東日本電信電話株式会社様の事例紹介

「教わる」ではなく「自分たちで教え合う」ことで、新入社員のホンモノの主体性を引き出す 〜個性や能力を活かし、活躍できる組織をつくりたい〜

東日本電信電話株式会社様
課題・年々、平均的で抜きん出たくないという新入社員が増えてきた
・インプット過多な導入研修から脱却したい ・本来持っている個性や強みを伸ばすような育成がしたい
効果・配属後も上手く行かなかったときに立ち返る指標がつくれた
・日報へのコメント等、自発的なアクションが増えた
・周囲のかかわりも答えを渡さず問いかけることが大事であるという共通認識ができた
・ルールで縛らず、新入社員を信じ、主体性に任せるという考え方が設計の思想として浸透できた

※写真左から (株)NEWONE コンサルタント 阿部 真弥 取締役 権 海瑩 東日本電信電話(株)総務人事部 / 人事第一部門 育成人事担当 神山 紗也花様 育成人事担当 / 主査 能登 健様

[導入サービス]
新入社員向けビジネスマインド研修(Accela)
・新入社員フォローアップ研修

[実施概要]
2019年度の新入社員約750名に対し、相手の期待を捉え、越えていくことで価値発揮していくことが「主体性」であるというビジネスマインドの理解と、主体的に働くことの意味、楽しさを自ら実践を通じて体感することを目的に、ビジネスマインド研修(Accela)を3日間実施。


ー 本日はどうぞよろしくお願いいたします。さっそくですが、今回、貴社の新入社員研修を刷新するに至った背景について教えてください。

能登様:これまで実施していた新入社員研修は、いわゆるインプット型で型を教えて、それを現場で実践してもらうというものでした。導入研修ですので、きっちり型を教えるという意識が強かったのですが、正直、それが本当に現場で活かされているのかなという疑問がありました。インプットしたことを単に実践するのではなく、新入社員が自分で考え納得した上で、実践させられる仕組みや、やり方がないのだろうかと模索し始めたことが、刷新するに至った出発点でした。そこで、我々も思考錯誤しながら、御社にご協力いただき、新入社員が受動的に教わるのではなく、正解がないビジネスシミュレーションでの実践や同期間で実際に教え合うという経験を通してホンモノの主体性を身につけるという、これまでとはガラっと変えた新入社員研修をやってみようということになりました。

ー ありがとうございます。最近の新入社員に感じている特徴や課題はどのようなものが挙げられますか?

神山様:最近の若手は、賢いなと率直に感じています。情報収集する能力などは、かなり長けています。その能力が高いがゆえに、何事も一番効率よく最短距離でやりたがるので、他の道から一歩引いてしまう傾向があるなと思っています。また、熱意や志を持っていても表出しない、周りに気を遣い空気を読んでムダな荒波を立てないという傾向があるなと感じています。その結果、1年目2年目と年次が上がってくると、入社当時に持っていた熱意や志が薄れていき、みな同じように均一的になってしまうように感じています。それは、もったいないなと思っていて、本来持っている能力や個性をもっと伸ばしてあげたいなと思っています。

能登様:個人的な意見にはなりますが、最近の新入社員は自分の個性を大事にし、考え方もしっかりしていて、やりたいことの方向性を持っていると感じています。一方で、それを会社で発揮できているのか、発揮させてあげられているかと言われると、双方に課題はあると思っています。
我々としては、新入社員が主体性を発揮することで、価値を出すことが面白いという意識を持って、イキイキと活躍し続けてほしいと思っています。そのためには、まさに御社の新人研修でお伝えいただいた相手の期待を越えることで価値が生まれるという「価値のメカニズム」の考え方が重要かなと思っています。我々も、何か決まったモノを販売していれば良いという時代ではないので、新しく色んなことをやっていかないといけないと思っています。それには「主体性」が必須で、自分で考えて、相手の期待を捉えて越えていくということが必要です。「価値のメカニズム」は、これからビジネスをしていく上では必須な考え方であって、そういった感覚を早い段階でいかに身に着けてもらうかが重要だなと思っています。

― 主体性の発揮や個性を活かすという部分は、組織の変化と共に必要性が増してきたのでしょうか?

神山様:昔から必要だったと思うのですが、ただ、より一人ひとりの個性を大事にするとか、主体性の発揮の必要性は高まっていると感じています。それは、やはり時代の変化に合わせて組織も変わっていかなければならないという会社としての危機感もあると思っています。NTT東日本グループ全体の求める人材像も、変化に対応するため変革を牽引できる人物と掲げられています。数年前からずっと変革ができる人材が必要と言われていましたが、あまり現場レベルにまで浸透していなかったのかなと思います。
しかし、それがようやく社員一人ひとりのレベルで変革していかなくてはいけない、一昔前の通信会社のイメージから脱却して、新たなビジネスをどんどんつくっていかなければいけないという危機感が出てきたのかなと思っています。「変革」ができる人物とは?と考えた時、自分で考えて主体的に行動できる人、チャレンジできる人なのではないかと思っています。そこで、より一層「主体性」がキーワードになってきていると感じています。

ー なるほど。新入社員が主体性を発揮するために、現場の上司に求めることや、組織に感じている課題はありますか?

能登様:現場では、業務としてやらなければならないことはしっかりと見てもらっていると思います。ただ、本人がやりたい方向で、主体性を発揮できているかというと、まだまだ難しい部分があると思っています。強みや個性がそれぞれ異なる中で、同じ土台で同じ成長レベルまで到達することは難しく、到達しない人はいつまで経っても自分のやりたいことを実現できないというのも、ちょっと違う気がしています。やはり、主体性を発揮できる一つの要因として、自分が持っている能力や得意分野を発揮して仕事ができるということが大事だと思っています。業務の中で発揮できる場をいかにつくっていくかも大事ですし、それが難しいのであれば、OFF-JTなどの違う場で発揮できる機会や仕組があっても良いのかなと思っています。そういった可能性を現場と一緒に考えながら、本人の想いと業務をつなげるということをやっていかなければならないと思っています。

神山様:能登がお伝えした通りで、我々人事のミッションが変わってきていると思っています。これまで育成と言えば、研修を行ってスキルを与え、面談でフォローするというのが主な役割でしたが、新入社員がイキイキと働けるように、現場と本人がうまく連携できる仕組みを一緒につくっていくということに変わってきていると思います。

主体性を引き出すには、ルールで縛るのではなく新入社員を信用することが大事だと気づいた


− 今回、本研修を実施してみた率直なご感想や、感じられた効果があれば教えてください。

能登様:本人たちが何か行動する時に、立ち返る指標ができたと感じています。何か壁にぶつかった時に、正解を探すのではなく、自分でどうすれば良いのかを「価値のメカニズム」に沿って考えることができるのかなと思っています。また、指導する側も答えを教えるのではなく、どうしたら良いと思う?と問いかけてあげることで、本人に考えさせることができるので、指導する側もされる側もお互いが成長できる環境になったことが、今回大きく変わったところであり、効果があった部分だと思っています。

神山様:NEWONEさんにお願いした期間は、3日間でしたが、自然と新入社員の口から、自分としてこういった考えのもとに行動し、その結果こういう期待に応えられたというようなコメントが日報などに多く見受けられたことが良かったと思っています。我々も1ヵ月の研修期間を通して「主体性」をテーマに実施してきて、ずっとその必要性を言い続けてきました。そのメッセージが我々の意図通りに本人に伝わって、それに応えてくれるということが実感できたことが、一番の収穫だったかなと思っています。

ー ありがとうございます。1ヵ月の研修期間全体を通じて、これまでと変えたことや、やって良かったことなどがあれば教えてください。

神山様:これまでは、ルールやマナーがすごく厳しかったのですが、今回我々の一つのチャレンジとして、「主体性」がテーマなのだから、型にはめるということをやめ、ルールも最低限に絞りました。導入研修のガイドも80ページくらいあったのですが、今回それを4ページに短縮しました。期間も1ヵ月と長いので、本当に大丈夫かなと不安に思っていましたが、例年と比較して問題も少なかったことが非常に良かったと思っています。彼らを信用してあげることが、とても大事なんだなということがわかりました。

ー 750名も新入社員がいれば、ある種ルールで縛るのも当然かなと思う中で、なぜその意思決定をされたのですか?

能登様:ルールで縛れば、我々は楽なんですよね。ただ、それが本当に彼らのためになっているのかというと、そうではないと思っています。なぜこれがダメなのか?何のためにこのルールがあるのか?を本人たちが考えて行動することが重要で、“型にはめる”のではなく“考えさせる”ことが大事だと思っています。新人研修も、なぜやっているのかを自分で考えることで、こちらが真面目に受講してほしいなどと言わなくても、自ずと学ぶ姿勢が良くなると思っています。我々の間でそういう共通認識が持てたので、今回このような意志決定をしました。
実際やってみて、本当に問題は少なかったと思っていますし、研修に臨む姿勢も良かったと感じています。ルールだけではなく、一貫して自分で考えて、プラスアルファの行動をしていくことが大事なんだと改めて感じました。

神山様:導入研修の場でルールがたくさんあると、現場に配属になった後もルールを明確に伝えないと、「聞いていませんよ、ダメだったんですか」というような態度になってしまうと思いました。誰かに教えてもらわなくても、自分で考えて判断ができるようにするためには、ルールを最低限にするということが必要だなと思いました。こちら側が教え過ぎないことで、常に自分で考えるという習慣を身に着けることが重要だと思いました。

居続けてもらうのではなく、“居続けたい”と思われる組織づくり


ー 今回、NEWONEに決めていただいた理由について教えてください。

神山様:シンプルに、一緒にやりたいなと思えたことですね。「主体性」が必要だと言われても、それを測ることもできないし、主体性が何かを伝えることも難しく、我々もずっとモヤモヤしていました。しかし、「価値のメカニズム」の話をお伺いして、これだなと思ってすっと腹落ちすることができました。また、事前の打ち合わせで、こちらがどんな問いかけをしても、すぐに前向きに返してくれたことも、とても心強かったです。

能登様:正直最初は、難しそうだなという印象がありました。型を教えるのは簡単じゃないですか。それをやらずに、正解のないビジネスシミュレーションや同期間で教え合うという経験を通して、考えさせるっていうことは、これまでやってきたことと逆になりますので難しいなと思いました。ただ、その分違う結果が出るのではないかと思えたのが御社の提案でした。これまでやってきたことがなかなかうまくいかない中、何かを大きく変えていかないと変わらないと思ったので、今回NEWONEさんにお願いさせていただきました。

ー ありがとうございます。今後、どのような組織をつくっていきたいですか?

能登様:若手社員一人ひとりが、イキイキと働けることが大事かなと思っています。自分で成果が出せるようになると仕事も面白くなると思うので、個性や能力を発揮できる環境をつくっていきたいと思っています。また、一人ひとりがやりたいことを実現して、イキイキと仕事をすることで、会社全体の成長につながっていけば良いなと思っています。そういった未来が描ければ、我々のミッションは達成できるのかなと思っていますので、実現に向けてできることをどんどんやっていきたいと思っています。

神山様: NTT東日本の社員って楽しそうだね、あそこの会社で働けて幸せだよねと、周りに言ってもらえるような風土や組織をつくっていきたいと思っています。また、そういう風に思われる社員であってほしいなと思っています。人生100年時代と言われる中、自社にずっと居続けてほしいというよりは、彼らが様々な選択肢がある中で、それでも居続けたいと思われる組織をつくっていきたいなと思っています。

ー 本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

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NEWONE担当からの一言

  • 阿部 真弥(Abe Shinya)

    阿部 真弥(Abe Shinya)

    コメント

    750名35クラスの新入社員研修という弊社としても最大規模の研修であり、実施に至るまでには運用やプログラム設計において様々な難しさがありました。その中でも、「せっかく入ってきた新入社員たちにとって良い育成を設計してあげたい」という強い想いを持たれている担当者様が実施まで推進しきって頂いたことで今回の3日間の新入社員研修をご一緒することができました。非常に優秀な方々だからこそ入社直後にセットする基準値によって大きく状態が変化していくということを目の当たりにし、私自身としても初期教育の重要性を強く実感した機会でした。