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多種多様な研修を取り扱っております。
目次
2026年1月5日に、『部下の心を動かすリーダーがやっていること』を発刊いたしました。
AI化が進むほど、リーダーの役割は「正解を出す人」から「人の心を動かす人」へと回帰していく。
そう強く感じ、「共感」を軸に本書をまとめました。
先日、本書の内容をもとに出版記念セミナーを実施しましたが、参加者の皆さまからいただいた感想が非常に印象的でした。
その一つひとつが、今の職場が抱える“違和感”を、的確に捉えているように感じます。
本日は、そういった意見も踏まえながら、ここ数年よく語られてきた「心理的安全性」について、次のフェーズの論点を整理してみたいと思います。
心理的安全性は“必要条件”だが、“十分条件”ではない
ここ数年、「心理的安全性」は職場づくりの中心テーマになりました。
安心して発言できる、失敗しても責められない。
これは今後も欠かせない土台ですし、「心理的安全性が無いと良い職場にならない」という声には、私自身も強く同意します。
一方で、セミナーで多かった声は、もう一段踏み込んだものでした。
「心理的安全性だけではダメで、進化させないといけない」
「安全性が高まる一方で、エンゲージメントが上がらない」
こうした違和感です。
私は、この現象を「心理的安全性が目的化した副作用」だと捉えています。
本来は挑戦や対話を生む土台であるはずが、土台だけが整うと職場は優しすぎ、居心地は良いが手応えの薄い状態に傾きやすくなります。
人は「安心」だけでは動かない。「自分がかかわっている感」が必要だ
そこで今回、反響が大きかったのが「心理的所有感」という言葉でした。
「初めて聞いたが現場実態と合致している」
「浸透させやすい言葉だ」
「経営層にも提言したい」
こうした声が多かったのは、今の職場が心理的安全性の“次の言葉”を必要としていたからではないでしょうか。
心理的所有感とは、
「この仕事は自分のものだ」
「この職場に自分はかかわっている」
という感覚です。
この感覚が生まれると、人は自然と工夫し、主体的になります。
そして、多くの方が「主体性を生むためには共感のマネジメントが重要」と感じられたのも、この構造とつながっています。
テレワークの普及等により上司や同僚との接点は減り、特にジュニア層は組織のミッションに触れにくく、帰属意識が下がりやすくなっています。
だからこそ今、マネジャーには対話や自己開示を通じて、意図的に「所有感が育つ接点」をつくる役割が求められています。
NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。
「未完でよい」が難しいのは、完璧さの呪いがあるから
もう一つ、印象に残ったのが「未完でよい」という話への反応です。
「未完の部分がある方が、“この部分は自分が”と乗れる余白になる」。
この感覚が、推しになるきっかけになります。
一方で、企業は完璧さを求めがちです。
未完であることはダメだ、隙を見せると付け込まれる、立場をひっくり返されるかもしれない。
突き詰めると、それは「社員を信じていない構造なのかもしれない」という指摘もありました。
完璧な企業など存在しません。
完璧さを演じ、論理で防衛し続けるほど、現場は「やらされ感」に寄っていきます。
リーダーが100%を抱え込むのではなく、未完を共有し、一緒につくっていく。
そのとき初めて、メンバーの中に「自分がかかわっている感」が生まれるのだと思います。
共感は「わかること」ではなく、「動きたくなる接点をつくる技術」
アンケートでは、
「共感は大切だが、いつもできるわけではない」
「見えにくく、測りにくいため優先順位が上がらない」
といった声が多くありました。
これは、共感を姿勢や人柄の問題として捉えてしまっていることが、一因だと感じます。
共感は、精神論ではありません。
共感とは、相手を理解したかどうかではなく、相手の価値観や感情と、自分の言葉や意図が重なる接点をつくり、行動につなげていくための技術です。
セミナーのアンケートでは、「共感の貯金」「原体験にアプローチする」「Whyをストーリーで語る」といった言葉が多く挙がりました。
これは、共感を再現性ある行動として身につけたいという、現場のニーズの表れでしょう。
特に重要なのは、マネジャーが共感するだけでなく、共感してもらうという視点です。
人は、会社の目標そのものに共感するのではなく、自分の物語と重なったときに初めて、それを自分ごととして受け取ります。
だからこそ、WhatだけでなくWhyを、背景や想いとともに語る。
この力こそが、心理的所有感を育てる中核的なマネジメントスキルだと考えています。
心理的安全性の先へ。心理的所有感の職場を、現場でつくる
「心理的安全性は卒業。これからは心理的所有感」
そう言い切ってくださった方もいました。私はこの言葉を、過激な否定ではなく“進化”だと捉えています。
これまでのやり方も大切です。
ただ、そのままでもうまくいかない。加える要素がある。
その要素が、共感であり、心理的所有感です。
“推せる職場”とは、居心地が良いだけの職場ではありません。
自分がかかわる余白があり、未来を語れる物語があり、プロセスに意味があり、挑戦が続く職場です。
AI時代のマネジャーの役割は、まさにその場づくりになっていく。そう感じています。
本書やセミナーが、皆さまの職場での実践の一助になれば幸いです。
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みなさんの職場には、メンバーが「これは自分がかかわっている」と感じられる余白が、どれだけ残されているでしょうか。