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人生100年時代のキャリア論

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VSOP論とは

突然ですが、キャリアのVSOP論というものをご存じでしょうか。
各世代に求められるスキルそれぞれの頭文字をとって、世代ごとの働き方を表したものです。

20代:バイタリティ(V)
体力を使って一生懸命仕事に打ち込み、色々な経験を積む。エネルギーを活用して何事にも全力で取り組む。

30代:スペシャリティ(S)
20代で得た経験の中から自分の「コア」を見つけ、専門分野を深める。軸となるものを見つけ、磨いていく。

40代:オリジナリティ(O)
専門性だけではなく、「自分らしさ」を発揮する。自分がいるからこそ生み出せる価値で勝負する。

50代:パーソナリティ(P)
スペシャリティ、オリジナリティを踏まえ、「あの人と仕事がしたい」と思ってもらえるような人格や個性人間的な魅力で周囲を惹きつける。

なお、20代は多様な経験を積むことが大事だから、バラエティー(V)が大事だという説もあるようです。

人生100年時代におけるVSOP論

原著は昭和53年(1978年)に出版された脇田保著『自立人間のすすめ』です。
本が出版されてから約半世紀が経つことからも分かるように、このVSOP論は定年退職が当たり前だった時代に作られているため、50代までのキャリアを前提とした考え方です。2018年に出版され話題となった
北野唯我著『このまま今の会社にいていいのか と一度でも思ったら読む 転職の思考法』では、
-中略- 「20代は専門性、30代は経験、40代は人脈が重要」と書いてあります。

「20代で専門性、30代で経験」と聞くと逆のように感じるかもしれませんが、専門性を持つ人にこそ貴重な経験が巡ってくるため、先に専門性を確立し、30代以降に経験を積むことが大事だという趣旨の主張がなされていました。

さらに詳しく言うと、専門性は誰でも学べば身につけられるものであり、年を重ねるにつれて差別化が難しくなります。また、専門性でトップに立つにはセンスが必要です。したがって、いわゆる普通の人は汎用化されにくい「経験」を重視すべきだとされています。これを読んで、私は以下の3つのことを考えました。

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キャリアの勝負が決まるタイミングが早まっている

かつては1つの会社でゆっくりと育成を受け、その会社内での活躍を目指すのが一般的でした。そのため、20代はがむしゃらに取り組み、30代から徐々に自分の軸を決めていくスタイルが主流でした。しかし、現在では複数の会社を渡り歩き、自身のマーケットバリューを高めていくキャリア形成が一般的になっています。

「その会社で」通用するのではなく、「市場で」評価されるビジネスパーソンになることが求められる現代では、競争も激しいため、市場での希少性を高めることが重要です。したがって、20代のうちから専門性を身につけ、独自の強みを持ち、その専門性を活かして貴重な経験を積むことが必要です。良い経験は、さらに良い経験を引き寄せます。そして早い時期から希少性のある経験を積み、自分独自の強みを獲得すると、その後のキャリア形成にも大きな良い影響を与えるのです。つまり、キャリアの勝負は以前よりも早い段階で決まる傾向があるといえるでしょう。

60歳以降もキャリア形成の意識が必要になる

その一方で、人生100年時代。
キャリアは定年で終わりではなく、60代、70代でも引き続き築き上げていくものという時代に徐々に入りつつあります。
先日、あるクライアントの役員の方が定年退職され、新たに幼稚園教諭として働き始めたという知らせを聞きました。大きな財閥系のグループ企業で役員まで上りつめた方が、まったくの新しい分野で若い方と混じって新たなスタートを切ったということがかなり衝撃的でした。聞けばお孫さんができたことをきっかけに教育に興味を持たれ、退職される前に幼児教育について学び資格取得をされていたそうです。

20代で専門性を高め、30代で良質な経験を積み上げ、40代は自分にしかできない仕事を行いどんどん自身のマーケットバリューを高めるとともに、人格を形成する。50代では自分の使命を問い直し、これまでの常識を一度捨て学び直しを行い、60代は心から自分がやりたいと思うこと、美しいと思うことに時間を使う・・といったキャリア形成が、今後は当たり前になっていくのかもしれません。

「勝負は早くなっているのに、長くもなっている…」そんな感覚を持ちました。

良いキャリア形成の定義が変わる

VSOP論が発表された当時は、会社で活躍できる人になること、成功することがキャリア形成の目的だったでしょう。しかし現在では、どんな会社でも通用する人間になること、つまり市場価値の高い人材になることが重要視されています。

では、これから先の将来において、そもそも「良いキャリア形成」の定義はどうなっていくのでしょうか。

働く時間が長くなっていくにつれ、仕事とライフがもっと近づいて、「楽しく働くこと」や「自分らしく働くこと」のプライオリティがさらに高まるのではないかと思います。
もちろん、様々な組織から求められる力を持っていることは必要不可欠なのですが、先ほどの役員の方の例のように、外部に評価される軸を持っているか、ということよりも、自分の「感性」や「使命」、「存在目的」に則った仕事ができているかという軸の方が大事になってくるように思います。
そうなったとき、自分の心の声を反映したキャリア形成が、今まで以上に大事になってくるのではないでしょうか。

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