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他責思考は”悪”なのか?

他責思考は”悪”なのか?

<a href= 瀬口 航生" width="104" height="104">

株式会社NEWONEに新卒入社。人材育成・組織開発のHRパートナーとして、研修設計・運営を中心に幅広い層の成長支援に携わる。新入社員・若手から管理職層まで、各階層の課題に応じたプログラムを企画・実施し、組織全体のパフォーマンス向上を支援している。
社内では組織開発の一環として、エンゲージメント向上を目的としたイベントの企画・運営にも取り組んでいる。

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活躍するビジネスマンは「自責思考」で物事を捉えている。

そんなメッセージを、日々の仕事や研修、さらにはSNSなどを通じて耳にする機会は少なくありません。
その結果、仕事に向き合う中で「どんな場面でも自責で考えなければならない」
と、無意識のうちに思考のクセとして身についている人も多いのではないでしょうか。

「うまくいかなかったのは自分の準備不足だ」
「成果が出ないのは、自分の努力が足りないからだ」

自責で捉える姿勢は、確かに成長を促す重要な考え方です。
成長志向が強い人ほど、この思考を大切にしようとしますし、ビジネスの現場においても、自責思考は前向きで主体的な態度として評価されることが多いでしょう。

では一方で、「他責思考」はどうでしょうか。
他責思考という言葉は、逃げや言い訳といった否定的な意味合いで使われることが少なくありません。
「自責思考を身につけよう」という言葉はよく耳にしますが、「他責思考を身につけよう」という言葉はあまり耳にしたことがありません。
それどころかむしろ、他責思考から抜け出し、自責思考へ転換することが望ましい、
そんな二極対立の考え方が前提になっているようにも見えます。

自責思考が”善”であるとするならば、他責思考は”悪”なのでしょうか。
この二つの思考は、そもそも相反するものなのでしょうか。

自責に寄りすぎた経験談

新入社員1年目の経験として、自責思考に寄りすぎていたと感じる出来事がありますので、少しだけ経験談を記させていただきます。

実はかくいう私も自責思考が大事であると考え、無理やりにでも自責に転換しようとするタイプの人間でした。なぜなら、活躍するビジネスパーソンになりたいと思っていますし、大きな心をもって、責任は自分にあると考える人の方がかっこいいと思っているからです。

ある日、先輩から資料作成の依頼をいただきました。
入社して間もない時期だったこともあり、任せてもらえたことが嬉しく、張り切って作成に取り組みました。
完成した資料を自信を持って提出したものの、先輩から返ってきたのは「期待していたものとは少しずれている」という言葉で、資料は作り直しとなりました。

当時の私の振り返りは、
「もっと自分が入念に情報を収集していれば」
「もっと自分に相手から情報を引き出す力があれば」
と、自分の行動ばかりを見直していました。
しかし、思い描いていた自分の理想の状態がすぐに手に入るわけもなく、同じような修正が続く中で、次第に自信を失ってネガティブな状態になり、資料作成に対するブレーキも大きくなっていきました。

今振り返ると、自責思考だけで物事を捉えていた私は自分の中で完結できる範囲での行動しか見直さず、改善の幅を小さくしていたように思います。

もし、自分に健全な他責思考が十分に備わっていれば、本当は先輩の指示が不明確だったという観点で、もっと自分に伝わりやすいように伝え方の工夫をお願いできたかもしれません。
先輩が忙しそうにしていて、声をかけにくい雰囲気があったということから、どういうタイミングの時は声をかけてほしくないのかを聴けたかもしれません。

自責思考は、こうした観点に気づきにくくしてしまう側面があると感じました。
また、自責思考に寄りすぎることで、起きている問題を誰かと一緒に解決するという選択肢を自ら狭めてしまうこともあるようにも思えます。

この経験を踏まえると、自責思考を身につけられれば、大きな成長を遂げられるという考えはやや単純化されすぎているように私は考えます。

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自責思考と他責思考の定義と役割

そもそも、自責思考と他責思考の定義は何なのでしょうか。
自責思考とは、問題や結果が生じたときに、自分の行動や判断に原因を求める考え方を指します。
一方で他責思考とは、問題や結果の原因を自分以外の要因にも目を向けて捉える考え方です。

では、これらの定義を踏まえたとき、自責思考と他責思考にはそれぞれどのような役割があるのでしょうか。

自責思考の役割は「行動を決めるための思考」です。
状況を踏まえたうえで、「その中で自分は何ができたのか」「次にどんな行動を取るべきか」を考え、具体的なアクションにつなげていくための視点だと言えるでしょう。

他責思考は、「状況を多面的に理解するための思考」です。
問題が起きたとき、その原因を自分の内側だけに閉じず、環境や前提条件、関係者との関係性など、自分以外の要因にも目を向けることで、出来事を正確に捉えることができます。

ここで重要なのは、他責思考そのものが問題ではないという点です。
問題となるのは、過度の他責思考によって自分事として向き合うことを放棄してしまう状態にあり、他責思考そのものは、自分事として引き受ける範囲を正しく見極めるためにある思考だと考えます。

したがって、他責思考は決して「悪」なのではなく、自責思考と対立するものでもありません。
行動を決めるための自責思考と、状況を理解するための他責思考の2つが組み合わさって初めて、状況を多面的に理解しつつ、それを自分事として引き受け、行動につなげることが可能になります。

その意味で、自責思考と他責思考は二極対立ではなく、相互補完の関係であると言えるのではないでしょうか。

まとめ

自責思考は、主体的に行動し成長していくうえで欠かせない大切な姿勢です。一方で、それだけに偏ってしまうと、状況を正しく捉える視点や、周囲と一緒に問題を解決する選択肢を見落としてしまうこともあります。
だからこそ、出来事を多面的に理解するための他責思考と、自分が引き受けるべき行動を決める自責思考の両方を行き来しながら使うことが重要であると考えます。

本記事が、自責思考と他責思考の使い分けについて考えるきっかけとなり、日々の仕事の振り返りにご活用いただけますと幸いです。