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昨今、ますます人的資本の重要性が注目されています。
人的資本を高めるためには、優秀な人材を採用する、または育成する、その計画(ポートフォリオ)を明確にする、といったように「人材」へのアプローチが注目されがちですが、人的資本を最大化するためには、人材がパフォーマンスを最大限発揮できる組織をつくる、組織開発が重要です。
今回は改めて組織開発が重要な理由を3点ご紹介します。
1. 変わり続ける市場と変わりたくない組織にギャップが生まれるから
市場環境の変化は年々スピードを増しています。技術革新、顧客ニーズの多様化、社会的価値観の変容など、外部環境は絶えず変化し、その変化に対してほとんどの事業が適応を求められています。
またマクロの視点でも、「株式会社」の起源は約200年前の大航海時代だといわれていますが、その頃から常に市場(消費者のニーズ)は変化し続けています。
一方で、組織の内側を見ると、人には現状維持バイアスがあり、安定を求める心理や過去の成功体験への依存から、「変わりたくない」という意識が根強く残りやすい傾向があります。
特に、この市場と組織は、扱っている時間軸のギャップがあるように思います。
経営リーダーは未来を見据えて市場の変化に対して事業を変化させ、その変化に適応し、推進できる組織に変化したいわけですが、今現在の組織という視点で見ると、変化は負担が大きく、当面はこのままでも問題ない、ということが往々にしてあるわけです。
だからこそ、このギャップを埋めるために、意図的な組織開発が必要です。
人も組織も、「変わりたくない」という本能とともに、「変わりたい」という本能も備わっているという矛盾があります。
事業が向かいたい先に最適な組織をつくるに、「変わりたくない」という組織の本能に向き合い、「より良くなりたい」という本能を引き出すことが組織開発にはできるのです。
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2. 多様性が増し、求心力を高める必要性が増しているから
組織の中で働く人々の価値観やバックグラウンドは、多様性を増しています。これは、グローバル化やジェンダー平等の推進、世代間の価値観の違いなど、さまざまな要因が背景にあります。
このような多様性が増し、人材流動化が加速するに伴い、組織に働く力は、求心力(組織に人を引きつける力)よりも、遠心力(組織から人を遠ざける力)が優位になりやすい傾向があります。
しかし、組織の求心力が失われれば、個々の力がバラバラになり、目指す方向性を見失うことにつながります。
この求心力を高めるには、これまで以上に「共通の価値観」や「組織の存在意義」を明確にすることが必要です。
組織開発の中では、これをただ言葉として掲げるだけではなく、それを体感できる場や仕組みをつくることも含まれます。
例えば、組織のミッションやビジョンを日常業務に結びつける対話の場を設けたり、価値観に基づく意思決定のプロセスを透明化したりする取り組みです。
これにより、多様なメンバーが「この組織で働く意味」を実感できるようになり、組織の求心力が高まります。
3. 人はボラティリティの高い資本だから
昨今人的資本の重要性に注目が集まっており、組織にとって人は最も重要な資本の一つでありながら、とてもボラティリティ(変動性)が高い資本でもあります。
それは、人材はモチベーションやエンゲージメントによって大きくパフォーマンスが変わってくるということです。
エンゲージメントが高ければ積極的にクライアントのサポートをしたり、社内メンバーの手助けをするなど、組織をより良くするための行動を積極的に行いますが、エンゲージメントが低いと、なるべく手を抜き、最も最低限の貢献で報酬を得ようとします。
特に昨今はマニュアル通りの仕事を円滑に進行するのではなく、各自が考えて判断する仕事が多くなっています。
そういった状況では、ダニエル・ピンクが示した「モチベーション3.0」が求められます。
〈モチベーション1・0〉
生存(サバイバル)を目的としていた人類最初のOS
〈モチベーション2・0〉
アメとムチ=信賞必罰に基づく与えられた動機づけによるOS。ルーチンワーク中心の時代には有効だったが、21世紀を迎えて機能不全に陥る
〈モチベーション3・0〉
自分の内面から湧き出る「やる気!=ドライブ!」に基づくOS。活気ある社会や組織をつくるための新しい「やる気!」の基本形。
(引用)モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか(ダニエル・ピンク)
これまでの組織はどちらかというとモチベーション2.0をもとに、官僚主義的に組織が運営されてきました。
しかし、これまで多くの組織で慣習的に続いてきた、官僚主義について、経営学者のゲイリー・ハメルは著書ヒューマノクラシーにおいて以下のように示しています。
官僚主義では「人間=道具」であり、製品やサービスを生産するために雇用される。ヒューマノクラシーでは「組織=道具」となる。人間が自分の人生や、顧客となる人たちの人生をよりよくするために使う道具となるのだ。官僚主義で中核となる問いは「人間を組織により奉仕させるには、どうすればよいか」だが、ヒューマノクラシーでは、「どんな組織なら、人々から最高の力を引き出し、その力に値するような組織になれるのか」となる。
(引用)ヒューマノクラシー(ゲイリー・ハメル)
より高度化し、遠心力が高まる現代において、人材のポテンシャルを引き上げる組織づくりは、どのような組織においてもとても重要なテーマではないでしょうか。