
NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。
目次
「管理職に前向きな人が減っている」
「優秀な人材なのに、管理職には手を挙げない」
こうした状況に、頭を悩まされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
長時間労働や責任の重さに加え、リーダーシップ発揮へのプレッシャーなど、管理職に対するイメージが必ずしもポジティブではない中、リーダーとして期待したい優秀な人材でも昇格をためらうケースも少なくありません。
しかし一方で、企業が持続的に成長していくためには、“次のリーダー層”をいかに確実に育成していくかが避けて通れない課題です。
今、若手・中堅社員が、管理職に対して前向きなイメージを持てる環境や経験をどう設計するかが、企業の未来を左右すると言っても過言ではありません。
本記事では、若手・中堅社員の管理職意向をどのようにすれば高められるのかについてご紹介してます。
(※本内容は、2025年11月13日実施セミナーの内容をまとめたものです)
- 次世代リーダーが育たず危機感を持っている人事・人材開発の方
- 管理職の役割や期待をどう伝えるか迷っている教育担当者の方
- 若手・中堅社員のキャリア意識の低下に課題を感じている方
次世代リーダー候補者にとっての4つの壁
管理職になることに対して、若手・中堅社員はどのようなことでブレーキを感じているのかについて、大きく 4つのポイントで整理しました。
①管理職への悪いイメージ
よくあるのは、「管理職=貧乏くじ」という固定イメージです。
長時間労働、面白くない業務、組織のしがらみに縛られるポジションであると捉えられがちです。
こうした“組織の奴隷”のような印象を強く持つ社員は実際に多く、管理職という言葉を聞いた瞬間に気持ちが引いてしまうケースも珍しくありません。
②成長/キャリア意識の希薄さ
次に見えてくるのは、成長やキャリアへのアンテナが立たない状態です。
「今のままで困っていない」「ほどほどでいい」という穏やかな停滞感が生まれています。
あるいは、「組織はきっと続くし、何かあれば転職すればいい」という“いつでも逃げられる安心感”が背景にあります。
その結果、未来に向けた準備よりも、現状維持の居心地の良さが優先されてしまいます。
③会社や制度への不満
会社の制度や仕組みにより、「この会社ではなりたくない」という思いが形成されてしまう状態です。制度の不備、給与水準、評価の仕組み、上意下達の文化など、こうした不満が積み重なると、「頑張っても報われない」「管理職になるほど割に合わない」という空気が生まれます。これにより、組織風土への諦めがブレーキとなり、挑戦する前にハンドルを切ってしまうのです。
④諦めや自己効力感の欠如
これは「自分には向いていない」「責任が重すぎる」と感じるパターンです。
努力しても組織を良くできる自信がないことや、苦しいだけになりそうという思い込みがブレーキになります。外的要因ではなく“自分への不安”が大きく立ちはだかっているのが特徴です。
具体的なアプローチ
では、こうした中で、次世代リーダー層に「管理職になってみたい」「こんなことをしていきたい」というような感情を生み出すには、どのようなアプローチが検討できるのでしょうか。
今回は個人向け(短期的な視点)と組織向け(中長期的な視点)に分けて、セミナー内で取り上げた具体的なアプローチの一部をご紹介します。
短期的な視点:従業員の体験価値を高める
人が新しい役割やタスクに踏み出せるかどうかは、気合いや根性で決まるものではありません。大きく影響するのは、目の前の体験をどう受け取り、どう意味づけするかという”認知”です。
この認知のプロセスを整理したものが、これから取り上げる「タスクアセスメントモデル」です。
タスクに向き合うとき、私たちは以下の4つの観点から状況を判断し、その結果として「やってみたい」「取り組んでみよう」という意欲が生まれます。
①自己効力感
自己効力感は結果がどうなるかわからない状況の中で、「自分にもできるかもしれない」という見通しです。自己効力感を醸成するには、大きな役割をいきなり任せるのではなく、まずは小さな体験を積める環境をつくることが効果的です。段階的に成功体験を積むことで不安が減り、取り組みやすくなります。最初は小さな業務の一部を渡し、数か月単位で責任範囲を少しずつ広げるといった方法がよいと考えます。また、初期段階では失敗を許容する姿勢を明示しておくことも、挑戦しやすい雰囲気につながります。
②影響感
影響感は、自分の行動が組織や周囲の人にどんな効果をもたらすかを理解することです。
管理職の役割を自分が担ううえで「部下が助かる」「組織が前に進む」という前向きなイメージができると、行動の動機が強まります。
③自己決定感
自己決定感は、「自分で選んで決めた」という納得感です。自己決定感を高めるには、「自分で選べる」と感じられる余地を用意することが重要です。管理職に向いているか不安な段階でも、「一度やってみてもいいかな」と思える程度の小さな選択肢を設けることで、前向きに行動できるようになります。無理に決断を迫るのではなく、まずはリスクが少なく安心して試せる体験から始めることがポイントです。こうした“小さな選択の積み重ね”が、主体性や行動意欲を自然に引き出し、やらされ感を自分事に変えていきます。
④有意味感
有意味感は、その仕事が自分にとって価値やメリットを持つと感じられる状態です。成長、学習、やりがい、キャリアなど、本人にとっての「得」が見えるほど行動のハードルは下がります。ポイントは、外側からの一般論だけではなく、本人の価値観に即した意味づけの面でも考えてみることです。
長期的アプローチ:組織風土を変えるという“根本治療”
短期施策だけでは管理職への抵抗感はなくならないことも多いでしょう。そもそもの“風土”が、管理職を貧乏くじのように扱っている場合は、ここを変えない限り、「管理職になりたい」と思える文化は根付きません。
多くの現場では、「困ったら管理職へ」「承認は全部上に」「残業も長く働くのが当たり前」といった“無意識のイエス”が積み重なり、結果として管理職が疲弊する構造ができあがっています。これは制度というより、むしろ暗黙の了解によってつくられる文化の問題です。
この“当たり前”を書き換えない限り、どれだけ制度を変えても、コンサルに何千万かけても現場の実態は変わらないでしょう。
OK/NGの行動を問い直すことで文化は変わる
風土変革がうまくいった企業の共通点は、「どんな行動がOKで、どんな行動がNGか」を徹底して問い直したことです。
たとえば「長時間労働=頑張っている」という文化が根強かった会社では、
“長時間労働はダサい”というメッセージを徹底的に発信し続けました。
残業時間を一覧化して「むしろ効率よく成果を出す方がかっこいい」と刷り込み続けたところ、部長が課長に「長時間労働は良い見られ方をしないよ」と声をかけるようになり、管理職自身の行動が変化しました。さらに評価基準にも「効率よく働くこと」を組み込み、文化が実際の行動として定着していきました。
その副作用として「会話が希薄になる」「仕事が淡白になる」といった課題も生まれましたが、それでも文化を変えたことで、管理職像のブランドは大きく塗り替わりました。
NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。
管理職への“憧れ”を取り戻すインナーブランディング
昇格が「なんとなく決まるもの」になってしまうと、本人のスイッチが入らず、管理職に魅力を感じてもらえません。これを変えるには、昇格を“嬉しい出来事”として受け止められるように、上司がしっかり演出することが重要です。
うまくいった企業では、次世代リーダー研修の段階から上司が
「そろそろ任せたいと思っている。今回の研修で成果を出したら次のステップに行けるはずだ」と期待を伝え、成果が出たら「よくやった」と明確に称賛するなどがあります。
こうした前提のセットがあると、昇格は“期待の結果”として本人に意味づけされ、前向きなスイッチが入ります。
反対に、昇格の背景が伝わらないと、「よくわからないけど昇格しました」「なりたくないのになっちゃった」と、自分ごと感が薄れ、“貧乏くじ”のように受け取られてしまいます。
しっかり演出されて昇格した人は、新任研修にも目を輝かせて参加する一方で、意味づけがない人はやる気がない状態で参加します。小さなコミュニケーションの差が、昇格の価値の感じ方を大きく変えてしまうのです。
「自分は期待されている」という実感を、上司が丁寧に伝えること、その一つひとつが、管理職の魅力を取り戻すための重要なインナーブランディングになります。
上司と部下の対話が、管理職イメージを変える
仮説ではありますが、上司との関係性が良い人ほど管理職への意欲が高いのではないかと考えています。
対話があることで誤解がほぐれ、
「管理職って、こんな風に考えて仕事しているんだ」
というイメージが、漠然とした不安から“具体的な理解”へ置き換わっていくためです。
さらに、対話を通じて上司の思いや迷い、やりがいに触れたとき、
「この人を助けたい」「この組織の役に立ちたい」というエンゲージメントが高まっていきます。
まとめ
若手・中堅社員が管理職に前向きになれない背景には、「自分に務まるのか」「何を求められるのか」などの不安が存在しています。本記事では、その心理的な壁を超えるために、挑戦の機会と小さな成功体験を通じて管理職意向を高める短期施策、風土からアプローチする長期施策の両面からアプローチを整理しました。管理職が“重荷”ではなく、成長と影響力を発揮できる選択肢として認識されることで、次世代リーダーは自然と育まれていきます。
アンケートの声(一部抜粋)
- 管理職が、メンバーの体験の意味付けをデザインすることが重要、というところが大変印象に残り、共感いたしました。
- 管理職になりたがらない背景と管理職を目指してほしいメンバーへの普段からの種まきの重要性等多くの学びがありました。
- カルチャーの作り方や上司、部下とコミュニケーションを取る際のポイントなど参考になりました。
登壇者の声
「管理職になりたくない」という声は昔からあります。かく言う私もかつて同じ気持ちでいた時期がありますが、明確に言えるのは「何となく」なりたくなかったということ。具体的に何を考え、どんなものを見て働いていたのか、直接上司に聞いたこともなかったですし、勝手に上司も嫌々やっていると思い込んでいましたが、ある日聞いてみると、使命感ややりがいを結構語ってくれてとても驚いたのを覚えています。昨今の働き方に対する価値観の変化で忌避されがちですが、そんなことはないかもよ?と職業体験のように、まずは体験版として権限委譲し、管理職を担ってもらう取り組みを、各現場で行ってみては如何でしょうか。
株式会社NEWONEでは「すべての人が活躍するための、エンゲージメントを」をブランドプロミスとして研修やコンサルティングサービスを通じて様々な企業様とご一緒しております。
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