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『キャリア自律って結構ハードル高いのでは?』キャリア観のアップデートを目標としたキャリアワークショップ

『キャリア自律って結構ハードル高いのでは?』キャリア観のアップデートを目標としたキャリアワークショップ

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著者

庄司 幸平

著者

庄司 幸平

大学卒業後、大手国内メーカーに入社。主に人事制度の運用・改訂に従事。2016年、株式会社シェイクに入社。コンサルタントとして、ソリューション企画・提案に携わる。2018年、株式会社NEWONEに参画。大手企業から中小企業まで、人事・組織戦略コンサルティングに従事。キャリア系のセミナー、講演に数多く登壇。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

どんな研修があるか見てみる

先日、とある企業様で「キャリアについて考えるワークショップ」をご一緒してきました。

「自分自身のキャリアに向き合う人を増やしたい」「自律的なキャリアを歩める社員が増えて欲しい」という思いからキャリア推進施策が動き出されていた企業様でしたが、一方でキャリア施策の展開に対して、果たして本当に自社に、忙しい現場社員に受け入れられるのか?という不安もあって、まずはトライアル実施していこう、という流れでワークショップ企画が始まりました。

当社でのキャリア推進において上がった論点として

「キャリアと聞いても難しそうに感じる」
「キャリア自律と聞いて、何をしたらよいか分からない」
「なんで日常は今のままで回っているのに、キャリアについて考える必要があるのか」

こういった声があり、現場に浸透しにくいのではという話になりました。
これらの論点はこちらの企業様特有の話ではなく、多くの企業様からよく聞く実態でもあります。

一番躓きやすいポイントでもありますが、これをどのように打破していけばよいのか?

本作のコンセプトはキャリア観のアップデートでした。

  1. キャリア=ポジションや昇格レースの話ではなく自己実現や生き方の話である
  2. キャリア自律=自学自習を頑張る等の大変そう、退屈そうな話ではなく、自己実現のために可能性を広げる楽しい話である
  3. 考えなくてはならないから考える、だけではなく考えることで自分の人生に彩りが増えるから考えることである
  4. 今から始める難しそうな話、ではなく今までやっていることに目を向ける話である
  5. 考えた結果として、何一つ変わらなくたっていいこともある

この辺りについて、ワークショップにおいても丁寧に解きほぐし、多くの対話を交えながら進めていきました。
キャリア研修の類の大枠は、実はそこまで多くは変わりません。

過去を掘り下げ、未来を描き、そのための今からの一歩を決める…たくさんの手法はあれど、殆どがこの構造に落ち着くのは、キャリアが本質的に「答えを自己に内包する」性質を持つからです。

そのため今回は「アップデートをする=認知をどれだけ変えられるか」にフォーカスしてコンテンツ設計していきました。

・価値観=崇高なビジョンや譲れない想い、強烈な原体験のようなものだと思うけれど、自分には中々言葉にできないし、見つからない。

→自分には無数の「大切にしたいプチ価値観」があり、その優先度はその瞬間でコロコロと変わる。漠然と成長したい、お金稼ぎだけで平穏に過ごしたい、遊び優先で早く終わらせたい、自分の人脈をつくりたい、面白い仕事だから没頭したい、将来面白い仕事をやるために昇進したい、将来楽するために昇進したい…どれにも間違いはなく貴賤もないからこそ、その時々で何を満たしたいかを「認知」し選択する感覚を持つことを一歩目としよう。

・キャリア自律=自分の意志で「努力」すること、と言われても優先順位は上がらない。アクションプランを立てても行動には繋がりにくい。

→キャリア自律=日々色んな「可能性の種」を拾い集めること。何をしていてもその種は溜まっているが、大事なのはそれを「認知」すること。何一つ無駄に何てなっていないし、ちゃんとこれまでの自分を前向きに承認しよう。

・今の仕事が忙しくって何かが変わる、変えられる気がしない。変えられるとしたら異動か転職しかない。

→環境はいつだって変えられるし、変えたくなくても変わるもの。また、望ましいものになるかどうかも全く分からない。だとしたら、「今いる環境を自分がどう捉えているか」の「認知」が大事。勿体ないことしないで、もう少し今の好悪含めた環境を楽しもう。

とにかく忙しい現場の方々にとってハードル低く認知転換を起こすことを第一歩にコンテンツ設計し取り組みましたが、結果としてワークショップを通じて、上記のような変化が起きており、全体的にとても自己効力感が高まって終えられたように感じました。

上記のような姿が、企業、ビジネスシーンにおける「キャリア自律」の正しい姿なのか?と問われると難しい部分はあります。結果として行動が変わらないじゃないか!ですとか、もっとE-learningを学ぶ社員を増やしたいんだ!というビジネスリザルトを求めるべきという声もごもっともかと思います。

その上で、人事様とディスカッションしていく中で、これまでの伝統的なキャリア研修コンテンツ…WillCanMustを言語化し、重なる部分のアクションを描くといった通常の手法では全体のキャリア自律の推進の機運は作れないと感じていたため、まずはキャリア自律へのハードルを下げること、自分達でもキャリア自律はできるんだという前向きさを生み出すことを狙った、というのが改めての背景思想になります。

重ねてとなりますが、キャリア自律自体は、実はそんなに難しいことではありません。
上記のキャリア観に照らして鑑みますと、日常的にできている人、触れている人も数多くいることでしょう。

一方で、昨今求められている「キャリア自律」の考え方について、難しく捉えてしまっていたり、ここまで深く考えたことなかったからこそ、ハードルが高く感じてしまう、というのが実態のように思います。

だからこそ、「キャリア」というものへの考え方をアップデートすることと、キャリア自律のハードルをどれだけ低く避けることができるかというのがポイントだと考えています。

いたずらにキャリアという言葉だけが「無駄に高尚に、意識高く、また現場から乖離して」ひとり先走らないように、その解像度上げていくこと。それをいかに身近で簡単なものに落とし込んでいけるのか、これが施策のカギなのではないかと私は考えています。