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忙しすぎる管理職を解放するためのポイントとは何か-マネジメントに注力していくための具体的アプローチ-

忙しすぎる管理職を解放するためのポイントとは何か-マネジメントに注力していくための具体的アプローチ-

<a href= 瀬口 航生" width="104" height="104">

株式会社NEWONEに新卒入社。人材育成・組織開発のHRパートナーとして、研修設計・運営を中心に幅広い層の成長支援に携わる。新入社員・若手から管理職層まで、各階層の課題に応じたプログラムを企画・実施し、組織全体のパフォーマンス向上を支援している。
社内では組織開発の一環として、エンゲージメント向上を目的としたイベントの企画・運営にも取り組んでいる。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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「管理職が忙しすぎる」
そんな声が、いま多くの企業で聞かれるようになっています。

管理職の忙しさは昔からのテーマですが、最近はその深刻さが一段と増していると感じている方も多いのではないでしょうか。業務量の増加だけでなく、組織の変化スピード、人材流動化、エンゲージメントなど、管理職を取り巻く要素が複雑化し、“忙しさの正体”がつかみにくくなっているのが現状です。だからこそ、忙しさを単なる「個人の問題」として片づけるのではなく、組織としてどう向き合うかを考えることが重要になります。

本セミナーでは、この“忙しさ”の正体をあらためて丁寧にひもとき、どこに手を打つと効果が出やすいのかを考えるためのヒントをご紹介します。
(※本内容は、2025年11月20日実施セミナーの内容をまとめたものです)

  • 管理職支援や組織開発に携わる人事・企画部門の方
  • メンバー育成やチーム運営に悩みを抱えている方
  • 管理職として日々の忙しさに課題を感じている方

管理職の忙しさを引き起こす要因は何か

① 業務量の増加と「自分がやったほうが早い」という判断

まず入口として多いのが、業務量の増加です。忙しさが高まる中で、

「自分がやったほうが早い」

「部下に任せると残業が増えてしまい、注意されるかもしれない」

といった理由から、管理職が業務を抱え込むケースが生まれやすくなっています。その結果、属人化が進み、さらに多忙になるという悪循環が生まれます。

本来、管理職が手を離すべき業務が手元に残り続けることで、時間的な余白が失われ、判断業務にも余裕がなくなっていきます。

② メンバーの多様化によるキャリア支援・個別支援の負荷増大

近年、キャリア支援やメンバーの多様性への対応が重視されるようになったことで、管理職に求められる “個別対応” の量が大きく増えています。

離職を防ぐために日頃からケアをする
個別の1on1を丁寧に実施する
キャリアの相談に応じる

これら一つひとつは重要な取り組みですが、全メンバーに同じ水準で行おうとすると、どこかに歪みが生まれ、不満の声が上がりやすくなります。
そして、その不満に再び管理職が向き合う必要があり、結局、負荷が増えていくというループに陥ります。

③メンバーの育成の滞りと判断業務の集中

時間的なひっ迫により、育成のための投資が後回しになると、任せられるメンバーがなかなか育ちません。結果として、

メンバーが判断を上に委ねる
管理職が判断業務を抱え込む
心理的負荷や責任の重さが増える

といった状況が生じます。
判断の難易度そのものも高まっており、管理職の心理負荷は従来以上に大きくなっています。

④次世代管理職の育成の停滞

育成時間の不足は、管理職候補の不足にもつながります。
任せられる人材が育たず、部長職などの上位層でも「引き受けられる後任がいない」という状態が起こりやすくなっています。

結果として、限られた管理職に負荷が集中し、ますます“回しきれない”状況に陥ります。

⑤ 関係性の希薄化によるエンゲージメント低下

忙しさの副作用として、業務外のコミュニケーションが減ってしまうことも指摘されています。メンバー同士・管理職との関係性が弱まることで、

エンゲージメントの低下→離職の増加→さらに業務量が増える

という連鎖が起きやすくなります。

結局また管理職が個別ケアに奔走する、という循環につながります。

⑥ 多様化・規制・システム導入が生む複雑さの増大

管理職を取り巻く外部・内部環境は、質的に複雑化しています。

たとえば、働き方や価値観の多様化に伴い、個別配慮やケアが求められる場面が増えています。加えて、残業削減や生産性向上といった相反する要求、人的資本開示への対応など、管理職が同時に向き合うべきテーマは年々増加しています。
さらに、業務効率化を目的とした社内システムや人材マネジメントシステムの導入が進む一方で、それらを理解・運用するための学習負荷や調整業務が新たに発生し、結果として管理職の負担を押し上げている側面もあります。

このように、個々の施策や制度は合理的であっても、それらが重なり合うことで業務は細分化・高度化し、管理職の意思決定やマネジメントをより難しくしています。いわば、施策同士が連鎖的に負荷を生む「システム間の連鎖反応」が起きている状態だといえるでしょう。

「管理職の忙しさ」をどう解消するか

管理職の忙しさは、個人の働き方だけでなく、チーム・上司・組織といった複数の層が複雑に絡み合って生まれています。ここからは管理職の忙しさを解消するための観点を4つに整理し、それぞれに働きかけるためのアプローチをご紹介します。すべてに同時に手を打つ必要はなく、どこに“一石を投じる”と最も波紋が広がるかを見極めることがポイントになります。

① 管理職本人へのアプローチ

管理職の忙しさに対して、最も短期で効果を出しやすいのが「管理職本人へのアプローチ」です。特に重要なのが、プレイヤーとして培ってきた“当たり前”を見直し、手放すべき行動を明確にすることです。多くの管理職は、成果を出してきた“スタープレイヤー”として昇格してきた経験を持ちます。そのため、「自分がやったほうが早い」「任せるよりも自分で対応したほうがミスがない」「気づくと自分で仕事を抱え込んでいる」といった行動が、無意識の“習慣”になりやすいものです。
しかし、役割が変われば求められる行動も変わります。重要なのは、「自分はマネージャーになったのだから」という前提を書き換え、次の2つを同時に行うことです。

■ 増やす行動を明確にする

管理職として“ありたい”姿が定まると、必要な行動が見えてきます。

任せる範囲を増やす
他者を通じて成果を出すことを意識する
中長期でチームを育てる視点を持つ

こうした行動は、新人・中堅・シニアなど、どの階層でも役割の転換点で求められる「行動の棚卸し」です。管理職も同様に、役割に合わせて増やす行動を具体化することが必要です。

■減らす行動=“手放すべき当たり前”を特定する

もうひとつ大事なのが、「手放す行動」を決めることです。

特に、自分が評価されてきた行動、早く・正確にできるプレイヤー仕事、20分で終わるから自分でやってしまう仕事などは、本人にとってアイデンティティに近いため、手放すのが最も難しい領域です。しかし、ここに目を向けない限り、“抱え込み”のスタイルは変わりません。

② チームとの関係性へのアプローチ

管理職の負荷を軽くするうえで重要なのが、チームとの関係性づくりです。どれだけ個人で頑張っても、チームが機能していなければ、マネージャーはすぐに一人で抱え込む構造に陥ります。

鍵になるのは、エンゲージメントの高いチームをつくることです。

エンゲージメントとは、「このチームで働きたい」「貢献したい」と自発的に思える状態のこと。単なる満足度ではなく、仕事に前向きに関わり、主体的に動ける感覚です。その中心にあるのが、心理的所有感=“このチームを良くしたい”という愛着です。

では、その状態はどう作れるのか。

■ チームのビジョンを一緒に作る

エンゲージメントは、「自分がこのチームの一員だ」という感覚から生まれます。
そのためには、

どんなチームを目指すか
大事にしたい価値観は何か
OK/NG行動は何か

など、チームの姿とルールをメンバー全員で言語化することが不可欠です。役割説明だけでは所有感は生まれません。「自分たちで作ったチームだ」という実感が重要です。

■弱みを共有できる関係性をつくる

マネージャーが抱え込むほどチームは指示待ちになります。逆に、弱みや悩みを開示し、対話を増やせば、支え合う関係が生まれ、孤独は解消されます。
大切なのは、管理職が“完璧に指導する人”ではなく、“一緒に進む人”になることです。

■愛着を育てる仕掛けをつくる

心理的所有感は、日常の小さな関わりから育ちます。

チーム像を共につくる対話
小さな改善にメンバーが動ける余白
価値観や合言葉の共有

こうした仕掛けが、「このチームを良くしたい」という前向きな関与を引き出し、管理職の負荷を自然と分散します。

③ 上司・上層部との関係性/ 上司間の基準値へのアプローチ

管理職の忙しさは、個人のスキル不足だけでなく、上層部の価値観や基準値によって強化される側面があります。とくにベテラン層のマネジメントが昭和〜平成の感覚にとどまり、現場の新しい動きを阻害してしまうケースは珍しくありません。

新任が意欲を持って動こうとしても、「昔はこうだった」「管理職なんだからこれをやれ」
といった“古い当たり前”が組織全体を覆い、結果として 忙しさの再生産 が起きます。
さらに厄介なのは、この“当たり前”が無意識に運用されていることです。

残業代を抑えるために管理職に仕事を集める
数字だけを評価し、チーム成長は後回し
社内の新たなシステムの理解を避ける

こうした行動は、仕組みの問題であると同時に、ベテラン層が長年かけて形成した価値観の延長線上にあります。つまり、新任管理職だけを変えても、上が変わらなければ組織は変わらないという現実です。

そのため、組織として重要なのは、
「どこで“古い当たり前”が発生し、誰がそれを再生産しているのか」
を構造的に捉える視点です。

上層部やベテラン層の価値観を変えることは難易度が高い――これは事実です。
年次が上がるほど行動変容が起きにくく、過去の経験が成功体験として強く残るからです。

しかし、不可能ではありません。重要なのは**「認識のズレを自覚する場」をつくること**です。とくに効果的なのが、研修や対話を通じて意図的に 「認知的不協和」 を起こすアプローチです。

たとえば、
「部下にはチームで動けと言うのに、自分は個人数字ばかり追っている」
「新人には挑戦しろと言うのに、自分は新しいシステムを避けている」
といった“言行不一致”に気づいた瞬間、人は初めて行動を見直し始めます。

この「認知的不協和」は、言っていること”と“自分の行動”の矛盾が突きつけられた瞬間に起きる変化です。また、上層部が変わる余地をつくるためには、

評価制度に「育成」を組み込む
チーム成果を報酬に反映する
古い行動様式を促す制度を見直す

といった構造のテコ入れも不可欠です。

大切なのは、「ベテランが悪い」という二元論ではなく、彼らが育った文化・制度がそうさせただけだと理解し、共に“前提”をアップデートする機会をつくることです。時間はかかりますが、上層部の“当たり前”が変わった瞬間、組織の空気は一気に変わります。そして、この変化こそが、管理職が抱える慢性的な“忙しさ”の源泉を断つことにつながっていきます。

④組織全体へのアプローチ

組織全体へのアプローチは最も影響が大きい一方、根づいた習慣や価値観が関わるため、変化には丁寧なプロセスが必要です。鍵となるのは、組織の中で無意識に共有されている “OK/NG” の基準を可視化し、合意をつくり直すことです。

組織文化(カルチャー)は、これまでの歴史や成功体験から生まれた行動パターンの積み重ねです。「管理職はこうあるべき」「これはNG」といった前提は暗黙のルールとして存在し、放置すると忙しさの温床にもなります。

そこで重要になるのが、チーム全員で「どの行動がOKで、どこからがNGなのか」を改めて仕分けする対話の場です。まず現状の価値観や成功パターンを付箋などで出し合い、それを一度“机に上げる”ことで共通認識をつくります。そのうえで、「これからも大事にしたい行動」と「外してもよい行動」を選び直していくプロセスが欠かせません。

うまくいく組織の共通点は、管理職もベテランも一段降りて対話に参加し、自組織の現実を率直に言語化している点です。反対に、対話の場で部下に意見を求めるだけの姿勢では、文化は変わりません。

また、この対話のテーマは「業務を減らすこと」に偏らせないことがポイントです。「より価値を発揮できるチームになるには?」「もっといい仕事ができる状態とは?」といった前向きな主語で議論することで、組織文化の刷新が自然と進みます。

組織全体でOK/NGの基準を整え、目指す姿に合った行動パターンへと揃えていく。この合意形成こそが、持続的に働きやすいチームをつくるための核心です。

まとめ

本記事では、管理職の忙しさを生む背景と、その解消に向けたアプローチを整理しました。業務量の増加や個別対応の負荷、育成の滞り、関係性の希薄化、システムの複雑さなど、忙しさはさまざまな要因が重なって生じています。

また、忙しさを緩和するには、管理職本人の働き方だけでなく、チームや組織の仕組みにも視点を広げ、どこに働きかければ負荷が軽くなるのかを見極めることが重要です。

本記事が、皆さまが現場の忙しさを見直す際のヒントとなれば幸いです。

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アンケートの声(一部抜粋)

  • カルチャーを変えるということは、これまでの会社らしさに手を付けることになり、それが強みなのに、魅力なのに、という意見がある一方で、それを変えないという決断で何かにチャレンジできないという状況をどう考えるのか、という思考を辿らないと簡単には捨てられないと感じました。
  • 会社の組織的に管理職がそもそも少なすぎる、部長の直下がもうチームリーダー、その下がメンバーだったり中間層がいなさすぎる、かつ年齢層が20代がほとんどの状態のため、なってない部分が多いと感じました。管理職が行きつく課題が実際にリーダー陣に起きているためそこに活用していこうと思いました。
  • 「“忙しすぎる管理職”を解放する」というテーマについて、多くのヒントをいただけた、という印象です。
  • 庄司さんのお話はきれいごと抜きで現場感覚に非常にフィットしており、その軽快な話に毎度引き込まれております。そうそうと首もげしそうなほどうなづきながら最後まで受講致しました。

登壇者の声

チーム作りにおいて如何にして余白を、貢献する余地をつくれるか。そして、ベテランや既任のマネージャー側は、如何にして自分達の成功体験や執着を手放せるか、これが鍵だと言えます。一般的なマネジメント変革とはちょっと違ったコツが要りますが、少なくともインプット過重な研修等の施策よりは、アンラーニングを促す、これまでのスタイルを変える方が効果が高いと考えていますので、ぜひとも自社の風土やお取組みを今一度、見直して頂けますと幸いです。

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