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「素直さ」は才能ではなく、スキル。新入社員に求めたい本当の素直さとは?

「素直さ」は才能ではなく、スキル。新入社員に求めたい本当の素直さとは?

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著者

池本 大輝

著者

池本 大輝

株式会社NEWONEに新卒入社。研修をメインとして、人材育成・組織開発のHRパートナーとして従事。新入社員・若手から管理職まで幅広い階層を支援している。また、組織開発の一環としての社内イベントの企画・運営を行う。

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「素直な新人は伸びる」は本当か?

人事担当者や育成側であれば、一度は口にしたことがあるであろう「素直な新人は伸びる」という言葉。
この言葉には多くの現場経験からくる納得感がありますが、いざ育成の現場で実感するのは、

  • 「素直」の意味を履き違えてしまう新人がいる
  • 自分なりの考えをもった新人が「反発的」と誤解されてしまう
  • 上司や現場の“指導しやすさ”と“本質的な成長”の間でモヤモヤが起こる

そんな、“素直さ”をめぐる認識のズレです。

この「素直さ」、実は“性格”ではなく、自分の認知や思考のクセをとらえられる力だと考えると、育成にも本人の成長にもグッと納得感が出てきます。

素直さ=“自分のフィルター”を認識できる力

辞書的には「素直」とは「ひねくれず、ありのままに受け入れること」とされていますが、現代の職場ではこの“ありのまま”が意外と難しい。

なぜなら、私たちは誰もが無意識に

  • 過去の経験
  • 自分なりの正解
  • 自己防衛的な思考パターン

といった“自分フィルター”を通して物事を解釈しているからです。

育成の現場でも、「注意された=否定された」と解釈する新人や、「丁寧な指導=信用されていない」と感じてしまうケースは少なくありません。

“素直さ”とは、こうした反応に気づき、「あ、今そう受け取ってしまっているな」と**一歩引いて自分の受け止め方を見直せる“認知の柔軟性”**を指すのではないでしょうか。

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人事・育成担当として育てたい「素直さ」という3つのスキル

ここからは、新人が“素直に受け取れる人”として成長するために、育成方針に取り入れたい3つのポイントをご紹介します。

1. 自分の“自動解釈”に気づけるようにする

新人の多くは、「怒られた=自分はダメだ」「質問する=迷惑かけている」といった“自分ルール”による自動反応を持っています。

まずは、その反応に気づき、言語化できるようになること。
「どう受け取った?」「本当にそう言われた?」「他の可能性は?」といった問いかけで、自己内省のスイッチを入れてあげると、メタ認知力が育ち始めます。

2. 「違う考え」に触れる機会を意図的につくる

“素直さ”が弱い新人の多くは、「他者の考え=自分と対立するもの」と捉えがちです。
一方で、成長していく新人は、「他者の考え=自分を広げるきっかけ」として吸収する力があります。

1on1やOJTの中で、「自分と違う考えに出会う経験」や「その背景を考える問いかけ」を意識的に増やすことで、違いを楽しめるマインドが育ちます。

3. 「納得してから動く」ではなく、「動いてから納得する」を経験させる

認知の柔軟性は、体験と結びつくとより定着します。
一度違和感を覚えた指示や方法であっても、「一度やってみる」というスタンスを持てた経験は、後に「なるほど、こういうことか」と腹落ちにつながるケースが多いです。

「まずやってみる→やってみて考える」というサイクルを肯定的に支援することで、新人の“思考のしなやかさ”が高まります。

素直さは“育成できる力”である

素直さは、決して性格や才能で決まるものではありません。
むしろ、「自分の思考にひと呼吸おけるか」という認知的スキルとして捉えることで、育成の設計や関わり方も大きく変わります。

人事や育成担当者として、新人の中にある「素直さの芽」に気づき、育てていくこと。
それが、長期的な成長の土台を作る第一歩になります。

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