最終更新日:

AI時代に本当に鍛えるべき力とは何か ―「仕事がなくなる」ではなく「仕事の質が変わる」という視点― 

AI時代に本当に鍛えるべき力とは何か ―「仕事がなくなる」ではなく「仕事の質が変わる」という視点― 

<a href= 徳 若菜" width="104" height="104">

著者

徳 若菜

著者

徳 若菜

大学卒業後、大手海運会社に入社し、海陸一貫輸送における新規案件獲得から物流ネットワークの最適化支援を担当。その後、ハイエンド層向けの人材紹介会社に中途入社し、両面型エージェントとして従事。営業経験者や販売経験者の転職支援を担当したのちに、新領域立ち上げ責任者として、財務・経理職支援の立ち上げを担当。株式会社NEWONEに入社後は、人材育成・組織開発のHRパートナーとして新入社員・若手から、管理職やシニア層前で幅人い階層を支援している。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

どんな研修があるか見てみる

「AIが単純作業を代替する」「資料作成や議事録はAIに任せられるようになる」 

こうした話を耳にする機会が増えました。実際に、生成AIの普及によって、これまで人が担ってきた業務の一部が効率化されているのは事実です。 

例えば、新入社員の最初の業務としてよく挙げられていた議事録作成も、AIが自動で要約・整理してくれる時代になりつつあります。その結果、「これまでのような業務はなくなるのではないか」という不安や、「どのようなスキルを伸ばして、どこで経験を積むのか」といった声も聞かれるようになりました。 

AIが代替するのは“作業”であり、“仕事”そのものではない

AIが得意なこととは、情報の整理や要約、パターンに基づいたアウトプットです。 
そのため、議事録作成や資料作成のような業務の一部は、確かに効率化されていきます。 

しかし、ここで見落としてはいけないのは、AIが代替しているのはあくまで「作業の一部」であり、「仕事そのもの」ではないという点です。 

例えば議事録であれば、「何を重要な論点として整理するのか」「この会議のゴールは何か」「誰に向けて、どの粒度でまとめるのか」といった判断は、依然として人が担う必要があります。 

また資料作成においても、「誰に対して、何を目的にこの資料を作るのか」 「相手にどんな反応を引き出し、どんな行動を取ってほしいのか」 「どの情報を強調し、何を削るのか」 といった部分が曖昧であれば、どれだけAIを活用してもアウトプットの質は上がりません。そういった判断は、人が担い続ける必要があります。 

さらにAI時代に特徴的なのは、アウトプットを「ゼロから作る」こと以上に、そのアウトプットを“評価し、改善するために言語化する力”が重要になるという点です。 
AIが作った資料に対して、「もう少し論点を整理した方がいい」「この構成だと意図が伝わりにくい」「この情報は削った方が分かりやすい」といった指摘ができるかどうか。 
この違和感を言語化できるかどうかが、AIによるアウトプットの質を大きく左右します。 

つまりAI時代においては、「ゼロから作る力」以上に、“良いアウトプットとは何か”を理解し、それを言語化して近づける力が重要になっていくのです。 

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

開催中のセミナーを見てみる

AI時代に本当に強化すべき力と、その育て方

では、こうした変化を踏まえたとき、人材育成の観点で強化すべき力とは何なのでしょうか。重要なのは、大きく三つの力です。 

① 目的を言語化する力 

AIを使う際、アウトプットの質を最も左右するのは、「何のためにそれを行うのか」という目的の明確さです。 

誰に向けた資料なのか、どんな意思決定を促したいのか、何を伝えたいのか。このデータを使って何を明らかにしたいのか。この目的が曖昧なままでは、どれだけAIを活用しても、適切なアウトプットは得られません。
逆に、目的が明確であればあるほど、AIは強力なパートナーになります。 

② 良いアウトプットの基準を持つ力 

AIが作った成果物を活かして、ブラッシュアップできるかどうかは、その内容を評価できるかどうかにかかっています。そのために必要なのが、「良いアウトプットとは何か」という基準を持つことです。 

例えば、 
・分かりやすい構成になっているか
・伝えたいメッセージが明確か
・相手の行動につながる内容になっているか
といった観点を持っていると、AIのアウトプットに対しても具体的なフィードバックができるようになります。 

③ 改善点を言語化し、指示できる力 

そしてもう一つ重要なのが、感じた違和感や改善点を、言語化して伝える力です。 

AIに対して「もっと良くして」と指示しても、アウトプットは変わりません。 
一方で、「論点を3つに整理してほしい」「結論を先に出してほしい」といった具体的な指示ができれば、アウトプットの質は大きく改善します。 

これはAIに対してだけでなく、人に対しても求められる力です。つまりAI時代においては、思考を整理し、言葉にして伝える力そのものが、これまで以上に重要になるのです。

まとめ

AIの普及によって、これまで人が担ってきた業務の一部は確実に変化し、それに伴って、自分の思考の質を高められるかどうかが問われています。 

まずは、自社の育成や業務の中で、業務における論点を整理し、問いを持つ機会を増やしみてはいかがでしょうか。 
それが、AI時代におけるスキル伸長の第一歩になるはずです。