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なぜ働きやすい職場なのに部下の心は動かないのか―働きがいを生むリーダーの役割―

なぜ働きやすい職場なのに部下の心は動かないのか―働きがいを生むリーダーの役割―

<a href= 瀬口 航生" width="104" height="104">

株式会社NEWONEに新卒入社。人材育成・組織開発のHRパートナーとして、研修設計・運営を中心に幅広い層の成長支援に携わる。新入社員・若手から管理職層まで、各階層の課題に応じたプログラムを企画・実施し、組織全体のパフォーマンス向上を支援している。
社内では組織開発の一環として、エンゲージメント向上を目的としたイベントの企画・運営にも取り組んでいる。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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本セミナーは、弊社代表・上林の著書『部下の心を動かすリーダーがやっていること』の出版をきっかけに開催されました。本記事では、セミナーで交わされた示唆の一部をもとに、「部下の心を動かす」とは何が起きている状態なのかを、構造的に紐解いていきます。

本書の出版背景

働き方改革の進展により、長時間労働や職場環境への不満は大きく改善されてきました。
その結果、「上司が嫌だ」「職場が合わない」といった不満型退職は減少しています。

一方で、近年増えているのが、
「会社や職場は嫌いではないが、このままここで働き続けて大丈夫なのか」
という不安を理由にした退職です。

働きやすくはなったものの、成長実感や達成感を得にくい職場が増え、将来への不安が生まれているという構造が見えてきました。

こうした背景から弊社(株式会社NEWONE)では、働きやすさに加えて、働きがいも追求していくために職場と人の関係性について研究を重ねてきました。その中で明らかになったのは、働きがいを左右する最大の要因が「仕事を通じた達成感」であるというものです。

達成感を得るためには自分の力を十分に発揮できたり、できるかわからない状況の中で「やってみよう」と思い切って取り組むことで、人は達成感を得ることができます。

しかし現実には、自律的に挑戦する人が少ない状況や過重労働が許されない環境の中で、達成感を得る機会そのものが減っています。
だからといって、かつてのように強いプレッシャーや管理を強めることが解決策ではありません。

では、働きやすさを保ちながら、どうすれば人は前向きに仕事に向き合えるのか。
この問いに向き合い、これからの職場とリーダーのあり方を整理したものが、本書です。

ここからは本書のタイトルにもなっている「部下の心を動かすリーダーがやっていること」についてご紹介します。

部下の心を動かすリーダーがやっていること

本書が問いかけているのは、「なぜ、人は会社のためには頑張れないのか」という、ごく素朴でありながら本質的な問いです。

前述の通り、働き方改革が進み、職場環境は確かに改善されました。しかしその一方で、「嫌いではないが、このままでいいのか」という不安から職場を離れる人が増えています。そこに共通しているのは、成長実感や達成感を得にくいという構造です。
では、人はどんなときに前向きに力を発揮するのでしょうか。

そのヒントとして、本書ではあえて「推し活」という現象に着目しています。

①人は「完成されたもの」ではなく、「未完成なもの」に心を動かされる

友達や家族、あるいは推しのためなら、報酬がなくても人は驚くほど主体的に動きます。

一方で、給料をもらっているはずの会社の仕事では、なかなか自発的になれないという方もいます。この違いは偶然ではありません。

推し活の特徴は、「完成された存在を眺めること」ではなく、未完成な存在を支え、
自分が関わることで成長していく過程に立ち会うことにあります。

自分の応援や行動が意味を持ち、相手が変化していく。そこに人は強いエネルギーを感じます。このときに働いているのが、「心理的所有感」というものです。

②心理的所有感が、人を「やらされ感」から「自分ごと」へ変える

心理的所有感とは、法律的な所有ではなく、「これは自分のものだ」と感じられる心理状態を指します。職場や仕事に対してこの感覚が生まれたとき、人は指示待ちではなく、自ら考え、動くようになります。

心理的所有感は、次の3つの要素によって高まります。

  • 知識意識:
    職場の方針や背景、そこに込められた想いやストーリーを知り、理解・共感できているか。
  • 統制意識:
    自分の意見や行動が、職場や仕事に影響を与えていると実感できているか。
  • 投資意識:
    時間や労力、感情を注いできたという手応えがあるか。

これらが揃うことで、仕事は「やらされるもの」から「関わりたいもの」へと変わっていきます。

③心理的安全性の“先”にある、リーダーの役割

これまで多くの職場では、心理的安全性を高めることが重視されてきました。
他者の反応を恐れず、誰もが安心して発言・挑戦できる環境は、組織の土台として欠かせません。

しかし、心理的安全性だけでは人は動きません。心理的安全性の先に、「この職場は自分のものだ」と感じられる状態をつくることが、これからのリーダーに求められています。

その鍵となるのが、「共感」です。

④共感は「理解」ではなく、人を動かすための技術

共感とは、単に相手の話を理解することではありません。相手の言葉を自分なりに解釈し、自分の価値観や過去の経験と重ね、感情レベルでつながることです。

本書では、この共感を2つの技術として整理しています。

共感する技術:部下の価値観や感情の動きを理解しようとすること。

共感される技術:リーダー自身が「なぜやるのか」「何に悩み、葛藤してきたのか」を語り、部下がリーダーを応援したくなる隙間をつくること

正論や論理だけでは、人の心は動きません。
共感という“血の通った関わり”が加わってはじめて、人は「このチームを勝たせたい」「この職場に貢献したい」と思えるのです。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

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まとめ

本記事では、働き方改革が進んだにもかかわらず、人が前向きに働けなくなっている背景について整理しました。

長時間労働や職場環境への不満は減った一方で、成長実感や達成感を得にくくなり、「このままでよいのか」という不安を抱える人が増えています。重要なのは、働きやすさを保ちながら、仕事を通じた達成感をどのように取り戻すかという視点です。

本セミナーでは、その鍵として「心理的所有感」に着目しました。仕事や職場を自分ごととして捉えられたとき、人は指示待ちではなく、自ら考え、主体的に行動するようになります。その状態を支えるのが、職場の背景を共有し、関与の実感を高め、感謝・賞賛等で貢献実感を与えるというリーダーの関わりです。

心理的安全性を整えるだけでなく、未完成な職場に余白を残し、部下が関わりたいと思える関係性をつくることが、これからのリーダーに求められています。本記事が、職場と人の関係性を見直すきっかけとなれば幸いです。

アンケートの声(一部抜粋)

  • 働きやすさと働きがいの両立は大変難しいですが、ぬるま湯にならないように管理職のマネジメントスキル向上はより一層重要だと感じております。いかに未来志向で伝えていけるか、また、AIをマネジメント力向上に活用していく、大変参考になりました。
  • 心理的所有感という言葉が説明を聞いていてしっくりきました。ただ働きやすい職場環境なだけでなく、仕事を自分事としてとらえられることでさらに成果につながると感じました。
  • 1on1の質的向上を目的に、ある工場の管理監督者向けセミナーの1回目を実施しましたが、その時の社外講師のキーワードと今回のキーワードに同じ類のものが多く、復習する上でも非常に参考になった。
  • 働く意識や環境が変わる中で、マネジメントがどう変わっていく必要があるかはバラバラと考えはありましたが、今回のセミナーではそれを体系的に説明して頂きスッキリしました。
  • 当職場も心理的安全性をうたい動いてきましたが、本日の講演を聞き、共感性の大切さ、「推せる職場」づくりをすることが重要であることを学びました。そのためにはマネージャーを一緒にスキルを学んでいくことが大切だと感じました。
  • 1時間という短い時間でしたが、大変内容の濃いものに感じました。「推す」という表現は若い人だけが使うイメージでしたが、「推せる職場を目指す」に共感いたしました。

登壇者の声

「心理的安全性」から「心理的所有感」へ。本セミナー参加者の皆さまから一番反応が多かった言葉かと思います。人材枯渇時代において、より惹きつけ、より主体的に取り組んでもらうためにも、心理的安全性の土台の上に新たなチャレンジが必要な時期だと思っています。本セミナーの内容が、1つでも多くの職場に寄与できればと願っております。