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60点主義の有効活用:イマドキ若手の育成のコツ

60点主義の有効活用:イマドキ若手の育成のコツ

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著者

渡部 亮太

著者

渡部 亮太

株式会社NEWONEに新卒入社。研修をメインとして、人材育成・組織開発のHRパートナーとして従事。新入社員の育成体系構築から、管理職主導の組織開発まで支援。社内ではスキルの可視化等、若手が自律的に成長する仕組みづくりを行っている。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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4月は新入社員研修期間でした。
各社の新入社員の皆様、おおよそ500名を超える方々のビジネスパーソンとしての門出をご一緒させていただきました。

皆様の研修中の様子から私が特に強く感じた2024年度入社の皆様の特徴を一つご紹介できればと思います。

今年の皆様を見ながら、特に感じたのは「60点主義」の傾向です。可もなく不可もなく、間違っていないけど、チャレンジングではない、そんなアウトプットをしていく方が多くいらっしゃるように感じました。

「60点主義」が悪いということをお伝えしたいわけではなく、ここでは、「60点主義」の特徴をつかみ、うまく育成に活かしていく方法まで考えていきたいと思います。

ある企業様と40名1クラスの新入社員研修をご一緒した時でした。

そこでは、「相手の期待を捉えて超えていく」ことを実践していくビジネスシミュレーションを実施いたしました。新入社員の皆様は、グループごとに法人営業担当チームになり、顧客に提案をしていくという設定で、本シミュレーションは進んでいきます。

また、シミュレーション中は、各グループは競合という設定のため、提案の内容を踏まえ、全体の場で最終順位を決めていきます。そこでは、期待を捉えるだけではなく、期待を超えていくことまでが求められるため、ほどほどのアウトプットでは、顧客役は満足することはありません。

シミュレーション中は、中盤に顧客に提案を兼ねたヒアリングの場が設けられており、その前後の時間では、上司に何度か相談を行うことができます。新入社員は、実際の仕事と同様、主体的に上司と相談し、提案内容のブラッシュアップを行い、顧客に提案をしていくことが求められます。

その場では、中盤の顧客提案の場に臨むまでに上司相談を行うグループは少なく、「これでいいかな!」といった声も聞こえてくるような、「可もなく不可もなく」のラインを目指している様子が垣間見えました。その時点でのアウトプットの質も悪くはないが、期待を超えるほどではなく、「全力でやっている」というよりは「外さないように進めている」様子でした。

その様子を捉え、顧客側から「期待を下回った提案でした」といったフィードバックを送っていくのですが、それに対する反応が特徴的でした。

顧客提案終了後、上司相談に全くいかなかったチームが複数回相談を申込み、「これでいいかな」と漏らしていたチームが、「このままじゃやばい」と呟き目の色を変えてワークに取り組んでいました。ある意味、自分たちが設定していた「60点の壁」が想定よりも高かったことを体感した瞬間だったのではないかと思います。

逆に言えば、「60点の壁」を超えられないことに気づいた瞬間の彼らは、「全力で」取り組んでいたように思います。

こういった傾向から考えると、2024年度入社の新入社員育成のコツは、及第点を低く設定しないことです。

「これならOK」を伝えると、そのままの基準値で進んでしまいます。最高評価が欲しいのではなく、合格基準を知りたい。そして、その合格基準に対して素直に超えようとする、というのが私が見た新入社員の皆様の特徴です。

だからこそ、本人にとって、合格基準が低すぎると全力を出すことなく仕事に取組む癖がついてしまいます。最初にその仕事での合格基準を低く設定しすぎず、本人が全力を出す必要のあるラインに引き上げるかかわりが重要です。