“実践知”を伴う新入社員マインドセット研修
~「がんばります」で終わらせない、現場で活きる研修設計とは~

山崎製パン株式会社様
(※写真右から)山崎製パン株式会社 営業教育研修部 部長 下村 寛之 様 営業教育研修部 教育研修課 山本 千絵美 様 営業教育研修部 教育研修課 上保 優 様 株式会社NEWONE 組織・人材開発事業部 HRパートナー 藤澤 星奏
会社名
山崎製パン株式会社
https://www.yamazakipan.co.jp/
業界
食品・農林水産・印刷・紙メーカー
従業員規模
10,000名以上
対象範囲
新入社員

事例概要

課題
  • Mクルーの配属先は男性中心・平均年齢高めで、年齢や価値観のギャップが大きい。そのような中、新入社員は「学生マインド」のまま現場に入るため、環境との不一致からエンゲージメントが下がりやすい
  • 従来の新人研修は実務に偏っていて、「社会人としてのマインドセット」が手薄だった
効果
  • お客様の期待にどう応えるか、どう上回るかを考える視点が身につき、「仕事」の本質を理解する機会になった
  • 研修後の感想が、「がんばります」から「こう行動したい」「こう意識したい」へと変化し、学びが表面的で終わらず、すぐに活かせる実践知につながった
  • 副次的効果として、受講者の変化が職場からも好評であり、他セクション配属の新入社員からの研修希望が増加した
実績

[サービス]

新入社員マインドセット研修

[対象]

新入社員

[実施概要]

Mクルー※の新入社員(42名)を対象に、プロフェッショナルとして求められる心構えを理解すること、相手視点に立ったコミュニケーションスキルを高めること、職場で自ら行動することでエンゲージメントを高めることを目的に、ビジネスマインドセット研修を実施。

※Mクルー:マーケットクルーの略。店頭活動を通じ、楽しい食卓の提案、食育の推進、ヤマザキのファンづくりをミッションとする専門スタッフ。

 

担当者の
こだわり
新入社員の離職やモチベーションに課題を感じていらっしゃるようでしたら、同じような支援ができると思います。 若手の早期離職や受け身姿勢に悩まれている企業様が非常に多く、本事例の山崎製パン様でも、若手が職場になじめず孤立してしまうケースが課題となっていました。 そのため、知識やスキルではなく“マインドセット”に焦点をあてた研修を導入いただいたことで、自ら価値を提供しようとする主体性が芽生え、エンゲージメントの向上や現場からの高評価にもつながりました。また、“内製が基本”という方針の中で、自社だけでは気づけなかった視点や、若手の傾向分析などを活用いただきました。引き続き、育成風土がさらに作られ、エンゲージメントが高まる組織につながるよう、「伴走パートナー」としてお役立ちできればと思います。

― 2023年度から、Mクルー配属の方々に対して、マインドセットの新入社員研修を実施させていただいていますが、実施しようと思った背景・理由について教えてください。

下村様:Mクルーはほとんどが女性ですが、職場の工場営業課は男性が多く、平均年齢も比較的高いため年齢差も大きいです。このような環境に、学生のマインドのまま入社してくると、職場環境との不一致を感じやすい状況にありました。そのため、エンゲージメントの低下が懸念されていました。Mクルーに対しての新人研修は、20年近く前から継続して実施しています。しかし、これまでの同研修は現場の具体的な実務に焦点を当てており、知識や手順についての指導は丁寧に行っていたものの、「社会人としての成長」や「中長期的なキャリア形成」という観点でのサポートが不足していると感じていました。こうした背景から、新入社員研修のテーマにビジネスマインドセットを取り入れることが必要と考え、2023年にプログラムの再編を行うことに決めました。

山本様:営業課に配属された新入社員が、実際にMクルーの仕事を始めてみると、中には仕事内容に対してやりがいを感じられず、受け身の姿勢となる方が出てきて、最終的に離職してしまうケースがあり課題を感じていました。若い人に向けた研修内容を考え実施してきたのですが、なかなか刺さる内容を実施できていませんでした。そこで、2023年にNEWONEさんのマインドセット研修を導入することになり、それがすごく彼女らに刺さる内容だったということもあり、継続して実施しています。

上保様:Mクルーという仕事の特徴として、新入社員が1人で現場に出て取引先と対応することが多く、独り立ちしやすい反面、社内との接点が少なく孤立しやすい側面があります。そのため、内勤のように先輩が近くにいたり、会社の情報に日常的に触れたりする機会が少なく、社会人としての方向性や働く意義が見えにくくなることがあります。先輩や上長と密にコミュニケーションが取れている場合は良いのですが、そうでない場合は孤立やモチベーション低下、退職につながるリスクがありました。そこで、エンゲージメントを高めることの重要性を強く感じ、会社側の支援が必要だという考えに至り、NEWONEさんにお力添えいただくことになりました。社会人としてのマインドセットや、今の仕事が次につながるという前向きな意識づけや心構えが生まれ、エンゲージメントの向上にもつながっていると感じ、継続して導入させていただいています。

※Mクルー:マーケットクルーの略。店頭活動を通じ、楽しい食卓の提案、食育の推進、ヤマザキのファンづくりをミッションとする専門スタッフ。

自ら行動することで、いつの間にかエンゲージメントが高まるのが理想

― この研修によって、新入社員がどうなることを期待していましたか?

下村様:新入社員がプロフェッショナルとして求められる心構えを理解すること、コミュニケーションスキルを高めることに、特に重きを置きました。研修終了後は、単に理解して終わるのではなく、新入社員が自ら意識を変えていく意志を持ち、小さなことでもよいので職場で具体的な行動を起こすことを期待しました。その結果として、新入社員のエンゲージメントが高まり、職場での信頼関係やチームワークが強化され、働きやすさとやりがいを感じられる職場環境づくりにつながればと考えています。それらは職場から与えられるものではなく、新入社員が自ら行動した結果としてついてくるものだと実感できることで、エンゲージメントがいつの間にか高まっているという状態が一番うれしい姿です。

山本様:仕事を作業として捉えるのではなく、自分で目標を立てて動いていくことで、最終的に仕事が面白くなることを実感してほしいと思っています。「仕事が面白い」という状態がつくれたら、私たちもやって良かったと思いますし、それに尽きるかなと思っています。

上保様:「今の仕事には意味があり、未来につながる」という視点を持つことが大切であり、自身のモチベーション維持にも重要であると気づいてほしいと思っています。将来どんなポジションに就いても役立つ考え方であり、その考え方を新入社員の段階で身につけるきっかけをいただけることは、私たちとしても非常に有り難い機会だと感じています。

「提供した価値に対し、対価をいただく」という考えは企業理念に通じる

― 本研修を実施してみた率直なご感想や、感じられた効果があれば教えてください。

上保様:受講者の声としては、全体を通してすごく前向きな意見が多かったです。「相手が本当に求めていることを推測しながら確認していく姿勢」や、「表面的な情報ではなく、本質を見極めようとする姿勢の大切さ」を学べた、という声が印象的でした。また、人は言葉だけではなく、視覚や聴覚からも多くの情報を得ており、だからこそ表情や声のトーン、仕草といった非言語の部分にも意識を向ける必要があることに気づかれた方もいました。
また、「価値のメカニズム」という話も響いていたようで、「相手の期待を上回れば感動や感謝といったプラスの感情が生まれるし、逆に期待を下回れば不信や不快感が生まれる」といった考え方が、とても腑に落ちたという声も多かったです。全体として、相手の立場に立って考える姿勢や、どう価値を感じてもらうかという視点が身につき、大きな学びの機会になったように感じています。

山本様:これまで新入社員向けに色々な研修を企画してきましたが、受講後のレポートは「ためになりました」「がんばります」といった、少し表面的な感想が多くて、物足りなさを感じることもありました。しかし、NEWONEさんの研修を実施した後は、「こう意識して行動していきたい」「頭の中が整理できた」など、受講者の気づきや行動につながる具体的な声が多く、これまでとは明らかに反応が違いました。メッセージの伝え方や研修の進め方がとても効果的で、受講者にも深く響いていたと感じました。自分自身も、研修のやり方についてすごく学びになりましたし、純粋に「すごいな」と思える内容でした。

下村様:「プロフェッショナルとしての心構え」については、「対価をいただくから働く」ではなく「発揮した価値に対して対価をいただく」という意識が、わかりやすい図や例え話を通じてしっかりと腹落ちできていたように思います。これは、当社の「良品廉価・顧客本位の精神で品質と製品、サービスをもって世に問う」という企業理念にも通じるもので、非常に価値ある学びでした。当部では、すべての研修を企業理念につなげたいという考えがあるので、理念とのつながりも感じられる内容を実施できたことはとても有り難かったです。
商売を考えるワークでは、「お客様の困りごとの解決」につながる内容の評価が高く、商売の本質、営業の本質に気づくことができたのではないかと思います。コミュニケーションについては、「きき方」の重要性、また報連相の重要性をしっかり理解できたようです。報連相については、上司の立場で考えてみることで、具体的なイメージを持てたという感想が多くありました。

配属先の上長から「受けさせて欲しい」という要望が出るようなった

― 受講後の反応や変化、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

下村様:自分の価値観の掘り下げについて、こちらが思っていた以上に真剣に、深く考えている様子が印象的でした。その流れで、自分の価値観と会社の理念をつなげることの意義にも気づいていただけたようです。また、研修中の共有の時間で他者の価値観を尊重する様子も、多様性を重んじるとされる世代の人たちならではだと思いました。
また、受講者本人の変化ではないですが、新入社員が配属される上長の評価は良好で、Mクルーに配属かはわからないけど受けさせて欲しいという要望もたくさんあり、受講者が増えたことがありました。去年の口コミじゃないですが、Mクルーじゃなくても学びになる研修なので、ぜひ、受けたいという声があがったことはプラスの変化と捉えています。

単に研修を提供するだけではなく、一緒に課題解決を考える

― NEWONEにお任せ頂いている理由、導入の決め手について教えてください。

下村様:当部の同研修における課題感と、NEWONEさんの「エンゲージメントをテーマに、個人の意識変革と関係性の向上を中心とした価値を提供する」というメッセージがぴったり合っていたというのが、導入を検討するきっかけでした。無料セミナーに参加させていただき、初回のミーティング時にお聞きした若手の傾向分析と育成のポイントは非常に納得のいくものでした。研修実施前のヒアリングや具体的なプログラム作成においても、当方の要望を引き出しつつ、常に研修の目的に立ち返りながら具体的なご提案をいただき、非常に満足のいく準備をした上で研修を実施することができました。また、研修のやりっ放しにならないように、研修後の取り組みについてもアンケートや個別面談の実施についてきめ細かなサポートやアドバイスをいただき、大変助かっています。全般に、単に研修を提供するということではなく、当社の課題解決を一緒になって考え、取り組んでくださることが本当にうれしいですし、頼もしく思っております。

山本様:「自分の価値観を大切にしながら、会社の目的とつなげて働く」という発想は、これまでにない新しい視点だと感じており、非常に印象に残りました。入社してくる世代の価値観は時代とともに変わっていく中で、今の若手に合った考え方に寄り添って研修内容を設計いただけることがとても有り難いと感じています。

― 今回実施した新入社員研修は、どのような組織にお勧めしたいですか?

下村様:研修は個別の課題に合わせてカスタマイズされるべきだと考えます。課題とはつまり現状とあるべき姿のギャップなので、それが鮮明になっていなければ始まらないわけですが、自社の視点や視野だけでそれを正しく捉えられない場合もあると思います。当部は「内製化」のための部署であり、企業理念と会社方針を基盤に、いかに精度の高い教育・研修を行うかが使命であり基本線です。ですが、自社内だけだと視野が狭くなりがちですので、一部を外部に委託しています。NEWONEさんは、我々と課題を共創したうえで、多くの引き出しから有効な打ち手をご提案いただける心強いパートナーです。「全てお任せして結果が欲しい」ということではなく、「一緒に考え、創り、課題解決につなげたい」というスタンスで研修をお考えの企業様であれば、業種・業界を問わず全ての組織にお勧めです。

山本様:当社が以前実施していたような実務に関する研修がメインで、今の若い世代に合わせたマインドセットに踏み込んだ研修を実施していないという企業様には、NEWONEさんのような専門の知識や実績があるところに依頼してみることをお勧めしたいです。表面的な仕事の内容は社内で教えられるとしても、仕事を続けていくモチベーションや行動を促す意識づけをするためにはマインドセットが必要だと思っています。新入社員の段階でそういった学びをすることが、その後のエンゲージメントの向上や離職防止にもつながっていくと思っています。

三者面談を通じて、職場に「育成文化」を根づかせていきたい

― 今後、取り組んでいきたいことや注力していきたいことについて教えてください。

下村様:新人研修の中で価値観について深く考えて向き合っている様子はとても伝わってきて、それ自体は大切にしてほしいと思っています。ただ、少し気をつけないと、「自分の価値観だけで仕事をする」ことにもなりかねず、場合によっては「この会社じゃなくてもいい」と感じてしまうリスクもあります。だからこそ、自分の価値観と会社や仕事とのすり合わせをどうするかを考える機会は、引き続き大事にしたいと思っています。今回の研修でもその視点は取り入れていたと思いますが、今後は企業理念とのつながりをもっと実感できるような内容にブラッシュアップしていきたいと考えています。
新入社員における課題とは別の形で、中堅社員(入社5~10年目)における課題も見えてきております。ストレスのコントロール方法のヒントを与えるなど、引き続きNEWONEさんにもご協力いただきながら、こうした課題に具体的に取り組んでいきたいと考えています。

山本様:私はMクルーの組織運営に関わっているのですが、2~3年上の先輩たちを「リーダー」として立てて、新入社員の育成などをお願いしています。このリーダーたちを中心にまとまりができてきて、それ自体は良い面もあるのですが、リーダーに教育を任せきりになってしまい、職場の他のメンバーとの接点が減り、Mクルーチームが同じ工場の営業課でありながら、孤立しがちになるという課題も出てきました。そこで、今取り組み始めているのが「三者面談」です。係長・リーダー・新入社員の三者で面談をすることで、直接対話の機会をつくろうと、7月から動き出しました。正直、係長から忙しいといった声があがるかなという不安もあったのですが、意外にもすんなり受け入れてくれて、自分の言葉で「今後はこうしていこう」と新入社員に伝えている姿を見ることができました。こうした取り組みを通して、育てる文化が現場に根づいていくことが理想です。そして、会社全体で育成文化ができてくると、私たちも働きかけやすく、現場からも動きが生まれて、仕事が楽しいと感じられる雰囲気が広がっていったらうれしいなと思っています。今はその第一歩として、三者面談に力を入れているところです。

上保様:新入社員には「自分が会社の一員として、チームの中でちゃんと役に立っている」という実感を持ってほしいなと思っています。そういうチームとしての連帯感や所属意識は、仕事のモチベーションにもつながりますし、すごく大事なことだと感じています。今回の三者面談のような新しい取り組みを通じて、上長の方々も新入社員としっかり向き合うきっかけができました。普段は忙しくて、なかなかそういう対話の場を持てなかったと思うので、この面談が関係性を深める良いきっかけになったのではないでしょうか。
こうした取り組みを通じて、新入社員に「自分はチームの一員だ」という自覚が芽生えれば、成長や定着にもつながると感じています。今後も、そうした意識を育てる関わりを大切にしていきたいです。

― 本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願いします。

◆受講者アンケート(一部抜粋) 

  • ビジネスの世界には「これが正解」というものがなく、相手の期待も人それぞれ異なるため、一筋縄ではいかない難しさがあると気づきました。その中で大切なのは、相手が本当に求めていることを推測し、確認しながら行動することであり、本質を見極める姿勢の重要性を学びました。
  • ヤマザキのサービスを提供できる1人であるという自覚を持ち、主体的に行動に移すことが大切だと学びました。そのためにはまず、笑顔であることや、聞き方、伝え方など相手に好印象を持ってもらうことが必要だと気づきました。
  • Mクルーはヤマザキとお客様のパイプ役として楽しい食卓を提案でき、直接お客様の笑顔を見ることが出来る素敵な仕事だと分かりました。また、人によって価値観は大きく異なるので、それを意識した上でお客様とコミュニケーションをとる必要があるということが分かりました。
  • メラビアンの法則から新たな気づきを得られた。1日目で、人は言語情報だけでなく、視覚や聴覚からも印象を判断しており、視覚と聴覚から得られる情報が大半を占めるため、しぐさ・行動や声のトーン等に気をつけるべきだと学んだ。今回の講義で、その観点を他者にも当てはめ、自分が相手に抱いた印象が本当とは限らない、ということを学ぶことができた。
  • 相手の期待を上回ると感動、感謝といったプラスの感情が芽生え、反対に期待を下回ると不信、不愉快、怒りといったマイナスの感情が生まれるという価値のメカニズムを学びました。
  • 自分の価値観はグループで発表することでより明確になった。さらにそれを会社の提供価値と重ね合わせるというのは今まで意識したことがなかったので新たな学びになった。
  • 社会人として、Mクルーとして悩んでいたことに向き合えてよかった。また、価値観を大切にして働いていくことを大切にしたいと思った。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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