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「キャリア意向がない」メンバーを支援するポイント

「キャリア意向がない」メンバーを支援するポイント

<a href=髙嶋 耕太郎" width="104" height="104">

地方広告代理店、地方公益社団法人での勤務を経て、バックオフィス支援を行う会社に入社。社内コミュニケーション活性施策の営業、新卒合同説明会の制作、総務常駐チームのリーダーを務める。2022年に株式会社NEWONEに入社後は、研修をメインとした人材育成・組織開発のHRパートナー、研修ファシリテーターとして従事。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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キャリア自律の重要性が叫ばれ、企業としても無視できない潮流となっている昨今、研修体系に「キャリア支援」を組み込む企業様が増えています。

1on1を軸としたメンバーへのキャリア支援を通じ、最終的には「今の環境とキャリア意向をどうつなげてイキイキ働いてもらうか」を考える中で、管理職の皆様は必ずある壁にぶつかります。

それは、「特にキャリア意向のない方に対して、どう支援すれば良いのかわからない」です。

確かに、キャリア意向が明確であり、例えば「○○という業務がやりたい」というメンバーに対しては、「○○という業務をやるためには、△△というスキルが必要で、それは今の□□という業務で身に着けられるのでは?」と言ったように、管理職の方もうまく対応できそうです。

ところが、特にそうしたキャリア意向がない方に対しては、何を話しても暖簾に腕押しのような状態になってしまい、ほとほと困っているという管理職の方も少なくありません。

先日1on1研修を実施させていただいたとある企業の管理職の方からも、同じようなお声をいただきました。

そこでお伝えした大事なポイントは2つです。

ひとつは、キャリアには「キャリアビジョン」と「キャリアアンカー」のふたつの視点があるということ。
もうひとつは、「キャリアアンカー」は誰もが持っているということです。

キャリアという言葉をイメージするとき、人はどうしても「キャリアビジョン」を想像しがちです。これは「部長まで昇進したい」「企画職につきたい」「起業したい」等、その人が将来的にどうなっていたいかを指します。

しかしキャリアには、もう一つの側面があります。

それが、組織心理学の大家エドガー・H.シャイン教授が説いた「キャリアアンカー」というものです。

これは簡潔に言えば、「その人が大事にしたい価値観」です。人はだれしも、自らの価値観に基づいて生きているので、キャリアアンカーは誰もが持っているということです。

「趣味を優先して過ごしたい」「周囲から感謝される仕事がしたい」「家族と一緒に安定した暮らしを送りたい」等、誰もが何かしらのキャリアアンカーを持っています。

「キャリア意向がない部下に悩んでいる」という時、このキャリアアンカーにまで気を向けていないことがほとんどです。

そこで今回の研修では、「キャリア意向がない部下に対しての1on1で、キャリアアンカーを探す(価値観を引き出す)」ロールプレイングを実施しました。

参加された方は、

・今まで、キャリア意向がない方はお手上げだと思っていたけど、価値観なら確かに誰もが持っており、自分にも支援できる道があるのではと感じ
・どうしてもキャリアビジョンだけに思い込みがちだけど、キャリアアンカーも立派なその人の意向であると思った

等、「キャリア意向がない」と思い込んでいた自分に気づき、支援のヒントをつかんでいる様子でした。

今回の研修では、キャリア意向=キャリアビジョンだけではなく、キャリアアンカーまで含めて支援してあげることの重要性に気づいていただきましたが、価値観を知ることは、1on1の中だけで完結することではありません。

日頃の接点の中から、その方が何を大切にし優先しているのかをしっかりと観察し、理解しようとする心構えが、キャリア支援のカギになることを、これからもお伝えしていきたいと思います。