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はじめに:エンゲージメント向上に奮闘する人事ご担当者様へ
この記事は、エンゲージメントを向上させて良い会社・組織づくりをしたいという人事ご担当者へ向けて書いております。
エンゲージメントサーベイを活用した取り組みを進める中で、以下の様な状況にお悩みではないでしょうか?
「エンゲージメントサーベイを分析して、人事の方で施策を試行錯誤しているけど、そろそろ頭打ちだと感じる」
「各部門にレポートを共有して、“現場で施策を考えて欲しい”とお願いしているけど、エンゲージメントに興味を持っている事業責任者や管理職しか取り組んでくれない」
「管理職に対して、エンゲージメントサーベイの読み解きや施策設計のワークショップをしているが、管理職の頑張りだけでエンゲージメントを上げることに限界を感じている」
そして、以上のどれかに当てはまる方であれば、根底ではこういう思いもおありではないでしょうか?
もっと会社ぐるみで取り組まないと、エンゲージメントは上がらないよ…
この記事では、エンゲージメントが高い会社へと変わるため、会社ぐるみでエンゲージメント向上を進めるポイントをご紹介します。
人事で頑張っている、現場管理職に任せているという段階から、会社一体となってエンゲージメント向上活動に変えて行きたいあなたのお役に立つ記事となれば嬉しいです。
なぜ、エンゲージメント向上活動が人事や現場任せになってしまうのか?
それは、「上位層を上手く巻き込めていないから」です。
ハーバードビジネスレビューによると、日本企業のリーダーシップ文化の特徴は極端な「階層主義×合意形成型」だそうで、上位層が合意し決めたことを階層が遂行するという文化が強いと言えます。
逆を言うと、「上位層の合意・決定が無ければ、ボトムアップの取り組みは進みづらい」と言えます。
しかし、こう思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「一応、エンゲージメントサーベイの導入は経営会議で決めているし、役員は合意している」
確かに、その場では波風立たずに合意しているのかもしれません。
しかし、その裏で実は以下の様なパターンの役員が潜んでいるとしたらいかがでしょうか?
①ぴんと来ていないパターン
「エンゲージメント向上が必要であることに異論は無いし反論する余地がない。しかし、エンゲージメント向上という目標・ゴールは分かるようで分からない」
②他人事パターン
「エンゲージメント向上を進めるのは賛成だけど、進めるのは人事や現場だと思うし、私がやることは特にないよね」
③面従腹背パターン
「社長が言っているし世の中的にもエンゲージメントって言われているから賛成しているけど、それよりも業績を伸ばすことの方が先決でしょ」
上記の様に思っている役員が多ければ多いほど、エンゲージメント向上活動が掛け声だけで実を伴わないものになるリスクが高く、きちんと役員層から納得する形で合意形成を重ねる必要があります。
上位層を巻き込むためには?:「診断型活用」から「指標的活用」へ転換する
ここまで、上位層、特に役員層の巻き込みから始めていく重要性に触れました。
恐らくほとんどの方はその重要性にご納得いただけるのではと思う一方で、こうした疑問もあるのではないでしょうか?
「いや、エンゲージメントサーベイって現場によって課題が違うし、ボトムアップにならざるをえないのでは?」
「経営層からは“人事の方でしっかり分析したのなら、その通りに進めてよ”と言われるのだが、これ以上どう納得感を持って合意すれば良いのだろう?」
ここで重要になるのが、エンゲージメントサーベイ活用の考え方です。
上位層を巻き込み会社ぐるみで進めるためには、「診断的活用」から「指標的活用」に変えることがポイントです。
「診断型活用」から「指標型活用」へとエンゲージメントサーベイの活用法を転換させることには、以下の様なメリットがあります。
①役員層での納得感を持った合意が得やすい
自社のパーパスやビジョン、それらに紐づく中長期戦略を踏まえながら人・組織面の目指す姿を設計することになるので、より役員層の納得感や腹落ち感を生み出しやすい
②従業員全体の納得感や動機付けにつながる
漠然と「エンゲージメントを上げて良い会社にしよう」「社員ファースト」等と発信しても従業員はぴんと来ない可能性が高い一方、「指標型活用」では会社の目指す方向とエンゲージメント向上の結びつきを明確にして発信することになるため、従業員も取り組む意味への納得感を持ちやすくなる
③社外からの信頼につながる
例えば、会社の中期経営計画達成へのストーリーにエンゲージメントサーベイでの注力指標を組み込むことで、社外の人々(取引先、採用候補者、株主等)から「この会社は戦略や方針の軸に組織風土や人材を据えており、且つそれが納得感のあるものである」と共感や関心を生みやすくなる
実際にエンゲージメントサーベイの「指標型活用」を進めている企業も出てきています。
事例①:旭化成株式会社
中期経営計画の中で、成長戦略の一つとして“「人財」のトランスフォーメーション”を挙げており、人財の終身成長と共創力を伸ばすための指標として、独自のエンゲージメント指標(KSA)を設けています。
参考:旭化成レポート2022年版
(https://www.asahi-kasei.com/jp/ir/library/asahikasei_report/pdf/22jp.pdf)
事例②:第一三共株式会社
長期目標に対する課題の一つを「多様な人材がエンゲージメントを高く持ち、いきいきと活躍できる環境の整備」と定め、そのためにエンゲージメントサーベイの中で企業風土・職場環境に関するスコアの肯定的回答率を重点指標に定め、会社として①失敗から学ぶ②学ぶ組織風土醸成のために上司を育成するというテーマでグループ全体の施策推進をしているようです。
参考:第一三共バリューレポート2022
(https://www.daiichisankyo.co.jp/files/investors/library/annual_report/index/VR2022/VR2022_JP_full.pdf)
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「指標的活用」の進め方
では、エンゲージメントを「診断的活用」から「指標的活用」に転換させるためにはどうすれば良いのでしょうか?
以下5つのステップを取り込み、役員層を巻き込み進めていくことを推奨します。
①会社の人・組織面での目指す姿を組み立てる
まず、長期ビジョンや中期経営計画などを参照しながら、会社の人・組織面でのあるべき姿を定める必要があります。これが無い場合、役員層を中心にしっかりと対話を行い定義する必要があります。
②目指す姿の達成に向けた課題を整理する
次に、現状とのギャップを把握するためにエンゲージメントサーベイの結果を分析し、人・組織面での課題を整理します。結果を分析する際、加えて現場メンバーへのインタビューを行いサーベイだけでは見えづらい一次情報を得る、エンゲージメント向上活動が進んでいる同業他社や先進企業の取り組みと比較することで課題が見えやすくなります。
③着目すべきエンゲージメントサーベイの項目を定める
定めた課題と照らし合わせて、エンゲージメントサーベイの中でどの項目に着目すべきかを定めます。着目するエンゲージメントスコアの変化を見て、後に課題の解決度合いや効果を検証することが目的です。
④着目した項目を上げるためのアクションを考えて実行する
定めた課題や着目すべきエンゲージメントスコア項目を踏まえ、どのような施策を打つべきかを決めます。最も望ましいのは、役員層から各職場のメンバーまでが、それぞれ同じ課題を解消するためのアクションを実行することです。
⑤着目したスコアの変化を確認する
最後に、実施した施策の効果を確認するためにエンゲージメントサーベイの注力スコアの変化や改善の進捗状況をモニタリングします。これにより、取り組みの効果を測定し、必要な修正や追加の改善策を検討します。
特に会社全体として人・組織面での目指す姿をあまり対話してこなかったという企業は①を丁寧に行うことが重要です。
①を中心に上記のプロセスを進めてエンゲージメントが高まる組織風土への変革を進めている弊社ご支援事例をご紹介します。
コネクシオ株式会社様の事例紹介
変化・チャレンジするために、経営層を巻き込んだ組織風土改革
~エンゲージメントを高め、双方に貢献し成長し合う組織をつくる~
https://new-one.co.jp/works/case-050/
さいごに
ここまで、会社ぐるみでエンゲージメント向上活動を行うために、役員層を巻き込みエンゲージメントサーベイの活用法を「指標的活用」に転換することをご提案していきました。
とはいえ、大掛かりな取り組みとなりますので、「そんなに簡単にできないよ…」という声があることも理解しています。
「一朝一夕にできる取り組みではないけれど、それでもエンゲージメントを高めるために挑戦してみたい」という方の後押しとなれば嬉しいです。
また、指標型活用を行っていくうえでは、同業他社や先進他社の取り組みと比較しながら自社の状況を分析していくことがより有効になります。
NEWONEでは、エンゲージメントサーベイの詳細分析とベンチマーク他社比較を行い、会社としての目指す姿と課題を定めるご支援を行っております。
以下から参考資料をダウンロードできますので、ご関心のある方はぜひご覧ください。