「働きがい」を高め、自律的な強い組織をつくる 〜エンゲージメント向上のキーとなるのは管理職〜

カゴメ株式会社様
※写真左より(株)NEWONE コンサルタント 金 雪花 カゴメ(株)東京本社 人事部 人材育成担当課長 大澤 博明様
会社名
カゴメ株式会社
https://www.kagome.co.jp/
業界
食品・農林水産・印刷・紙メーカー
従業員規模
2,500~4,999名
対象範囲
管理職・マネージャー
実施時期
2019年06月

事例概要

実績

導入サービス

・管理職向けエンゲージメント向上セミナー
※上記はこちらのサービスをカスタマイズしています

実施概要

経営戦略に紐づいた「働きやすく、働きがいのある会社」の実現に向けて、ダイバーシティ推進の一環として管理職向けにイクボスセミナーを実施。2017年度はダイバーシティ時代における「ビジョン・未来の見える化」2018年度はダイバーシティ時代に求められる「管理職としての役割の見える化」をテーマに実施。そして、第2次中期経営計画がスタートした2019年度は、ダイバーシティ推進の第2フェーズとして「働きやすい」環境整備から「働きがい」のある職場づくりにシフトすべく、「エンゲージメント向上」をテーマに実施。

ー 本日はどうぞよろしくお願いいたします。改めてとなりますが、貴社の事業内容や組織風土について教えてください。

大澤様:事業内容は、ご存知の方も多いですがトマトを中心とした飲料・食品の総合メーカーとなります。現在は、「トマトの会社から、野菜の会社に」というビジョンを掲げ、トマトはもちろん、さまざまな野菜の価値を活かした幅広い商品をお届けし、人々の健康に貢献することによって、持続的な成長につなげていこうとしています。
組織風土は、今年創業120年を迎えていて、創業者から培われてきた企業理念「感謝」「自然」「開かれた企業」があり、この理念に共感した真面目な人が多く、愚直にモノづくりをしてきたという風土があります。皆が同じ方向を向いてモノづくりを行ってきたという良い面もありますが、これからの時代は、そういったところから、もう一歩踏み出して多様な価値観を受け入れ、新しい価値提供をしていかなければならないと思っています。そこで、多様な人材が活躍でき、持続的に成長できる「強いカゴメ」を創るために、4、5年前からダイバーシティ推進に本格的に取り組んでいる会社です。

ー 毎年管理職向けにテーマを置いてセミナーを実施されていて、今年度「エンゲージメント向上」をテーマに実施されましたが、なぜこのテーマにて実施しようと思いましたか?実施に至った背景について教えてください。

大澤様:2015年の10月にダイバーシティ推進室が発足し、昨年の9月に発展的解消となりました。これまで16-18年第1次中期経営計画の期間の中で、なぜダイバーシティが必要なのか、理解と浸透を推進してきました。働き方改革との関連もあり、働きやすい環境づくりとして、テレワークやフレックスタイムなどの制度づくりを注力してやってきました。ただ、制度だけあっても、理解がないと浸透しないこともあり、それにプラスして職場風土やコミュニケーションの活性化に注力してきました。それがある程度形になって、「働きやすい風土」が定着してきているのではないかと思っています。
本来のダイバーシティの目的というのは、「働きやすさ」だけではなく、そこから先にある「働きがい」を皆が持って、新しいサービスや価値提供を生み出し社会貢献をしていくことにつなげていかなければならないと思っています。そこで、19-21年第2次中期経営計画の施策として、「働きやすさ」の上に「働きがい」を持って働いてもらう環境づくりに取り組んでいます。
そういった背景から、今回、「働きがい」を実感できる環境を整備するために、まずは「エンゲージメント向上」にテーマをおいて、管理職向けに実施させていただきました。

ー ありがとうございます。「働きがい」とは、具体的にどのような状態を定義されていますか?

大澤様:私の考えとしては、与えられた仕事をただこなすだけでは、なかなか「働きがい」や「やりがい」は生まれないと思っています。「自分たちで仕事をつくっていく」というマインドを持ち、会社の目指す方向に対してコミットする「自律的な働き方」が必要だと思っています。昔は、上から降りて来た仕事を誠実にやっていくということが大事な価値観であり行動だったのですが、これから新しいサービスや価値提供を生み出していくためには、自分たちで仕事をつくっていくということが、より重要になってきています。
また、目指す会社のビジョンに対して、自分の仕事がどう役立っているのか一人ひとり見えていることが大事だと思っています。そこが見えてくるとモチベーションも高まりますし、「働きがい」を感じられるのではないかと思っています。そういう意味では、会社のビジョンと、自分の働き方や価値観をいかにすり合わせられるかということが、「働きがい」を高めることにつながってくるのかなと思います。

自らやってみたいと思う自主性を大切に、もっと仕事を楽しんでほしい

ー このセミナーによって、管理職の方にどうなってもらうことを期待しましたか?

大澤様:多くの管理職が、日々たくさんのやらなければならないことやプレッシャーがある中、悩みながら奮闘しています。そういった管理職の方々に、「マネジメントは楽しいものであり、喜びを感じられるもの」であることを知ってもらいたいと思っています。私は、どの層に対しても何かを強制することはしたくないのですが、特に管理職には、これ以上重荷をかけたくないという想いが強いです。そういう想いから、このセミナーに参加することで、こんなやり方もあるのかと、自分から気づいて“やってみたい”と思ってもらうことを大事にしています。管理職のモチベーションアップというか、少し気持ちが軽くなり前向きなマインドを持ち帰ってもらいたいと思いました。
また、やり方がわからなくて動けないという人もいますので、他の管理職の人と対話を通じて悩みを共有したり、スキルを学ぶことで次の一歩を踏み出してほしいと思いました。
「参加して良かった、やってみたい、楽しかったな」と思ってもらうことが、私の一番の願いです。

ー 今回、実施してみていかがでしたでしょうか?率直な感想についてお聞かせください。

大澤様:アンケートを見ると、上林さんにお伝えいただいた「1on1は部下のための時間」というメッセージにはっとしたという方が多かったようです。1on1はやっているけれど、部下のための時間という意識はなかったという気づきを得られたことが良かったなと思いました。セミナーの中でご紹介いただいた6つの価値観タイプでどれに当てはまるかを、さっそく部下に聞いてみたという管理職もいました。セミナーの内容が部下との対話のきっかけになったことや、最後は、みなさん楽しかった、おもしろかったと言って帰っていく管理職の姿を見られたことは、こちらとしても大変うれしく今回も実施できて良かったなと思いました。
また、ダイバーシティやイクボスの浸透については、年々意識が高まってきています。このセミナーは、強制参加ではなく毎年手上げ式で実施していますが、2017年度から始まって今年で3回目となるのですが、実は7割くらいの参加者がリピーターです。積み重ねることによって、管理職自身の成長や、マインドチェンジにつながっているのかなと感じています。アンケートの中でも積極的にこんなことを知りたいといった要望が増えてきており、マネジメントに対する意識や、視野の広がりができてきたのではないかと感じています。こういった熱いマインドを持ったコアな人達をしっかりつくっていくことで、その輪を全体に広げていければ良いなと思っています。

一人ひとりの「働きがい」を、管理職がいかに見つけてあげられるかが必要である

ー エンゲージメントを高めていくために、今後取り組んでいきたいことはありますか?

大澤様:定量的に成果を計っていくためにエンゲージメントサーベイの実施などは検討したいと思っています。部門別や経営層と現場とのギャップなども可視化していければと思っています。
また、一人ひとりタイプや価値観が違いますので、どういう風に働きがいを引き出してエンゲージメントを高めていくのかという点は、今後の課題であり取り組んでいかなければならないことかなと思っています。今回のセミナーで、理屈というかメカニズムが理解できたという段階ですので、これを実践していくとなると、部下との対話の質なども上げていかなくてはならないと思っています。

ー 大澤様から見て、働きがいやエンゲージメントを高めるために必要だなと思うことは何でしょうか?

大澤様:働きがいやエンゲージメントを高めるということは、非常に難しいなと感じています。なぜなら、会社としては、同じ方向に行きたいのですが、そこに向かって行く人はそれぞれ価値観が異なります。一律にモチベーションを高めることや、同じ手法というのは通用しませんので、一人ひとりの働きがいのポイントを管理職がいかに見つけてあげられるかということが必要になると思います。管理職に求められることはますます難易度が高くなっていますが、それに楽しさと喜びを感じてもらいたいですね。

ー 数年に渡りご一緒させていただいておりますが、改めて我々にお任せ頂いている理由について教えてください。

大澤様:マインドセットやスキルインプットは型にはめがちですが、「対話型でつくりあげるプロセスデザインを大事にし、参加者に考えさせて腹落ちしてもらう」スタイルであることが、弊社の意向とマッチしていることです。また、毎年弊社の状況をヒヤリングしていただき、企画段階から弊社の課題感にフィットしたプログラム内容を練っていただける点も非常にありがたいなと思っています。そして、実施して終わりではなく必ず振り返りをしながら進めていっていただけるので、自分の整理になりますし安心してお任せできるところかなと思っています。

ー ありがとうございます。毎年テーマを置かれて管理職向けに実施しているセミナーを、他にお勧めするとしたらどんな組織にお勧めしたいですか?

大澤様:弊社のように多様な人材を活かし強い組織をつくっていくために、ダイバーシティ推進やエンゲージメント向上に力を入れたいと考えている組織には良いのではないでしょうか。今の時代、管理職に求められることが増えマネジメントの難易度が非常に高まっていますので、管理職のモチベーションが下がっていたり、疲弊してしまっているような組織にもお勧めしたいです。管理職はひとりで悩みがちですので、重荷を背負うのではなくもっと楽しく働いてもらいたいなと思っています。管理職が苦しそうだと、その下で働いているメンバーは管理職になりたくないと思ってしまうと思うので、管理職にもっと仕事を楽しんでもらいたいという想いを持った企業様にはお勧めかもしれません。

ー 今後どのような組織をつくっていきたいですか?

大澤様:会社としては、「働きやすく、働きがいのある会社」をつくることで、その結果「強いカゴメ」をつくっていくことを目指しています。何か特別なことを目指している訳ではなく、誰もが自由闊達に意見が言えて多様な視点を取り入れ、新しい価値やサービスを生み出せるような風土や働き方ができる組織をつくっていければと思っています。また、これまで推進してきたダイバーシティが、さらに当たり前の状態にある組織になって、多様な人材がイキイキと働きがいを持って仕事を楽しんでいる人が増えれば良いなと思っています。

― 本日はお忙しい中、貴重なお話をお伺いしありがとうございました。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。

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