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リーダーシップとは影響力である

リーダーシップとは影響力である

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著者

渡部 亮太

著者

渡部 亮太

株式会社NEWONEに新卒入社。研修をメインとして、人材育成・組織開発のHRパートナーとして従事。新入社員の育成体系構築から、管理職主導の組織開発まで支援。社内ではスキルの可視化等、若手が自律的に成長する仕組みづくりを行っている。

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「リーダー=役職者」という誤解

「リーダーシップ」と聞いたとき、多くの人が「管理職」や「チームリーダー」など、特定の役職を思い浮かべるかもしれません。しかし、現代の組織においてリーダーシップは、役職や肩書きとは無関係に、あらゆる人が発揮できる、いや、発揮すべき力だと言われています。

先日、社内で実施したリーダーシップワークショップでは、「ビジョンを描く」「価値観を言語化する」「宣言し、称賛し合う」というプロセスを通じて、個々人が自分の内側にある“リーダーシップの種”に気づいていく姿が見られました。

この体験を通じて改めて実感したのは、「リーダーシップとは影響力である」という本質です。

個性が影響力を生む

人が誰かに影響を与える瞬間。それは、強い指示や権限ではなく、その人の想いや姿勢、生き方や価値観に触れたときに生まれるものです。つまり、影響力とはその人の“個性”からにじみ出るものなのです。

ワークショップでは、自身のビジョンを描き、それを他者に向けて宣言するプロセスに、多くの参加者が戸惑いながらも「勇気が湧いた」「背中を押された」と話していました。個性をさらけ出すことで、仲間に勇気や共感を与える――それこそが影響力であり、リーダーシップの発揮そのものでした。

ハーバード・ビジネス・レビューによれば、「リーダーシップは他者の行動や態度にポジティブな変化をもたらす影響力の行使である」と定義されています。この定義が示すように、肩書きの有無にかかわらず、個性を活かして他者に影響を与える行動がリーダーシップなのです。

なぜ「影響力の発揮」は難しいのか

しかし、実際には「自分にはそんな力はない」と感じている社員も多くいます。その背景には、自分の個性が組織にどのように貢献できるかが見えていないという現実があります。

たとえば、自分の価値観が組織の目指す方向と噛み合っていないと感じている人は、行動に踏み出すことにためらいを覚えるでしょう。また、組織の中で「これを言ってもいいのか」「目立って浮かないか」といった心理的ハードルも少なくありません。

つまり、リーダーシップを“発揮しきれない”のは、能力や意志の問題というよりも、自分の個性と組織とのつながりが見えていない、もしくはつなげる機会がないという構造的な問題なのです。

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組織理解から始まるリーダーシップの土台づくり

では、どうすればリーダーシップを誰もが発揮できるようになるのでしょうか。その第一歩は、「自分が所属する組織を理解すること」です。

自分がどんな価値観を持ち、どんな未来を描いているのかを知ることも大切ですが、それと同時に「自分の組織が大切にしているものは何か」「どんな文化があるのか」「どんな影響を与えると受け入れられやすいのか」を理解することが必要です。

組織の土壌に自分の“リーダーシップの芽”を根づかせるには、まずはその土壌の性質を知ることが欠かせません。その理解があるからこそ、自分の影響力がどこに届くのか、どんなアプローチが効果的かが見えてくるのです。

人事ができる「リーダーシップ開発」の場づくり

人事としては、「全社員がリーダーシップを発揮できる組織づくり」をどう支援するかが問われています。たとえば、

  • 組織の価値観や文化を明文化し、社員に伝える機会をつくる
  • ビジョンや価値観を語るワークショップなど、「自分らしさ」と組織を接続する場を提供する
  • 宣言や称賛といった“見える化された影響力”をポジティブに評価する風土を育てる

といった工夫が考えられます。

リーダーシップとは「持っている人を選抜するもの」ではなく、「育まれ、発揮されるもの」と捉えることで、人事の役割も「選ぶ」から「支える」へと変わっていくのです。

影響力を“解放”できる組織へ

これからの時代、変化に強い組織とは、「影響力を持った人」が多い組織ではなく、「影響力を解き放てる人」が多い組織だと考えます。

誰かが何かを変えるきっかけになる。そんな小さな影響力の連鎖が、組織全体を動かしていきます。

私たち人事こそが、その“きっかけ”をつくる存在であると信じて。今、リーダーシップの定義をもう一度問い直し、誰もがその力を発揮できる組織づくりを進めていきましょう。