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「待つ」マネジメント──部下の言葉が育つ3つの瞬間

「待つ」マネジメント──部下の言葉が育つ3つの瞬間

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著者

山口 陽輝

著者

山口 陽輝

大学卒業後、株式会社NEWONEに入社。HRパートナーとして、新人・若手から管理職層までの研修設計や新人・若手領域を中心に、ファシリテーターも行う。
社内では、新入社員育成の責任者として社内の育成体系づくり・育成風土醸成を推進する傍ら、Unitのリーダーとしてもメンバー育成を行いながらプレイヤーとして活動している。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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部下との対話の中で、上司が沈黙に耐えられず、つい話を先回りしてしまう場面は少なくありません。

しかし、部下の発言を「待つ」姿勢には、チームや人材の成長を促す大きな力があります。
今回は、その効果を3つのポイントにまとめました。

1. 思考を深める

部下に問いかけた直後の沈黙には意味があります。
多くの部下は、上司の言葉を聞いた瞬間に「何が正解か」「どう評価されるか」を探ろうとします。

そのとき上司がすぐに話し出してしまうと、部下は考える前に答えを諦めてしまいがちです。

一方で、発言を急かさずに間を置くことで、部下は自分の思考を巡らせ、自分の言葉で答えを見出すことができます。これは、単なる受け答えではなく、内省を伴った成長のきっかけとなります。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
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2. 心理的安全性を高める

部下の発言を待つ姿勢は、「焦らなくていい」「じっくり話していい」という安心感を生み出します。

この安心感は、部下が率直な意見を述べたり、間違いを恐れず発言したりするための土台になります。
心理的安全性のある職場では、報告や相談が活発になり、ミスの早期発見や創造的な提案も増えます。

沈黙を受け入れることは、信頼関係を築くうえでも非常に効果的です。

3. 主体性を育む

上司がすぐに正解を提示してしまうと、部下は受け身になり、自ら考える習慣が育ちません。

しかし、答えを与えずに待つことで、「自分で考えていい」「自分の意見を持っていい」と気づいた部下は、徐々に主体的な姿勢を身につけていきます。

これは、変化の多いビジネス環境の中で、柔軟かつ自立して動ける人材を育てるうえで不可欠な土台となります。

沈黙は決して無駄な時間ではありません。
部下が考え、言葉を探し、自らの意思で動き出すための、大切な「育成手段」です。

目の前の成果を急がず、相手の可能性を信じて待つ──それが、成熟したマネジメントの第一歩だと感じます。