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ダイバーシティ推進の総論賛成・各論反対を越えるための3つのポイント

ダイバーシティ推進の総論賛成・各論反対を越えるための3つのポイント

 小関 一矢

著者

小関 一矢

著者

小関 一矢

株式会社NEWONEに新卒入社。研修をメインとして、人材育成・組織開発のHRパートナーとして従事。新入社員・若手から管理職まで幅広い階層を支援している。
社内では、チームの組織開発領域を担当し、対話を中心とした取り組みの企画・ファシリテーションを行っている。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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多様化が進む現代において、企業においてもダイバーシティの推進が求められています。一方、いざ現場で取り組もうとすると「実際取り組むのは難しい」「各施策でやることには納得できない」という声が聞こえてくる現場は少なくないのではないでしょうか。そこで今回のメソッドでは、そんなダイバーシティ推進における“総論賛成・各論反対”の壁を乗り越えるために重要な3つのポイントを紹介していきます

  • ダイバーシティ推進の重要性を感じつつ、どのように取り組めば良いのか分からない
  • まさにDEI推進に向けて総論賛成・各論反対という葛藤と向き合っている
  • 多様なメンバーを抱え、どのようにアプローチすればよいか迷っている

という方にお勧めです。

(※本内容は、2025年10月9日実施セミナーの内容をまとめたものです)

なぜDEIが必要なのか

このような背景がありながらも、DEI推進は各論反対という状況にとどまっている理由として、3つのジレンマを紹介します。

 1つ目は多様性と効率化のジレンマです。DEIを推進するために価値観や立場が違う人を集めると、意思疎通に時間がかかり、誤解も生まれやすくなります。同質であればスピーディーにできていたことが、多様な人が集まると、新しい発想は生まれやすくなりますが、意思疎通に時間がかかるなど、効率は下がります。このように、多様性を取るか、効率を取るかのトレードオフになってしまいます。

 2つ目は公平と平等のジレンマです。全員に同じ支援をする「平等」はわかりやすいですが、背景が違う人にとっては強い不都合を感じる可能性があります。一方、一人ひとりに合わせた支援「公平」をすると、それが優遇に見え不公平だと感じる人も出ます。

3つ目は個別化とバラバラ化のジレンマです。多様な人材に合わせて個別化して要望を聞いていくことは重要です。一方で、個々の事情に合わせすぎると、チームとしての一体感が失われる可能性があります。

3つのジレンマを乗り越えるために重要なこと

これらの壁を越えるためには、「対話」「視座向上」「構造変革」の3つが欠かせません。

1つ目の多様性と効率化のジレンマに対しては、 まず管理職が多様な人材をマネジメントしていくためのマネジメント手法を身に着けて行くことが突破口になります。様々な手法の中でも、特に重要なのは対話のスキルです。
議論は合意を生むために共通点を探す行為ですが、対話は違いを見つけ、互いの背景を理解し尊重し合う行為です。
多様化した組織では、単にスピードや仕組みで効率を補おうとすると、価値観の違いが衝突を生みやすくなります。

しかし、対話を通じてお互いの前提や価値観を理解し合うことで、その違いを衝突ではなく相乗効果へと変えることができます。
その結果、多様性を保ちながらも効率的に機能する組織へと進化していきます。

2つ目の「公平と平等のジレンマ」は、支援や補助をどの領域に、どのような基準で行うのかが明確でないことが根本的な原因です。
そのため、まずは成果や付加価値の向上が見込める領域を明確にし、そこに重点的に支援・補助を行う方針を定めることが重要です。
さらに、その方針を組織全体で共有することで、ジレンマを乗り越えることができます。
加えて、どこに成果や付加価値を見出すかの判断をより的確にするためには、マネジャーが「自部署の管理者」ではなく、「会社の未来に責任を持つ経営チームの一員」としての視座を持つことが欠かせません。
視野を広げることで、短期的な公平さだけでなく、未来を見据えたバランスの取れた「公平」と「平等」の判断ができるようになります。

3つ目の個別化とバラバラ化のジレンマを解消するには、マジョリティ側の多様化と意識転換が欠かせません。
これまで権力や影響力を持っていた層が同質的である限り、多様な人の意見や力は十分に活かされません。経営層や管理職層がまず自ら多様化し、異なる背景を持つ人が意思決定に関わる構造をつくることが大切です。同時に、「誰にでも迎合する」のではなく、自社が大切にする軸や価値観を明確にすることも重要です。
そうすることで、多様な人がそれぞれの強みを発揮しながらも、共通の目的に向かって進む
個の尊重と組織の一体感を両立する状態が生まれていきます。

この3つのジレンマを乗り越えるためには、制度を整えるだけでなく、対話で関係を深め、視座を広げ、組織の構造そのものを変えていく姿勢が求められます。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

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セミナーアンケート(一部抜粋)

  • 組織開発に関連し、「相乗効果を促すスキルを持たないと損をする」「マネジャー研修は、ただ単に協力者育成を学ぶ場ではなく視座を高める機会ととらえる」 など、響くワーディングがあり是非使っていきたいと思った。評価基準を「成果」と「付加価値」どちらに置くのか というメッセージもとてもわかりやすく、前提を揃えるために大変重要なポイントなので使っていきたいと思った。
  • ダイバーシティを推進していく上での総論OK,各論NGの背景や考え方について整理して説明していただくことで、自社の現状を踏まえた今後の取り組みについて方向性が見えてきたような気がする。
  • 一番印象に残ったのは、「経営の一員とは何か:会社の未来に当事者として責任を持つ人」です。経営メンバーとして、私自身も強く自覚し、今だけを見ている役員の皆さんに伝えていきたいと思います。

登壇者の声

DEI推進は、総論賛成・各論反対になりがちなテーマであり、だからこそ丁寧な推進が大事です。今回は3つのジレンマから起こっている現象を具体化しましたが、それぞれの現象を捉えつつ、組織全体を大きく変革していくことがポイントです。未来を見据えると絶対に行うべきテーマなので、今回の内容が何かのお役に立てれば幸いです。

まとめ

DEI推進は、単なる理念ではなく、変化の時代を生き抜くための経営戦略です。
多様性と効率、公平と平等、個別化と一体感――この3つのジレンマを乗り越えるには、マネジャーが対話を通じて違いを理解し、会社全体で成果と付加価値を基準にした公平な判断軸を共有し、経営層が自ら多様化を体現することが重要です。
制度ではなく関係性を変えることこそ、組織を強くするDEIの本質です。


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