OKIグループ様の事例紹介

新入社員を深く理解することで「信頼関係」をつくる 〜心の育成が、主体的に価値を出せる人材を育てる〜

OKIグループ様

※写真左から (株)OKIプロサーブ シェアードサービス本部 教育・採用サービス部 加藤 多佳子様 (株)NEWONE コンサルタント 小野寺 慎平

課題例年、OJT指導者は新入社員に「仕事を教える」という意識が強く、新入社員の強みを引き出し、主体性を引き出すということに対する意識が弱い状況があり、やや受け身な新入社員を育成する傾向にあった
効果新入社員の強みを引き出し、主体性を引き出すということに対する意識とスキルが高まり、主体的な新入社員の育成につながった

[会社プロフィール]
1881年に日本最初の通信機器メーカーとして創業され、1949年に企業再建整備法により沖電気工業株式会社を設立。創業以来、未知の領域にチャレンジするため「OKIは『進取の精神』をもって、情報社会の発展に寄与する商品を提供し、世界の人々の快適で豊かな生活の実現に貢献する。」という企業理念を現在まで受け継いでいる。特長ある技術をベースに、みなさまとの「共創」しながら、積極的に事業を展開。ブランドスローガンである「Open up your dreams」のもとステークホルダーのみなさまの夢の扉を開き、想いを実現するとともに、世界の人々に安心をお届けすることで、世界中のお客様から信頼されるグローバルパートナーを目指している。従業員数:グループ連結で17,930名(2019年3月31日現在)。

[導入サービス]
・OJT指導者研修
・OJT指導者フォローアップ研修

[実施概要]
OKIグループの新入社員のOJT指導員となる約150名に対して、「信頼関係を築く」をメインテーマに実施。育成期間を2年間としており、双方にとってより意味ある期間にするために、まずは本年11月までに「信頼関係を築ける状態」を目指し、6月と7月に全国5開催にて実施。11月にOJT指導者フォローアップ研修を実施予定。


ー 本日はどうぞよろしくお願いいたします。今回、OJT指導者研修を刷新された背景についてお聞かせください。

加藤様:実は、昨年実施した研修が、受講者にとって満足のいく内容ではなかったのではないか?という反省がありました。具体的にお伝えすると、受講者が現場に戻った時、実践できるかどうかがとても重要なポイントだと思っているのですが、それがあまり実現できなかったと思っています。そこで、今回新たにOJT指導者研修を目的から見直し、企画することにしました。

ー 指導員の育成や新入社員の育成について、感じている課題はどのようなものが挙げられますか?

加藤様:一番の課題は、新入社員とOJT指導者のコミュニケーションです。「信頼関係の構築」がなかなか難しくなっていると感じます。その理由は2つあります。1つ目は、OJT指導者が非常に多忙な中、成果を求められていることもあり、育成する時間があまり取れない現状があります。
2つ目は、3、4年くらい前から若手社員の傾向が大きく変わってきています。その変化に対しての対応にも課題があると思っています。最近の新入社員は、良い意味で非常に賢く、多様な価値観を持っています。会社に貢献したいという意欲もありますが、プライベートも充実させたいとも思っています。以前のように画一的な対応は通じないため、一人ひとりの傾向を理解した関係構築が必要となってきていると思います。

「自分がどう生きるのか」を考えることが、仕事の価値や面白さにつながる


ー そういった変化がある中で、現代の新入社員の育成には何が必要だと思われますか?

加藤様:一番必要だと思うのは、「自分で目的を捉え、主体的に行動できる人材」に育成していくことです。主体的に行動するのは階層に関係なく必要であり、新入社員にも「仕事が楽しい、充実している」と感じて欲しいと願っています。主体的に仕事をしない限り、本当の楽しさは得られないと考えるからです。仕事の目的やお客様の期待、高い価値の提供に必要なことを考え、行動することが、仕事を楽しくする秘訣であると思っています。
あくまで私の感覚ですが、仕事の目的や自分が提供できる価値を考えずに、目の前の業務をこなすだけでは、仕事をしている感覚があったとしても、喜びや充実感は得られないのではないでしょうか? 一方で、お客様にどんな価値を提供すべきなのかをしっかり考えている人たちは、大変そうではありながら、非常に楽しそうに充実感を持って仕事に臨んでいるように見えます。特に新入社員の多くは夢と希望を持って入社していると思っていますので、一人でも多くの人に、楽しく充実感を持って仕事をしてもらいたいと思っています。

ー 加藤様から見て、自分で仕事の価値を考えられる人と考えられない人の違いがあるとすれば、それはどんなところにありますか?

加藤様:あくまで私の考えですが、「死を迎えるまでに、どう生きるのか?」を真剣に考えるか、否かの違いの様な気がします。限りある人生を楽しく、充実させるためどの様に生き抜くのかを考えた時、仕事をする時間は、人生の大半を占めますので、その時間を適当に過ごしていたのではもったいない。本当の楽しさや充実感は得られないのではないかと思います。
逆に、仕事も遊びも自分の力を尽くせば、そこから得られるものは大きく違ってくると思っています。その経験が自己成長に繋がり、大きな喜びになると思っています。私は、“自分の力をどれだけ尽くしたか”ということを信条にしていますので、日々自分にも問いかけています。

ー なるほど、ありがとうございます。お客様に価値を提供するために主体的に行動できる人材を育てていくために、OJT指導者に必要なものは何だと思われますか?

加藤様:新入社員に目的を捉えて行動できるよう指導するためには指導者自身も、仕事や育成に目的意識を持つことがとても大事だと思っています。しかし、それ以上に、指導する新入社員を深く理解し、受け入れることが大切です。深く理解するということは、彼らの表面的な言動の裏にある背景や理由までを理解するということです。すべての言動には、その人自身にとって何らかの意味があります。特にネガティブな言動においては、そこに至った背景を深く理解するために、話を聞いてあげて欲しいと思っています。その積み重ねが指導者への信頼につながるはずです。
新入社員もよくわかっていて、表面的なところで自分は判断されているのか?または、深いところまで理解しながら、自分の成長を願い指導してくれているかを敏感に感じ取っています。自分が理解される、受け入れられるということは、新入社員に限らず、どんな人であっても喜びだと思っていますので、私自身もそういったことを指導者に伝えています。
また、人の成長を喜べる人であってほしい。それは、指導者に留まらず、今後、マネジャーなど人を束ねる立場になった時にも必要な要素になります。相手の成長が自分の成長を導く経験を早い時期から持って欲しいと思っています。

新入社員にとって1年目の経験が、その後の社会人人生を変える


ー 特にここ数年、育成において相互理解を深めるということがフォーカスされるようになったと感じるのですが、加藤様はどのように捉えていますか?

加藤様:あくまで私の仮説ですが、若手の方を見ていると、最近あらゆるものがバーチャルになってきており、生身の人間同士でのトラブルや悩みを解消してきた経験が少ないのかもしれないと感じます。相互理解を深めるためには、人と人との感情のぶつかり合いや、喧嘩のような経験も大事だと思っています。当然、生身の人間同士であれば、自分の思い通りになりませんし、お互いの考えや価値観が違うということが、一昔前は本音のぶつかり合いを通して理解してきた部分があったと思います。その中で、信頼関係を築いていく経験ができたと思うのですが、今の若い方々はこういう経験をあまりできなかったのではないかと感じています。自分の感情が動くことで、自己理解が深まりますし、自分を理解した深さの分だけ、他者を理解することができると思っています。
だからこそ、自らの心の葛藤を経験する必要があるのではないかと思っています。そういう意味で、今の時代、仕事上でも相手を深く理解するということが重視され、心の部分を育成していく必要性が高まっているのかもしれません。そして、心の育成をすることが、主体的に価値を生み出す人材を育てるということになるのかと思っています。

ー ありがとうございます。若手の傾向が変わってきている中、葛藤する心の育成もしていかなければならないとすると、こういった経験は、社会人1年目で必須の経験と思いますか?それとも、例えば5年目くらいまでに経験しておけばよいものだと思われますか?

加藤様:私は、なるべく早い段階で感情のぶつかり合いや葛藤するという経験をした方が良いと思っています。なぜなら、社会人1年目は、まだ柔軟性もありますし感性も豊かな時期ですので、自分の価値観や考え方の軸となるような経験をすることで、その後の社会人人生は変わってくると思っています。逆に、3年目や5年目になった時に、いきなり感情を出せと言われても難しいと思うので、鉄は熱いうちに打てと言いますが、頭も心もやわらかいうちに大切なことを学んで吸収してもらいたいなと思います。

ー 今回、信頼関係を築くというテーマでOJT指導者研修を実施させていただきましたが、実施してみた率直なご感想について教えてください。

加藤様:研修ゴールが「信頼関係を築く」というシンプルで、なおかつ受講者にとっても非常に納得感があったことが良かったと思っています。そして、信頼感を得るために、どんなことをすれば良いのか、その手法もご紹介いただいたので、受講者の満足度も高かったです。毎回、安心感や満足感を得て、笑顔で帰る指導者の姿を見られて非常にうれしかったです。
また、一方的に指導の方法を伝えるのではなく、OKIグループのOJT指導者たちの現状を理解した上で、大きな目的や役割を理解してもらい、その上で、どんなスキルや武器が必要かをお伝えいただけるプログラムになっていたことも、非常に良かったと思っています。
受講者の中には、指導者になることに不安を感じている人も多かったと思いますが、「人に教えることが最大のスキルアップにつながる」と講師の方からも伝えていただき、人を指導するということが一番自分の学びにつながるということを理解してもらえたのではないかと思います。指導者だからこそ得られる人の成長に携わる喜び、指導経験による自己成長の喜びを、ぜひ、これから現場で体感して欲しいと思っています。

「考え抜く力」と「健全な心」が、成果を出す人材を育てる


ー 今回、我々NEWONEにお任せいただいた理由について教えてください。

加藤様:それは、小野寺さんです(笑)。私に寄り添いながら、OKIグループの指導者にとって必要なことを熱心に考えてくれたことが一番の決め手だったと思います。特に、今回の指導者研修のゴールを考える際、提案いただいたポイントが、まさに、こちらが意図したものとドンピシャだったという点です。その提案に至るまでには、私からあらゆる情報を引き出し、OKIグループの指導者にとっての最適なゴールを考え抜かないと、今回のご提案内容には至らなかったのではないでしょうか。
他には、NEWONEさんが非常に多種多彩な打ち手を持っており、講師の方も魅力的だと思ったことです。お客様と共に良いものを創り上げたいという情熱と、多彩な打ち手があるということは、貴社の強みだと思います。

ー ありがとうございます。今後どのような組織をつくっていきたいですか?

加藤様:成果を出していく人材を、どんどん輩出できる組織をつくりたいと思っています。成果を出すために必要な要素を考えた結果、2つポイントがあることが見えてきました。
1つは「考え抜く力」、2つ目は「健全な心」です。
この2つが揃うと、成果を出していける人材になるのではないかと思っています。「考え抜く力」とはあるべきゴールをしっかりと捉える、ゴールに近づくための最適な方法を考え続ける力です。「健全な心」は、成果を出すためには様々なチャレンジが必要となります。チャレンジには、失敗や困難がつきものですが、その恐怖に打ち勝たなければなりません。自分のミスや弱さを受け入れる心の強さと、次への改善点を考え、未来へと進む心の健全さが必要だと思います。
変化の激しい今、企業が生き残るためには、お客様に高い価値をどれだけ提供できるかに尽きると思っています。

ー 本日は、貴重なお話をお伺いさせていただきありがとうございました。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。

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NEWONE担当からの一言

  • 小野寺 慎平(Onodera Shimpei)

    小野寺 慎平(Onodera Shimpei)

    コメント

    新入社員育成に対して強い想いをもって、取り組まれている加藤様とより効果的な新入社員育成とは何か?を探究しながら企画をさせて頂きました。20代の主体性を引き出すには、「仕事って面白い」というはじめの手ごたえが重要だと考えており、本事例のような育成がより多くの企業様に広まることが重要だと自信をもってお伝えしたいです

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