伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様の事例紹介

サーベイを活用し具体的な行動につなぐ管理職研修 ~メンバーのキャリアを支援しエンゲージメントを高める~

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様
課題・若手から中堅層にかけてエンゲージメントが低い傾向にある
・サーベイ結果を確認し自部署の課題を認識しているものの、サーベイ結果をどう活用したら良いのかに戸惑い、改善に向けた具体的な行動に移せていない
・IT人材は売り手市場が加速している中、離職率2.6%と高くはないが、今後の事業成長を見据えると離職防止のためにもエンゲージメント向上は必須であることから研修実施に至った
効果・キャリアとは、仕事だけではなくプライベートも含まれることや、ポジションだけではなく、心理的成功(価値観や働き甲斐)にもフォーカスしながらキャリア支援ができるという認識ができた
・Day1、Day2と2回に分けて実施したところ、2回目の研修までに、実際に行動に移しているからこそ出てくる言葉があった、“まずはやってみた”ということが大事であり、研修の効果が表れている
・メンバーと組織課題について直接話し合うことは、お互いに心理的なハードルが高いが、「オバケ」と表現することで管理職が見えていない課題をあぶり出す有効なツールだと認識できた
・部長層だけで動いても組織は変わらないと考え、課長層を集めてサーベイ結果の読み解き方について話し合った人もいた。自分一人で組織を良くするのではなく、うまく課長層を巻き込めたのは良い事例だった

[サービス]
エンゲージメントサーベイ活用とキャリア支援強化研修

[対象]
部長職

[実施概要]
事業グループ全体のエンゲージメントを向上することを目的に、部長職(約40名)を対象に、サーベイ活用とキャリア支援強化研修を実施。8月・11月と2回に分けてエンゲージメントの理解、サーベイ結果の活用方法や離職防止に向けたマネジメントスタイルを学び職場実践を支援。

[スピーカー]
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
広域・社会インフラ事業グループ
広域・社会インフラ企画統括部
部長
奥村 慎一様 (※写真左上)

課長
大塚 麗様 (※写真右上)

主任
木村 逸子様 (※写真左下)

松田 真由美様 (※写真中央上)

株式会社NEWONE
マネジャー 大槻 美幸 (※写真右下)

― 今回、管理職層に対してサーベイ活用とキャリア支援強化をテーマに、研修を実施するに至った背景、理由について教えてください。

松田様:弊社では、3年程前からエンゲージメントサーベイを導入し、定期的にパルスサーベイを実施してきました。その結果を見ると、若手から中堅層にかけてエンゲージメントが低い傾向があり、何とか改善していきたいという課題がありました。部長職の方々は、サーベイ結果を確認し自部署の課題を認識しているものの、サーベイ結果をどう活用したら良いのかに戸惑い、改善に向けた具体的な行動に移せていないという方が多く見受けられました。感度の高い方は1on1などの全社的な施策をうまく活用していますが、事業グループ全体を見るとまだ対応に動き出せていない方もいらっしゃる状況でした。そこで、サーベイ結果の読み解き方と活用方法について具体的に例示し理解を深めることができれば、事業部全体の底上げにつながるのではないかと考えました。
また、IT人材は売り手市場が加速しています。離職率2.6%と高くはないのですが、今後の事業成長を見据えると離職防止のためにもエンゲージメント向上は必須であると考え、今回は影響力の大きい部長層を対象にエンゲージメントサーベイの活用と離職防止のためのキャリア支援強化研修を実施いたしました。

奥村様:リモート中心の働き方が進みコミュニケーションが希薄になったことで、エンゲージメントがなかなか上がらないという仮説から組織のマネジメント方法を改善することで解決できればと考えました。一朝一夕で組織がガラっと変わることは難しいため、まずは自分たちの課題を見つめ理解を深める機会が必要でした。理解ができたら職場で実践するというサイクルを早い段階で実行し状況を変えていきたいと思いました。スピード感を持って推進していくために、今回部長職を対象に本研修を企画しました。

気づきを得て、職場で具体的に行動できることを目指した

― 本研修を通じて、部長職の方や組織がどのような状態になることを期待されましたか?

松田様:今回の研修は、まずは事業グループ全体の底上げがテーマでした。この数年で大きく変化した環境に合わせた支援型のマネジメントスタイルや、サーベイの具体的な活用方法について理解を深めてほしいと思いました。研修を通じて気づきを得て、実際に行動に移していただくことを期待しました。

奥村様:部長職の大半は、何が課題かはわかっているけれど、具体的に何をしたら良いのか体系立てて理解できていないと感じていました。講師の方の知見やアドバイスを自分自身に取り入れて行動に移してもらいたいと思いました。また、今回オフラインの集合型で研修を実施したので、部長間の交流を深めることも副次的な目的としてありました。当事業グループの特性上、全国に部長が散らばっているため、この研修を通じて、お互いの悩みや状況を共有することで気づきを得る機会にしてほしいと思いました。

大塚様:エンゲージメントが高い組織と低い組織がある中で、高い組織はどんな施策を行っているのかを全体に共有してもらいたいと思いました。自分の組織の何をどう変えていけば良いのか話し合うことでヒントが得られる機会になるのではと考えました。

エンゲージメント向上に必要な武器をもらえた

― Day1(8月)、Day2(11月)と2回に分けて実施しましたが、実施してみた率直なご感想や、感じられた効果があれば教えてください。

松田様:実施後のアンケートの中に、頻出のキーワードが視覚化される機能があるのですが、1回目は「組織、エンゲージメント」など組織視点のキーワードが目立ちました。しかし、2回目は「1on1、メンバー、コミュニケーション」など部下を意識したキーワードに変わっていました。これは結構大きな変化だと捉えていて、意識が変わっていることが見て取れました。とある部長からは、“「傾聴」を意識して取り組んでいるけど難しい”と言われたのですが、実際に行動に移しているからこそ出てくる言葉だと受け取りました。“まずはやってみた”ということが大事であり、研修の効果が表れていると思いました。

奥村様:私は受講者としても参加したのですが、頭では理解できていても実際に変えていくのは難しいということを体感しました。研修では、メンバーとかかわる時に意識する観点や現代のマネジメントの考え方など武器をもらえたような気がしました。部門の状況もそれぞれ異なるため一斉に同じ速度で変化しているとは言えませんが、積極的に取り組んでいる人が多く見られます。良い組織はさらに良くなっていますし、課題が大きかった組織においても、自分事としてやらなければならないことを持って帰っていただけたと感じます。

「オバケ」は管理職が見えていない課題をあぶり出す有効なツール

― 研修とは別で、弊社のチームビルディングツール(オバケ)の体験会を実施しましたが、管理職の方々の反応はいかがでしたでしょうか?

松田様:メンバーと組織課題について直接話し合うことは、お互いに心理的なハードルが高いと思うのですが、「〇〇オバケ」という表現にしたツールの意図を理解した方は使ってみようと思われたようです。部長同士の体験会では、同じようなオバケ(組織課題)が出てくることもありましたが、違うオバケが出てくるケースもあり組織によって課題はまちまちだと感じました。

奥村様:体験会は、部長同士でやってみた結果だったので、実際に職場のメンバーとやると、メンバー側の視点から見えているものは違うのではないかと感じました。例えば、部長は感じていないけど、メンバーから見ると上意下達のオバケがいるとか、そういった違いが見えてくるツールだと思いました。その違いが、まさにエンゲージメント向上のキーとなる課題である可能性もあり、管理職が見えていない課題をあぶり出す有効なツールだと感じました。

― 今回の取り組みを実施した中で、何か印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

松田様:研修では、支援型へのマジメントスタイルの転換や傾聴することが大切であることをお伝えしましたが、部長にさらに荷物を背負わせた感じがありました。ですが、中には自分だけで動いても組織は変わらないと考え、課長層を集めてサーベイ結果の読み解き方について話し合った人もいらっしゃいました。自分一人で組織を良くするのではなく、うまく課長層を巻き込まれたのは良い事例になると思いました。また、今回リアルで集まったこともあり終了後に情報交換の場を設けました。違う地域違う組織でも会話が盛り上がっているのを見て、改めて研修で自分たちの悩みを共有する機会や部長同士の交流の場をつくることが大事だと思いました。

コミュニケーションの促進が管理職の新たな役割として加わった

― 現代の管理職の方に、今一番必要とされることは何でしょうか。

松田様:管理職としてコミュニケーションをどう工夫して促進していくかが大事な役割として加わったと感じています。テレワークが浸透し働き方の改革は一歩進みましたが、弊害としてノンバーバルなコミュニケーションの取りづらさについてのご意見をいただくことが多くあります。メンバーの所属意識や心理的安全性の確保が難しくなるなか、意図的に相互理解を念頭に置いたコミュニケーションを増やすことでそれらを高めていくことが必要なのかと思っています。

奥村様:これという一番がないと感じるほど、現代のマネジメントは難易度が高まっています。だからこそ、多くの管理職は苦しんでいます。以前は、仕事がすごくできる、人柄が良いなど、特出する能力があれば評価された時代でしたが、今はそうではありません。自分の得意不得意もありますが、変化を受け入れていくこが必要だと思っています。

― 今回、NEWONEにお任せ頂いた理由、決め手について教えてください。

奥村様:以前、私が所属していた部署でNEWONEの研修を受けたことがあったのですが、その時の実績を踏まえご依頼させていただきました。コミュニケーションに課題を抱えている人が多い中、表面的な研修をやっても意味がありません。山田講師は、深く入るところとそうでないところの温度感が絶妙でテンポも程よいので、今回もNEWEONEにお願いして良かったです。

松田様:弊社の課題や意図をしっかりと捉えた提案をしていただけたことです。また、講師の方の評判をうかがっており、部長職層の方にマッチすると思いました。今回山田講師に実施いただけるとのことでNEWONEへご依頼しようと思いました。

エンゲージメントに対する考えを組織全体に広げていきたい

― 本研修はどのような組織にお勧めしたいですか?

松田様:エンゲージメントは注目度が高く、サーベイを実施されている企業も多いです。これから導入するところもあると思いますが、サーベイ結果を成績表と捉えるのではなく、どう活用してエンゲージメントを高めていくかが重要です。具体的に何をしていけば良いのか悩んでいる組織の方、管理職の方に受けていただければ、行動に移しやすくお話いただけるのでお勧めしたいです。

奥村様:旧来の日本型の組織にはお勧めだと思います。昭和から育ってきた管理職世代は、急に働き方が変わったことで変化についていけず苦労している人が多くいます。会社として成長を続けていくためには、若い世代の力も借りなければなりません。コミュニケーションに課題を感じている組織には有効なのではないでしょうか。

― 今後、注力していきたいことや取り組んでいきたいことについて教えてください。

松田様:先程も少しお伝えしましたが、今は部長が荷物を背負っている状態なので、組織全体で風土を変えていくことに取り組んでいきたいと考えています。メンバー個人やチーム単位でもエンゲージメントを高める意識づけを行っていきたいと思っています。

奥村様:今回は部長職に実施しましたが、その下の層にも同じ考え方は広げていきたいと思っています。組織に対して全体で共通の認識を持つことがエンゲージメント向上には必要だと思っています。組織が大きいのでターゲットを絞って着実に進めていきたいと思っています。

― 本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

プログラムの全体像

◆受講者アンケート(一部抜粋) 

・改めて「対話」「コミュニケーション」「傾聴」が大事だと思った。うまく支援型マネジメントをやっていきたい。
・部下の主体性を尊重し、寄り添うことが大切だと感じました。
・普段何気なく行ってしまっている言動、行動を見直す機会となった。
・部員とのコミュニケーションがより重要になる中で、プランが描けて有意義だった。
・部下の心理的成功を重視しなければならないという点に、気づけたことが良かった。
・客観的に自分自身の取り組みを振り返る良い機会でした。
・他部署長と悩みの共有ができる機会の創出はありがたいと思った。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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NEWONE担当からの一言

  • 大槻 美幸(Otsuki Miyuki)

    大槻 美幸(Otsuki Miyuki)

    コメント

    今回は影響力の大きい部長層を対象にエンゲージメントサーベイの活用と離職防止のためのキャリア支援強化研修と大きく2つのテーマで実施させていただきました。普段何気なく行ってしまっている言動、行動を見直す機会となったり、部員とのコミュニケーションでキャリアプランをどのように描いていけばいいのか具体的に理解がされたり、部下の心理的成功を重視しなければならないということ等、今まで育ってきた環境と現代のキャリア支援の考え方について、客観的に自分自身の取り組みを振り返る機会になったのではと思います。改めて、貴重な機会をご一緒させていただき、有難うございました。