伝える事で、共感が得られるのはやはりうれしい。それだけではなく、共感をもとに、「良くしよう」という前提があれば、指摘をされることが怖くないと感じられる良いワークショップでした。
◎リーダー層
・これまでの組織目標を追うのと異なり、1人1人にきちんと向き合い、エンゲージメントを高めることが重要、ということを改めて認識したことが一番の気づきではないかと思います。
・他のチームリーダーの方々が重要と考えるリーダータイプと、自分の考えがかなり違っていたことがとても参考になった。
・無意識で実行していることを「意識的に」取り組めるようになった。自分が持ち合わせるチームリーダーとしてのスタンスが具体的に1つの「リーターシップスタイル」として文字化されており、より自信が持てた。
・様々なリーダーシップ・スタイルがあり、場面や状況によってリーダーシップの型をうまく切り替えることが良いことが理解できた。
・他のチームリーダーが同じような課題を抱えつつ、それぞれ違う対応策を取っていたことがとても勉強になった。
・自身の経験と、体系的に整理された知見をすり合わせることは有益だと思った。
・普段、部門以外でなかなかできない、他者から見た自分を客観的に見る機会があったことは貴重だった。
・1on1はやり方さえわかれば難しくないと思えた。
NEWONE担当からの一言
阿部 真弥
組織・人材開発事業部
コメント
「100年続く会社を目指す」という目標のもと、マネジメントの確立を図り、浸透させていきたいという想いをもとに計6日間のマネージャー研修をご一緒させていただきました。役員陣も含めたマネージャー全員を対象とし、6日間の研修を実施するということは人事の皆様も調整から簡単なことではなかったと思いますが、想いを持って推進しきって頂いたので、1年間かけて伴走させて頂くことができました。