
NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。
目次
近年、「若手が管理職になりたがらない」という話題をよく耳にします。
企業の人事部や現場のマネジャーからも、同じ悩みが寄せられています。
「昔はみんな管理職を目指していたのに、どうして今は違うのか」という疑問も聞かれます。
一方で、マネジメントの難易度が上がっていることは、誰もが認めるところでしょう。
業務は複雑化し、価値観は多様化し、ハラスメントやコンプライアンスの水準も格段に高まっています。
こうした負荷増大の要因だけを見ると、「管理職になりたくない」という若手の声にも頷けます。
しかし私は、もう一つ大きな視点が抜け落ちていると感じています。
それは、“質問の意味そのものが変わっている”という点です。
「管理職になりたいか?」という質問が変質した時代
終身雇用が前提だった時代、キャリアの軸は「どの会社で、どこまで昇進するか」でした。
だからこそ“管理職を目指すか”という問いには明確さがありました。
しかし今は、複数社での経験やジョブ型、副業など選択肢が広がり、一つの会社だけが人生の箱ではなくなりました。
その結果、「管理職になりたいか?」という問いが持つ意味も大きく変わっています。
ある若手がこう言いました。
「“管理職になりたい”と答えると、ずっとここで働く前提に聞こえてしまうんです」
この一言に、今の時代の空気が凝縮されています。
“管理職が嫌”なのではなく、“自社一本にキャリアを固定したくない”という感覚も含まれている。
つまり「管理職になりたくない」という声をそのまま悲観する必要はありません。
若手の価値観変化によって、その質問が“答えにくくなった”一面もあるのです。
では、今求められる問いは何か。
私はそれが 「新しいマネジメント像をどう描き直すか」 だと考えています。
管理職の役割が旧来イメージのまま語られているため、若手と噛み合わず魅力が伝わりにくい。
しかし、現代の組織ではマネジメントの重要性はむしろ高まっています。
マネジメントの本質は“矛盾に折り合いをつけること”
私が企業支援を通して痛感するのは、
マネジャーの本質が、そもそも十分に理解されていないという現状です。
現場のマネジャーは、日々こうした相反する要請の中に立っています。
・短期成果を出しながら、長期の仕込みを行う
・メンバーのキャリア意向を尊重しながら、今の役割に向き合わせる
・心理的安全性を守りながら、高い期待値も伝える
・個人最適と組織最適の間で揺れる
これらは、どれか片方ではなく、すべて同時に求められるものです。
そして、ここにこそマネジメントの“難しさ”があり、同時に“醍醐味”があります。
本来、マネジャーの役割とは、
複数の矛盾に折り合いをつけ、前に進めることそのものです。
ところが、こうした本質が十分に伝わっていないために、
「大変そう」「責任ばかり重い」「自分には向いていない」
と感じてしまう若手が多いのです。
逆に言えば、矛盾の構造と、その折り合い方が理解できれば、
マネジメントは“怖いもの”ではなく、“自分の判断で組織を動かす面白さ”へと変わります。
NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。
NEWONEが提供する、矛盾に折り合いをつける力を磨く場
こうした問題意識から、NEWONEでは
インバスケット型のマネジメントワークショップを提供しています。
現実の職場で起こりうる複数の事案を同時に提示し、
優先順位をつけ、意思決定し、矛盾の中でどう判断するかを体感するプログラムです。
マネジメントとは、曖昧さの中で意思決定し、チームを前に進める仕事です。
その本質を体験できる場は、現場のマネジャーだけでなく、
若手にとっても非常に価値のある学びになります。
★インバスケット型の体験会を開催しています
「管理職になりたくない」という声の奥にあるもの
若手が「管理職になりたくない」と語る背景には、
管理職の役割が理解されていないこと、
そして魅力として語られていないことが大きく影響しています。
つまり、
本当に足りていないのは“管理職の意味”の共有と、“役割の魅力”の発信なのです。
マネジャーは、矛盾に折り合いをつけ、組織を前に進める重要な役割です。
その難しさは価値であり、個人にとって大きな成長機会でもあります。
特に、AIが浸透し、折り合いの必要ない仕事はどんどんAIに代替される中で、
この能力はビジネスパーソンとして重要なものです。
考えるべきは、若手が管理職を選ばないことを嘆くのではなく、
管理職の役割を再定義し、その魅力を伝え、体験できる環境をつくることです。
弊社NEWONEは、これからもこの新しいマネジメント像を描き直し、
次の時代にふさわしいリーダー育成を支援していきたいと思います。
上林 周平" width="104" height="104">