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ミドル世代がキャリアプラトーを乗り越えるヒント

ミドル世代がキャリアプラトーを乗り越えるヒント

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著者

稲里 拓都

著者

稲里 拓都

大学卒業後、大手国内メーカーに入社し、人事業務全般に従事。その後、人材系企業2社で営業マネージャーおよび人事マネージャーを歴任。2024年に株式会社NEWONEに入社し、現在は研修を中心に、人材育成・組織開発のHRパートナーとして活動。新入社員の育成体系構築から管理職主導の組織開発まで幅広く支援。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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はじめに

昨今、企業の人事担当者様から社員のキャリア向け研修に関するご相談をいただく機会が増えています。
その中でも、特に30代中盤から40代にかけたミドル世代を対象としたキャリア研修への関心が高まっている印象です。

ミドル世代は「キャリアプラトー」と呼ばれる組織で働く人が経験する停滞状態に陥りやすい時期でもあります。プラトーとは、学習を続けているにもかかわらず成長が止まってしまう現象のことであり、キャリアにおける頭打ち・停滞期と言えます。

今回は、ミドル世代が組織内での役割や家庭とのバランスにどのように折り合いをつければ、豊かなキャリアを歩んでいけるのかについて、金井壽宏著「働くひとのためのキャリア・デザイン」を参考に考えていきたいと思います。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

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4つの観点から読み解くミドル世代のキャリア課題

金井氏の著書では、「ミドルで差が出るのはなぜか」というテーマを、ダニエル・レビンソン著「ライフサイクルの心理学」から引用し、次の4つの視点でバランスを取る重要性を述べています。

① 若さと老い

ミドル世代は、若さと老いがせめぎ合う時期に直面します。20代のような体力や吸収力は持ち合わせていなかったとしても、ミドルにはこれまで積み上げてきた経験や知恵があります。若さと老いを統合し、ミドル世代だからこそ可能な挑戦を続けることで、人生で最も実りある時期を迎えられます。一方で、未熟さを残したまま老成したような振る舞いをしてしまうと、「若年寄り」となり、成長が早々に止まる恐れがあります。

② 男らしさと女らしさ

男性の場合、20代では「競争で勝つ」「一番を目指す」といった男らしさに重きを置きがちですが、ミドルになると「育てる」「愛する」といった女性らしい要素を統合する必要があります。一方で、女性は「可愛がられる」「応援してもらう」ことを重視していた20代から、ミドルになると自立的で力強い男らしさを統合する必要があります。

③ 破壊と創造

これまで反対意見を主張し、対立を恐れず行動してきた人も、ミドル世代になると、他者の意見を統合し、新たな価値を創造する姿勢が求められます。自分と異なる意見を持つ他者と対話し、新しいアイデアや方法を生み出す挑戦を続けることで、次のステージへと進むことができるのです。

④ 愛着と分離

普段愛着を持っているものから一度切り離し、自分自身の内面を見つめ直す「分離」が必要となります。職場や家庭など、自分にとって大切なものを一旦切り離して考えることで、自身のアイデンティティ(自分が何者であるか)を問い直す機会となります。

こうして内面を深く理解することで、本当に大切なものへの愛情をさらに深めることができるのです。

まとめ~ミドル世代の支援に向けて~

今回は、4つの観点を通じてミドル世代がキャリアプラトーを乗り越えるためのヒントを考察しました。実際には、個々の悩みや葛藤は非常に複雑で、単純に解決できるものではありません。

しかし、人事の皆様が主導となり、次のような取り組みを進めることで、ミドル世代のエンゲージメント向上につながる可能性があります。

  • ミドル世代同士が悩みを共有し、対話する場を設ける
  • 忙しい現場から離れ、ミドルが自分と向き合える時間を確保する

これらの取り組みは、ミドル世代の悩みのブレーキを緩め、前向きなキャリア形成を支援するきっかけになるかもしれません。