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目次
人は「経験によって学習する生き物」だと言われます。育成の世界では、研修1割・薫陶2割・経験7割とも言われ、職場での経験が成長のカギを握ります。しかし、そもそも“経験”とは何を指し、どのようにすれば成長につながるのでしょうか。
一般的にはコルブの「経験 → 内省 → 持論化 → 実践」という経験学習サイクルが知られています。
では、とにかく多くの経験を積めば成長できるのかというと、必ずしもそうではありません。
ここで参考になるのが、ドナルド・ショーンが示した「経験とは、予測しなかった結果に出会うことができる機会」という定義です。この視点を採用すると、経験学習サイクルの本質が変わって見えてきます。
経験学習の本質は “予想外の出来事” にある
経験学習とは、「経験したことを内省して持論化する」だけではありません。
むしろ、「自分にとって思いがけない出来事に遭遇し、そこから新しい意味づけ(持論)が生まれること」こそが、学習の本質だと言えます。
つまり、内省や持論化といったプロセスは大事ですが、その前提には “質の高い経験(予測不能な状況)に出会うこと” が欠かせません。
① 上司による「経験の付与」が成長を左右する
経験学習サイクルを高い質で回すには、上司がどんな経験を部下に付与できるかが極めて重要です。
現在、多くの職場では、過保護な育成や、失敗が起きないように仕事を“整えすぎる”傾向があります。もちろん失敗を避けることは悪くありませんが、これでは予測不能な出来事に出会う機会が奪われてしまい、学習が起きません。
部下が適切なリスクのある仕事に挑戦し、適度な困難や想定外の事態にぶつかることこそ、経験学習の質を高める最も強力な要因です。
上司の役割とは、安全に配慮しながら、意図的に“未知の経験”を提供すること。
これが、部下の成長速度を大きく左右します。
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② 本人要因──経験を取りに行き、「なんとかする力」を伸ばす
個人にとっての成長とは、私は「なんとかする力が高まること」だと考えています。これはマネジメントスキルとも言えるかもしれませんし、正解のない状況で判断する力とも位置づけられます。
予測不能な出来事に直面したとき、
・不足した情報の中で考える力
・抽象的でざっくりした状況でも前に進める力
・曖昧さの中でもリーダーシップを発揮する力
といった“なんとかする力”が育ちます。
そのためには、本人自身が 質の高い経験(未知の状況への挑戦)を自ら取りにいく姿勢 を持つことが不可欠です。これはキャリア自律とも深く関わる要素であり、今後ますます求められるスキルと言えるでしょう。
成長のカギは「予測不能な経験 × 内省」
経験学習サイクルは、単なる「経験 → 振り返り」の繰り返しではありません。
成長は、予測不能な経験に出会い、それを意味づける内省によって生まれる。
そのためには、
• 上司が“適度に未知な経験”を付与すること
• 本人が“未知に飛び込む姿勢”を持つこと
この両輪が必要です。上司・本人それぞれの要因から、質の良い経験学習サイクルが回せる状況になっているかを、ぜひ見直してみて下さい。
桶谷 萌々子" width="104" height="104">