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仕事をメンバーに任せられるマネジャーと、任せられないマネジャーの違いは何か?

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こんにちは。NEWONEの坂本です。

エンパワーメント(権限委譲)は、マネジャーに欠かせないスキルです。

特に環境変化が激しくビジネスルールの変化のスピードが加速度的に増している現代においては、すべての分野においてマネジャーが正解を持っている時代ではなくなっています。仕事をどんどんメンバーに任せ、多様な人の力を引き出していくことは欠かせない要件です。

しかし現場のマネジャーからよくこんな声を聞きます。

それは、「自分としても積極的に任せたいが、任せられるメンバーがいない」という声です。

メンバーに仕事を任せたいが、上からの業績達成への圧力も強い。

そうなると自分自身がプレイヤーとしてある程度仕事を回さざるを得なくなり、
結果的にメンバーの育成をする時間がなくなる…
その結果、「任せたくても任せられる人がいない。だから、自分がやるしかない」

その悪循環にハマっている人が多いことを痛感します。

一方でメンバーに上手に仕事を任せ、うまくチーム運営をしていくマネジャーもいます。
両者の違いは一体何なのでしょうか?

違い①:「自分の基準」と比較しているか、「共通のゴール」と比較しているか

そもそも仕事を任せられない人は、自分の仕事に対するこだわりが強く、
「自分の時はこうだった」を強く持っていることが多いと感じます。

結果として、仕事をメンバーに任せても、自分の中にある無意識の“基準”と比較し、メンバーにその不足点を埋めさせようとしてしまいます

メンバーからすると、何をやってもマネジャーから無言で“足りなさ”を指摘されることは自己効力感の低下につながります。

そうしたかかわりを繰り返していると、いつの間にかメンバーは、その仕事の目的や最終的な価値の受け手(顧客)の期待ではなく、「マネジャーの期待値」をはかるようになります
結果として仕事の質も低下し、結局マネジャーが仕事を引き取らざるを得ないという構造が出来上がってしまいます。

本来マネジャーがとるべきかかわりは、仕事を任せる前に、その仕事の成果やその仕事を担うことでどのような成長をメンバーに期待したいのかといったゴールを明確にし、そのゴールをメンバーにも納得させ、そのゴールに対して、今の進捗をフィードバック・サポートすることです。

仕事を任せる時、ゴールを明確にすることの重要性については周知の事実だと思います。
しかし、このゴールについてマネジャーとメンバーとでどこまで「共通認識」を持てているかは、見落とされがちな観点だと考えます。
仕事をメンバーに上手に任せられるマネジャーは、このゴールの共通認識を持つということを欠かさず実行し、共通のゴールに対してかかわることを徹底しています。

違い②:「アウトプットの質を少しでも高める」ことを重視しているか、「本人の自己決定」を重視しているか

仕事を任せることの重要な目的の1つに、人材育成の要素があります。

仕事を任せることで、メンバーの能力開発を促し、かつ「組織に貢献している」という貢献実感や、「自分がやり遂げた」という達成感を生み出すことです。

人が最も成長できるのは、今の自分よりも一回り難易度の高いストレッチな経験を与えられた時だと言われています。

個人的に人は、「この仕事の成果を上げるには、自分しかいない」「自分が最後の砦である」という自覚を持った時持っている力を最大限発揮し、一回り成長していくと考えます。

仕事を「任せる」ではなく、大事なのは「任せきる」ということで、「自分がやるしかない」感を引き出すことが重要です。

アウトプットの質を100点に近づけていくことをなによりも重視しているマネジャーは、この「任せきる」ということができません。
メンバーから上がってきたアウトプットが70点、80点であれば、その差を埋めようとして口出しをしてしまいます。

結果として、仕事を任せるといいながら、自分自身が手を動かしてしまうこともあるでしょう。

本人の自己決定を重視しているマネジャーこそ、「任せきる」ということができます

アウトプットの質を数十%高めることよりも、本人が自分でやっていると思えることの方が将来的にみると大事だと考えられるかどうかが、違いを生み出すと考えます。

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違い③:成果を短期で見ているか、中長期でみているか

上記と重なりますが、任せた仕事のアウトプット、短期的なアウトカムは、マネジャーである自分がやった方が高くなる可能性が圧倒的に高いと思います。

しかしマネジャーに求められるのは、短期的な成果を担保することだけでなく、メンバーが自走し続けられるために必要な準備や環境を整えていくということです。

ドラッガーは、

「成果とは百発百中のことではない。百発百中は曲芸である

成果とは長期のものである、成果とは打率である」と言ったそうです。

時には失敗させることも織り込みながら、メンバーが仕事経験を通して成長し、組織としての中長期的な成果に目を向けることができるかどうかが、仕事を任せられるマネジャーかそうでないかの、差を生み出すように考えます。

(最後に)

プレイヤーとして優秀だったマネジャーほど、メンバーに仕事を任せることを難しく感じるように思います。それは自分の成功体験が色濃く残っており、「もっとこうしたら」という自分基準が出やすかったり、短期的な業績達成への達成意欲が高く、成果を出すためにも自分がやるしかないと考えやすかったりすることが背景にあると思います。

これらの欲求を捨て去り、新しい考え方にアップデートすることが、マネジャー自身の成長なのではないかと考えます。(大いなる自戒を込めて…)