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目指したくなる管理職とは―企業が取り組む次世代リーダー育成

目指したくなる管理職とは―企業が取り組む次世代リーダー育成

徳 若菜

著者

徳 若菜

著者

徳 若菜

大学卒業後、大手海運会社に入社し、海陸一貫輸送における新規案件獲得から物流ネットワークの最適化支援を担当。その後、ハイエンド層向けの人材紹介会社に中途入社し、両面型エージェントとして従事。営業経験者や販売経験者の転職支援を担当したのちに、新領域立ち上げ責任者として、財務・経理職支援の立ち上げを担当。株式会社NEWONEに入社後は、人材育成・組織開発のHRパートナーとして新入社員・若手から、管理職やシニア層前で幅人い階層を支援している。

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近年、企業の管理職志向の低下は顕著になっています。

中には「管理職=罰ゲーム」と揶揄するような表現も聞かれます。

特に、中間管理職は上司として部下をマネジメントしながら、同時に部下の立場でも業務に取り組む必要があり、責任や負担の大きさから「なりたくない役割」と捉えられがちです。背景にはいくつかの要因が考えられます。

業務の複雑化・量の増加

IT化や働き方の多様化により、管理職は部下の育成だけでなく、プロジェクトマネジメントや社内調整、他部署との連携まで幅広く対応する必要があります。結果として、負担感が増し、魅力よりも「大変そう」というイメージが先行してしまうことがあります。

キャリア観の変化

キャリアの幅や働き方の選択肢が増え、「役職やポジションにつくこと=キャリアの成功」とは単純にとらえられなくなりました。

転職や副業など多様なキャリアが身近になったことで、「ひとつの会社に勤め上げて役職を上げていく」

またそういった多様な価値観を持つ部下をマネジメントしていく必要もあることから、個別的なマネジメントが求められるようになり、負担感が増しているのではないでしょうか。

やれる人”を育てる前に、“やりたい人”を増やす

このように管理職が「なりたくない役割」とされる背景には、マネジメントという営みそのものが“自分事”として捉えにくくなっている現状があると考えます。
そのため、管理職意向を高めるには、「マネジメントって面白そう」という認識の転換が不可欠だと言えるのではないでしょうか。

多くの企業では、管理職登用前研修などを通じて「マネジメントに必要なスキルや知識」を教える取り組みを行っています。もちろんそれ自体は重要ですが、スキルや理論のインプットだけでは、当人の「やってみたい」「挑戦したい」という意欲にはつながりにくいのが実情です。

なぜなら、人は「できるかどうか」よりも前に、「それをやる意味」や「面白さ」を感じられるかどうかで、挑戦意欲が大きく左右されるからです。

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マネジメント意向を高める3つの仕掛けとは

したがって、今の育成施策で求められるのは、マネジメントへの興味・好奇心を喚起する仕掛けです。たとえば次のようなアプローチが考えられます。

好奇心を刺激する設計

管理職が直面する意思決定やチーム運営の葛藤をリアルに体験させ、「自分ならどう判断するか」を考えさせる。これにより、マネジメントを“遠い上位職の仕事”ではなく、“自分にも関わる挑戦の対象”として捉えられるようになります。

手ごたえのある成功体験

小さなチーム運営や後輩支援など、部分的にマネジメントを担う機会を設け、成功や感謝のフィードバックを得られるようにする。これによって、「自分にもできそうだ」「もっとやってみたい」という感情が生まれます。

キャリアとの意味づけ

マネジメントを担うことが自分のキャリアの幅や選択肢を広げるものであることを、対話や事例を通じて実感させる。「マネジメント=自分の成長にとって意味のある挑戦」と感じられるようになることが重要です。

このように、「マネジメントを学ばせる」のではなく、「マネジメントに興味を持たせる」ことが出発点になると考えます。
社員がマネジメントの魅力や意義を自分なりに理解し、「その力を発揮できるのが管理職」という納得感を持てたとき、ようやく次世代リーダーとしての意向や覚悟が育ち始めます。

まとめ

管理職志向の低下は多くの企業が直面する課題ですが、個人の意向醸成、キャリア支援、実践的な研修を組み合わせることで、管理職を前向きに捉え、次世代リーダーを育てることができます。

マネジメントに前向きになれないのは、決して意欲がないからではなく、“魅力が伝わっていないだけ”かもしれません。
だからこそ、まずはマネジメントの楽しさや意義を、社員が自分ごととして感じられるようにしてみてはいかがでしょうか。
その小さなきっかけが、次世代リーダーを育てる大きな原動力になるはずです。