NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。
AIの進化など非連続な技術革新が続き、VUCAと呼ばれる時代に突入した昨今、世界中の企業組織を取り巻く環境は激変しています。
日本も例に漏れずその波に巻き込まれています。
有名な話ですが、1989年に世界の時価総額ランキングトップ10のうち7社を占めていた日本企業は、2023年には1社もラインクインせず、トヨタの39位が最高位となっています。
いわゆる、「失われた30年」をセンセーショナルに伝える事実です。
日本企業は、上意下達の組織で工場労働者を管理し、いかに生産性を高めるかというゲームで勝っていたのです。
ところが、モノが飽和し、生産コストも海外に優位性を明け渡した今、多くの日本企業が以前までの組織では立ち行かない壁にぶつかっています。
そのため各企業はこぞって「組織変革」を標榜し、様々な取り組みを行っています。
これまでの生産性至上主義の画一的な働き方を改め、従業員一人一人の主体性を大切にしようと日々腐心している企業様をたくさん見てきました。
最近は「1on1」をはじめとして「心理的安全性の高い組織」を目指す企業様も多いと感じます。
心理的安全性が高いとはつまり、「本音でモノを言い合える組織」であるということです。
よく誤解されますが、心理的安全性の高い組織とは、仲良しこよしのサークル仲間ではありません。エイミー・エドモンドソン教授が提唱したように「恐れのない組織」なのです。
では、この「本音でモノを言い合える組織」を創るには、どうしたら良いのでしょうか?
「まじめな雑談」で信頼関係を構築する
企業小説のロングセラー「なぜ会社は変われないのか(柴田昌治著)」から借りると、その答えは「まじめな雑談」にあります。
これは、通常業務時間内で行われるオフィシャルな会議ではなく、ランチや休憩時間の雑談でもなく、業務を離れて真剣にお互いのことを知ったり、立場に関係なく意見交換しましょうという趣旨のものです。
本音でモノを言い合えない背景には、様々な理由が絡み合っています。
「上司が怖くて、自分の意見なんてとても言えない…」
「自分がこうしたらいいのでは?と言うと、じゃあお前がやれと言われて大変なので何も言わない」
「今どきの部下は不満があるとすぐ辞めるから、気を使ってコミュニケーションしている」
この根本には、信頼関係の希薄さが大きく影響しています。
お互いに信頼しておらず、誰もが自分を守ることに精一杯になっている。
そんな組織では、本音など言えるはずもありません。
本書でも、最初は上層部と従業員、自部署と他部署と、縦や横の関係性の中で信頼が無かった状態から、「まじめな雑談」と称した機会を増やすことによって、徐々に小さな火種を生み、最終的には大きな炎となって会社存続の危機を乗り越える様が描かれています。
「本音でモノを言い合える組織」になるには、「まじめな雑談」のように、意図的に信頼関係を構築するための機会を設ける必要があるということです。
※参考図書
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現代版「まじめな雑談」である1on1
本書は約20年前に書かれた本ですが、この「まじめな雑談」は非常に本質的ですし、だからこそロングセラーになって読み継がれているのでしょう。
コロナ中の自粛期間や、世の中のハラスメント意識の高まり、若手社員の意識変化等、様々な要因から、以前のように飲みに行くことで「まじめな雑談」をすることが難しくなりました。
そんな状況の中、その役割を期待できるツールが「1on1」です。
昨今多くの企業で当たり前のように取り入れられている1on1ですが、果たしてその目的をきちんと理解できている管理職(もしくは会社)がどのくらいいるでしょうか?
弊社にも「1on1を導入したもののうまく浸透していない」といったお悩みの声が寄せられ、1on1研修を行わせていただくことが良くあります。
大事なことは「1on1とは部下のための時間であり、信頼関係を構築することが1ステップ目である」ということです。
そのためには
「否定しない・すぐにアドバイスしない」
「価値観を聞く」
「自分から自己開示する」等、
シンプルで力強い手法を自らが率先して実行することが大切です。
「本音でモノを言い合える組織」になるためには、それ相応の時間と意識の積み重ねが必要です。
本書に学び、意図して「まじめな雑談」を通した信頼関係構築をしていければ、きっと少しづつ身の回りの関係性が変わってくることと思います。