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近年、キャリア支援の重要性はますます高まっています。働き方の多様化や終身雇用制度の揺らぎにより、個々のキャリア意識が向上し、企業としても従業員のキャリア開発を支援することがエンゲージメント向上のための重要な施策となっています。そのため、多くの企業が研修や制度を整え、従業員のキャリア形成をサポートしようとしています。
しかし、実際にキャリア支援を担うべき現場の管理職が、メンバーのキャリア支援を適切に行えていないケースが多く見受けられます。企業がいくら制度を整えても、日々の業務の中で上司が部下と対話しながらキャリアを支援できなければ、実効性のある施策にはなりません。では、なぜ管理職はキャリア支援を行えないのでしょうか? その主な要因として、以下の3つが挙げられます。
1. そもそも自分がキャリア支援を受けたことがない
現在の管理職世代は、「キャリア支援」という概念が一般的ではなかった時代に育ち、昇進や異動は会社主導で決まるものとされてきました。そのため、自身のキャリアを主体的に考える機会が少なく、上司からキャリアについて相談された経験もほとんどありません。そのような環境で育った管理職は、部下に対してキャリア支援を行うという発想自体が生まれにくく、どう支援すればよいのか分からないという状態に陥ってしまいます。
2. キャリア=転職と捉えている
キャリアについての認識が「社内での成長」ではなく「転職」と結びついている管理職も多くいます。このような考え方を持つ管理職は、「キャリアの話をすると部下が辞めてしまうのではないか」と恐れ、キャリアの対話を避ける傾向があります。
しかし、本来キャリア支援とは「転職を促すこと」ではなく、「部下の心理的成功を促すこと」です。心理的成功とは、個人が自己の価値観に基づき充実感や達成感を得ながらキャリアを歩むことを指します。単なる昇進や給与の向上だけでなく、自らの成長を実感し、働くことに意義を見出すことが重要です。キャリア支援を通じて従業員が成長し、結果的に企業にも貢献できるという視点を持つことが重要ですが、その認識が不足しているために、管理職がキャリア支援に消極的になってしまうのです。
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3. 部下と十分な対話をするスキルが無い
キャリア支援には、部下の価値観や将来の希望を理解し、それに寄り添う対話が欠かせません。しかし、多くの管理職は日々の業務の中で「指示を出す」「成果を管理する」といった役割に重点を置いており、部下とじっくり対話をする機会が不足しています。
また、そもそも部下の話を引き出すための質問力や傾聴スキルが十分に備わっていないケースも少なくありません。その結果、キャリアについて話そうとしても「何を聞けばいいのか分からない」「話を深めることができない」といった課題に直面し、形だけの面談になってしまうことが多いのです。
管理職がキャリア支援を行うために必要なこと
では、管理職が部下のキャリア支援を適切に行うためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか?
まず、管理職自身がキャリア支援の意義を理解し、自らのキャリアを見つめ直すことが重要です。企業としても、管理職向けにキャリア支援の研修を実施し、自分自身のキャリアを考える機会を提供することが有効です。
次に、「キャリア=転職」という認識を改め、キャリア支援が企業の成長にもつながるという意識を持つことが求められます。社内での異動やスキルアップの機会を積極的に活用し、部下の成長を支援することが、最終的に企業全体の競争力を高めることにつながります。
そして、最も重要なのは、部下と十分に対話をするスキルを身につけることです。単なる業務報告ではなく、部下が将来どうなりたいのか、どのようなスキルを伸ばしたいのかを引き出す対話を意識し、1on1ミーティングなどを効果的に活用することが重要です。
まとめ
キャリア支援は、現代の企業にとって不可欠な取り組みであり、その中心的な役割を担うのが管理職です。しかし、多くの管理職がキャリア支援を十分に行えていない背景には、「自身が支援を受けた経験がない」「キャリア=転職と捉えている」「対話スキルが不足している」という3つの要因があります。管理職がこれらの課題を克服し、部下のキャリア支援を実践することで、企業のエンゲージメント向上や組織の成長につながるでしょう。