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心理的ブレーキを前提にしたマネジメントという考え方

心理的ブレーキを前提にしたマネジメントという考え方

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著者

徳 若菜

著者

徳 若菜

大学卒業後、大手海運会社に入社し、海陸一貫輸送における新規案件獲得から物流ネットワークの最適化支援を担当。その後、ハイエンド層向けの人材紹介会社に中途入社し、両面型エージェントとして従事。営業経験者や販売経験者の転職支援を担当したのちに、新領域立ち上げ責任者として、財務・経理職支援の立ち上げを担当。株式会社NEWONEに入社後は、人材育成・組織開発のHRパートナーとして新入社員・若手から、管理職やシニア層前で幅人い階層を支援している。

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人材育成やマネジメントに関わる中で、こんな声を耳にすることはないでしょうか。

「研修では前向きだったのに、現場に戻ると行動が続かない」
「フィードバックをすると、素直に受け取れず防御的になる社員がいる」
「本人もやらなきゃいけないのは分かっていると言っているのに、動けていない」

こうした場面に直面すると、つい「本人の意識の問題」「上司の関わり方の問題」と、誰かの努力不足に原因を求めてしまいがちです。しかし、現場支援や研修設計を重ねる中で感じるのは、それだけでは説明しきれないケースが非常に多いということです。

実際には、本人の中で無意識に働いている心理的なブレーキが、行動を止めていることがあります。
この前提を持てるかどうかで、人事施策の設計や、現場マネジメントへの支援の仕方は大きく変わってきます。

行動を止めているのは能力不足ではなく、無意識の心理的ブレーキである

私たちは、行動が止まっている状態を「意欲が低い」「主体性が足りない」と評価しがちです。しかし、育成の観点から見ると、それは必ずしも適切な捉え方とは言えません。

多くの場合、行動を止めているのは能力や意志ではなく、
「失敗したくない」「否定されたくない」「これ以上評価を下げたくない」といった、無意識に働く心理的ブレーキです。

この前提に立たずに育成を進めると、
「できていない → 指摘する → 萎縮する → さらに動けなくなる」
という悪循環が生まれやすくなります。

だからこそ、マネジメントや育成を考える際には、
「どうやってやる気を引き出すか」ではなく、
「何が行動のブレーキになっていそうか」
という問いを持つことが重要だと考えます。

アクセルを踏ませること以上に、ブレーキの存在を前提にすることが、人の行動や成長を支える土台になるのです。

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心理的ブレーキを前提にすると、育成設計と現場支援はこう変わる

心理的ブレーキを前提に捉えると、人材育成の設計や現場支援の視点が変わります。

たとえば、「分かっているのに行動しない社員」に対して、知識やスキルを追加でインプットする研修を重ねても、期待した変化が起きないことがあります。それは、アクセル(知識・意欲)を踏む以前に、ブレーキがかかったままだからです。

人事・育成担当者として重要なのは、現場に対して
「もっと厳しく」「もっと寄り添って」
といった抽象的な要請をすることではありません。

「人は心理的ブレーキがかかる存在である」という前提を共有し、
そのうえで
・どう任せるか
・どうフィードバックするか
・どう期待を伝えるか
を考えられる状態をつくることです。

この視点があるだけで、上司側は「なぜ動かないのか」と消耗しにくくなり、本人も「できない自分」を責め続けずに済むようになります。結果として、職場全体のストレスや摩耗も小さくなっていきます。

まとめ

人材育成やマネジメントにおいて、成果が出ないときほど「本人の問題」「上司の力量」と結論づけてしまいがちです。
しかし一度、「心理的ブレーキがかかっている可能性はないか」という前提に立ってみることで、見える景色は変わります。

研修設計や現場支援、マネジメント方針を考える際に、
「人は合理的に動けないことがある」「ブレーキがある前提で関わる」
という視点を組み込むことで、育成はより現実的で、持続可能なものになるのではないでしょうか。

まずは、自社の育成施策やマネジメントの前提に、この視点が含まれているかを振り返ってみて下さい。