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企業理念(パーパス、MVV)を浸透させるための3つのポイント

企業理念(パーパス、MVV)を浸透させるための3つのポイント

<a href=鏑木 亜紗実" width="104" height="104">

前職はベトナムにて海外人財の教育事業に従事。2019年に株式会社NEWONEに入社後は、人材育成・組織開発のHRパートナーとして、メインは研修企画に従事し、ファシリテーターとしても登壇する。新入社員の育成体系構築から、管理職主導の組織開発まで支援。

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人事の方から、「会社が理念を新しく作って、浸透していくことが大事だと思うが、この後どのように進めていけばいいのか知りたい」というご相談をいただくことが、体感値として増えました。

社会が目まぐるしく変化するなかで、そして会社の社会的責任が問われる中で、いかにワンチームでより成果をあげていくかという文脈で、理念を新たにされるという背景だと捉えています。

そこで、理念を浸透させるために、特に我々によくご相談いただく「理念浸透ワークショップ(理念についてより理解を深めるための場づくり)」のポイントについて考えてみたいと思います。

まず、「理念が浸透している」というのは、どのような状態がゴールとしてイメージされるでしょうか?
理念が暗唱できる状態でしょうか?
「理念を体現する行動」が推奨され、その通りに行動をとっている状態でしょうか?

正直、上記ではあまり意味がないと考えます。

新入社員研修でも「主体性」や、キャリア形成の文脈でも「自律」が重視される潮流において、目的を認識せず無思考に行動することは、一部では社員に主体的になってほしいと言いながら、理念では主体的にならないでほしいと言っているようなものです。

あまり意味がない、むしろ主体性の芽を摘むことになると思います。

では「浸透する」とはどういう状態かというと、社員一人一人が、現場で考えながら(=主体的に)行動する意味を見出し、周囲と試行錯誤しながら行動している状態だと考えます。この状態は、自身が主体的に行動する意味を感じているということから、エンゲージメントが高い状態ともいえます。

上記の状態にアプローチすることが、「理念浸透ワークショップ」の意味であり、そして押さえるべきポイントになります。

今回私が示したい押さえるべきポイントは3点あります。

1つ目が「現場で解釈し続けるという意識の醸成」、
2つ目が「企業のwhyと共に個人のwhyを大事にすること」、
3つ目が「変化を妨げている壁に向き合うこと」です。

1. 現場で解釈し続けるという意識の醸成

理念が掲げられると、ともすると、「上が指示したこの行動は必ずしなければならない」という考えになり、次第に「(無思考に)この行動さえやっておけばOK」という思考に陥ることが多くあります。

しかし社会の変化から、現場の状況も変化しているはずで、「(無思考に)この行動さえやっておけばOK」という状態では、元々効果のあった行動も次第に効果を発揮できなくなってしまいます。そこで、ワークショップの場づくりにおいては、「理念は、現場で解釈し続け、行動もブラッシュアップしていくもの」というマインドセットが大事になってきます。

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2. 企業のwhyと共に個人のwhyを大事にすること

こういったワークショップを設計する際に、ともすると、企業が理念を掲げる意味(why)から理念の具体化というアプローチで議論が終わってしまうことがあるのですが、企業が理念を掲げる意味(why)とともに、それ以上に、社員にとっては個人が主体的に行動する意味(why)を見つけることが重要だと考えます。

社員にとってはこれまではとっていなかった行動や一見手間に見える行動をとることが良さそうだという解釈になることが多い(行動が変わる、パフォーマンスが変わるから組織が変わるので、当然なのですが)のですが、そんな時「自分が行動することが、自分が大事にしている○○とつながっているから、自分にとって取り組む価値があることだ」と意味付けできる状態になっていることが大事だと考えます。

3. 変化を妨げている壁に向き合うこと

チーム内で、会社内で、「良い目的、企画なのに、取り組みが継続しない、反対勢力にあって振り出しに戻ってしまう」ということは、どの組織も少なからずあると考えます。

今回の理念浸透も新たなアクションが生まれてくるきっかけになりますが、同じように変化を妨げる壁にぶち当たる可能性があります。そこで、「こんなアクションをとりたいけど、取ろうとした時に、どんな壁がありそうかな。それをどう乗り越えよう」と同じ階層や、チーム内で話し合っておくことが重要だと考えます。

理念浸透にとりくむことは、社員の方のエンゲージメント向上施策の一環にもなります。せっかく想いをもって作成した理念でも、何もしなければ、日々の活動の中に埋もれてしまいます。本稿が皆様の活動の参考になれば、幸いです!