NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。
多くの企業が人材育成に力を入れる中で、こんな声を耳にすることが増えました。
「研修は良かった。でも、現場ではなかなか実践できない」
「学んだことを職場で活かせと言っても、実際の業務とはちょっと違っていて…」
「現場の雰囲気が研修と違いすぎて、新人が混乱している」
このような声は、決して珍しいものではありません。そこには、“研修で求めること”と“現場で実際に求められていること”のズレが潜んでいます。
だからこそ、私たち人事が大切にすべきなのは、「育成の一貫性」です。研修で身につけてほしいと願うことが、現場でも同じ温度感・同じ期待値で求められている状態。これが整ってはじめて、育成は単なる“イベント”ではなく、“実務と結びついた変化”として意味を持ちます。
一貫性がないと学びが「現実離れ」になる
分かりやすい例が、新人研修における「ビジネスマナー」です。電話応対、敬語、名刺交換、席次等は、基本的なスキルとして当然のように扱われ、多くの研修で丁寧に指導されています。
実際、現場のマネジャーや上司からは、「まずはマナーをしっかり叩き込んでほしい」というリクエストが多く聞かれます。新人にとっても「社会人になるからには、ちゃんとしなきゃ」という意識を持つ機会となる、重要なテーマです。
しかし、いざ現場に配属されると、こんな事象が起きます。
- 先輩社員は丁寧だが、形式にはそこまで厳しくない
- 上司はマナーよりも「早く仕事を覚えてくれた方がありがたい」と言う
- 職場の雰囲気がフラットで、「ですます口調」が浮いてしまう
すると、新人は混乱します。「あれ、研修で学んだことと違う…」と。結果として、せっかく真剣に学んだビジネスマナーが、「現場では使えない知識」として片付けられてしまうのです。
これは、マナーの内容が悪いわけではありません。問題は、現場と研修で“何を求めているか”が一致していないことにあります。もし、企業として「マナーを徹底する文化」を築きたいのであれば、それは研修だけで完結するのではなく、現場にも同じメッセージを共有し、日常の中で「大事にされている空気」を作らなければ、伝わりません。
現場の忙しさの中で、そこまで揃えるのは非現実的では?
ここでよくある反論が、「そんなに理想通りにはいかない」「現場は目の前の業務で手いっぱいで、研修と歩調を合わせる余裕がない」という意見です。確かにその通りです。現場の優先順位は日々の成果。育成や文化づくりは、どうしても後回しにされがちです。
特にOJT担当者やリーダー層もプレイングマネジャーであることが多く、育成やフォローにまで手が回らないという現実もあります。「理想論は分かるけど、うちの現場には無理だよ」という空気があっても、不思議ではありません。
NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。
人事が担うべきは「つながりの設計」
だからこそ、人事部門が“つなぎ役”として機能することが重要なのです。研修を単発のイベントに終わらせず、現場と連動する仕組みを設計する。たとえば以下のような取り組みが考えられます。
・研修前に現場マネジャーとゴール・観点をすり合わせる
→どんな行動を期待していて、何を研修で持ち帰ってほしいかを共有してもらう
・研修後に現場での実践を支えるフレームを提供する
→例:チェックリスト、1on1トークテーマ、振り返りシート
・OJT担当者向けに簡単な育成ガイドや“声かけ例”を配布する
→研修で何を学んだかを理解し、それを現場でどう拾うかのヒントに
・定期的に人事が現場にヒアリングし、育成の風土をアップデートする
→現場の“実感値”を把握し、次の研修設計に反映させる
このように、「現場と研修が切れてしまわないようにする設計」を担うのが、人事の重要な役割です。
育成は、誰か一人の努力で実現するものではありません。現場と人事が連携し、「一貫性のある育成体験」を社員に届けることで、初めて“成果の出る学び”が生まれます。
育成は“点”ではなく、“線”と“文化”である
人が育つのは、研修の中ではありません。その学びを現場で繰り返し実践し、失敗と成功を重ねていくプロセスの中でこそ、真に「力」となっていきます。
だからこそ、私たち人事は、「育成を設計する役割」から一歩踏み出し、「育成を“つなげる”役割」に挑戦する必要があります。研修と現場がつながり、職場全体に同じ育成のメッセージが流れたとき、社員の成長は組織全体の進化へとつながっていくのではないでしょうか。