
NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。
現代では、少子高齢化により、若者の労働力は企業活動において非常に貴重なものとなっています。そのため、若手を定着させ労働力を確保する目的で、オンボーディングに注力する企業も増えてきました。
オンボーディングとは、新入社員が職場に馴染み、早期に活躍できる状態をつくることを目指す取り組みです。しかし、職場への貢献や活躍以前に、まず「定着させること」が難しいと感じている方も少なくないのではないでしょうか。
今回は弊社顧問でもある甲南大学 経営学部経営学科 教授 尾形真実哉氏と、弊社社員の阿部とのクロストークをもとに、新人オンボーディングの成功のヒントを探ります。
オンボーディングの壁:「いても無駄」と「言っても無駄」
オンボーディングの壁は大きく分けると2つの壁に集約されます。
1つ目は新入社員が「いても無駄」と感じる状態です。この職場に居続けることが自分の人生にとって意味のあるものなのかというキャリア不安を抱えている状態のことを指します。
一方で「言っても無駄」は「自分の立場から何かを言ったとしても無駄になる」や「職場の人が忙しそうだから自分が関わっていっても無駄なのではないか」という関係性や環境に対しての不満です。
これらの意識が生まれてしまうと、オンボーディングの成功には近づきづらくなります。
それでは、我々はどのようにこの壁を乗り越えていく必要があるのかを考えていきましょう。
データから読み解くオンボーディング成功のカギ
オンボーディングを成功させるために必要なものは何でしょうか。
成功のカギの一つは「愛着」です。人材の流動化が進み、働き手が多くの選択肢を持つ今の時代だからこそ、「ここで働きたい」という愛着を持てるかどうかが、組織にとって決定的に重要になります。
では、愛着を持ってもらえる組織にはどのような要素が必要なのでしょうか?
弊社ではオンボーディング成功の要素を「定着」と「活躍」をゴールとした15項目に整理し、新入社員約500名を対象にサーベイを実施してきました。その結果、どの企業でも共通して高く評価されやすい要素と、逆に低くなりがちな要素が明らかになっています。
サーベイの結果によると、人間関係の良好さは平均4.3点(5点満点)を超え、多くの企業で一定の水準を満たしていました。加えて、成長実感や支援環境の充実も高いスコアを示しています。一方で、将来のキャリアイメージや仕事内容とのリアリティギャップは3.5点台にとどまり、他要素と比べて低い結果となりました。(画像1参照)
つまり、環境への適応は比較的スムーズに進むものの、仕事内容の理解やキャリア展望といった「仕事適応」の部分はまだ課題が残っていることが浮き彫りになりました。
尾形氏はこの結果を「自然な傾向」と捉えます。
人間関係は周囲のサポートや声掛けによって比較的早期に形成できますが、仕事の習熟や貢献実感は時間を要するものです。そのため、スコアが低めであっても直ちに問題視する必要はないようです。
一方で、将来のキャリア展望は長期的な定着に直結する重要な要素です。特に流動化の進む社会では、「ここで成長し続けたい」と思わせる視点が欠かせないといいます。
現代の若手社員は成長欲求が強い傾向にあります。したがって「どのような仕事を与えるか」が重要ですが、常に新しい業務を提供できるとは限りません。そこで鍵となるのが、仕事以外での成長機会を創出することです。プロジェクト参画や教育制度、研修の場などを通じて「成長につながる経験」を継続的に与えることが、組織に対する期待感につながり、若手のモチベーションと組織への愛着を高めます。
オンボーディングの適切な期間とは
これまで、オンボーディングの成功の要素について述べてきましたが、実際オンボーディング期間をいつまでに設定すればよいのでしょうか。
尾形氏はオンボーディング期間は2年が適切だと語ります。
その理由は、新入社員時代は研修やサポートが手厚いのに対し、2年目になると支援が減り、仕事の責任が増えていくからです。このギャップが、2年目を難しい年にする要因となります。
実際、サーベイデータでも多くの項目で2年目に近づくにつれてスコアが低下し、人間関係や貢献実感も入社直後より下がっていました。一方で、成長実感や業務理解など一部の項目は向上するものの、全体的には「2年目の壁」と呼べる現象があると言えます。
このように、入社2年目はストレスが高まりやすく、オンボーディングの成否を左右する分岐点です。
そのため、企業や人事は1年目だけでなく2年目に対しても、継続的なフォローや成長支援を行うことが欠かせません。
具体的には、同期同士が定期的につながりを感じられる場を設けることや、管理職を育成して職場で能力開発が自然に進む環境を整えるといった取り組みが効果的です。
こうした視点を踏まえ、オンボーディングのあり方をあらためて捉え直すことが求められます。
NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。
まとめ
オンボーディングは、新入社員を職場に馴染ませるだけでは終わりません。若手が「いても無駄」「言っても無駄」と感じない環境をつくり、「ここで成長できる」という実感を持たせることが、長期的な定着と活躍を支える鍵となります。
サーベイ結果からも明らかになったように、人間関係や支援体制は比較的整いやすい一方、キャリア展望や仕事内容への理解は時間がかかり、特に2年目に大きな壁が訪れます。だからこそ、企業は1年目だけでなく、2年目以降も成長機会やフォローを絶やさず提供していく必要があります。
オンボーディングを「最初の1年間の施策」と捉えるか、「2年間にわたる育成戦略」として設計するかで、人材の定着と活躍を大きく左右するのではないでしょうか。
アンケートの声
- データをもとに解説いただきわかりやすかったです。当社では、現場の上司や先輩社員と新卒との様々なギャップが課題になっていますが、「求めすぎ」の部分も多くあると思っています。本日のセミナーでも、そういったお話があり深く共感いたしました。
- 新卒も中途も共通して期待値が高すぎる、もしくは低すぎるのがオンボーディングの課題なのだろうかと感じました。期待値のギャップが不安や不満として現れてオンボーディングの壁となっているのだろうと理解しました。
- 世の中の相対的な課題感の確認や取り組み事例の詳細を知ることができ勉強になりました。また、管理職や現場の意識の改革・育成も同時に必要になるという話に大変共感しました。育成は研修を企画する者たちだけでは成り立たないので、いかに現場に落とし、全社の取り組みとして繋げていくかが大切ということを実感しました。
登壇者の声
新入社員の3人に1人が入社時点で転職サービスに登録していると言われる人材流動化が当たり前の時代において、オンボーディングの難易度は上がっており、新入社員の定着・活躍支援に関するお悩みの声をいただく機会は年々増えています。
変化が激しく、不確かな時代だからこそ、今回は「オンボーディングデータ」を用いた根拠を持った主張を皆様にお届けしたいという想いで、尾形先生をお招きし、データを読み解きながら対話するという形式のセミナーを実施させていただきました。
今後のより良いオンボーディング設計に少しでもお役立ちできれば幸いです。
瀬口 航生" width="104" height="104">